最終日 11月30日
11月30日
家の鍵を閉め忘れていた事に気づいたのは、僕が出張先で仕事が終わって出張先の近辺にあるカプセルホテルで寝ようとしてた頃だ。
確か、4日前の11月27日だったかな。
その時は、金目の物も取られても困る物もないし、別にいいかなと自分の中で解決していた。
11月22日に仕事で1週間位の出張に出かけて、今日の朝に帰ってきてのだが、部屋を見て最初に目に付いたのが、一人暮らしを始めた際に仕事で使う為に買った、部屋の真ん中にぽつんと置いた小さい丸テーブルの上に置いてあったA4の大学ノートだった。
ノートなんて買った覚えがないのにな。
もし、文章を書くとかの必要性があるのであれば仕事で使っている自分のノートパソコンを使えばいいだけの話で、わざわざ大学ノートは買う必要性は僕にはなかった。
おそるおそるその大学ノートを読んだ所、僕が出張で家を出ている1週間の出来事が日記として書かれていた。
そのノートに書いてある日記の内容から、私という一人称を使っていたり、お出かけや洋服買いに行きたいみたいな内容から、僕は女性が書いたのか、はたまた、小さい女の子が書いたのかなと推測してみたが真実は分からない。
恥ずかしながら、僕は、23歳という年齢ながら、彼女がいた事もないし、ましてや子供などもいない。
そして、日記が書かれた最終日であろう、7日目の11月29日に書かれていた文字は、それ以前の日記は、黒い文字の鉛筆で書かれていたのに、この日だけ、赤い字で書かれていて、インク漏れなのか、考えたくはないが血で書かれたのか、紙にべっとりと赤い液体が染み込んでいた。
ノートに書かれた日記のページを1ページづつめくって自分の頭の中で思考を張り巡らせれば巡らせるほどにある疑問が頭をよぎる。
「君は一体誰なんだ?」
この日記を書いたであろう謎の人物に対する疑問が、僕の脳内のキャパを超え、声に出てしまった。
その僕の疑問に対する声に反応したのか。
その問いに答えるように。
僕の部屋の押し入れの引き戸がゆっくり、静かに開き始めた。
完
私の日記 山羊 @yamahituzi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
天才?八木教授の日常/山羊
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 6話
100の質問に答えてみた!/山羊
★1 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます