第4話 座学
「いい? バニロ、あなたは基本中の基本を知らないみたいだから、そこから教えてあげる」
「お、今日は気前がいいっすね師匠。俺の手作りクッキー気に入ってもらえました?」
バニロはリフォームされたリルカの家で授業を受けていた。机に座り、リルカはどこからともなく取り出した木の板に筆を走らせて行く。
「お黙りなさい。今は授業の時間。私語は厳禁よ」
「はーい」
「……あのクッキーはまた作ってくるよーに」
「え? 先生、今なんて?」
「コホン!! 授業を続けます!」
木の板に一文が描かれる。
『召喚獣とは魔力の塊である』
「師匠~。これぐらい俺でも知ってるっすよ~」
「私語厳禁! 罰として今日の二倍クッキーを作ってきなさい!」
「そんなぁ……」
落ち込むバニロ、そんな彼に背を向けてやたっ! と小さくガッツポーズするリルカ。
授業は続く。筆が走って行く。
『召喚獣を形造るには召喚術師の存在が必要不可欠』
『
「へえ~。
「ホントに当たり前の事を知らないのね、このバカ弟子は……。いい? 人間が体内で循環するエネルギー。それが『
「
へらへら笑うバニロ。リルカはこめかみに青筋を浮かべながら。
「あんたねぇ……まあいいわ。確かにここはそんな重要なポイントじゃない。この
「変化!? 俺、なんか変わっちゃたんっすか!? まさかもう人間じゃなくなっちゃたとか……」
「馬鹿たれ」
リルカは筆の柄でバニロの頭を叩いた。
「いてぇ」
「変化と言ってもそう大したものではないわ。
「なんだ。それなら安心……でもないっすよね!?」
「召喚してる間だけの話よ。なんの問題もないわ」
「いやいや、つまり召喚してる間はどんどん
「ぶっ倒れるだけよ」
「……いや、だけって」
「実際、意識を失って、召喚獣も消える。
「……まあ確かに、それだけかも知れませんけど……師匠、質問でーす!」
「なにバカ弟子」
「
それを聞いたリルカがニヤリと笑った。
「いい質問ねバニロ。一点を上げるわ」
「わーい! やった……?」
「百点満点中の一点よ、もっと頑張りなさい」
「うえー」
「これからアンタに
「またっすか……ここ数日、草原と此処行ったり来たりじゃないっすか……」
「口答えしない。さあゴーゴー!」
「なんかテンション高いな……はっまさか通り道にある店で俺にお菓子奢らせる気じゃ……!?」
ニヤァと笑うリルカ。嫌な汗を掻くバニロ。
「俺、最近、金欠で……村の仕事もサボり気味だから……」
「だからブラウニーでリフォーム工事する仕事すれば大儲けよって言ってるじゃない」
「あれ滅茶苦茶疲れるんすよー!」
「はいはい、ほら行くわよ」
バッとジャンプして、バニロのシャツの襟首を掴んで引き摺って行くリルカ。
「師匠、力つよっ!?」
いーやーと叫びながら運ばれていくバニロだった。
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