第14話
これはつまりにわかと一緒とかふざけんなよ気分悪って意味じゃない?絶対これでしょ?
一緒に好きなのはいいけど適当に推すとか迷惑だから?ってやつじゃん?!酒飲んでる時にもう飲めないとか言ってやる気ないやつと一緒だ。やる気ないなら帰れって感じの。これは確かにテンション下がるし奈々に対して失礼になるよ私。私は即口を開いた。
「あ、ねぇ奈々はボニーピンクのCDとか持ってる?よかったら貸してくんないかな?」
私は自分の名推理を信じて行動に移す事にした。奈々は本当にるるさん好きみたいだし、やるならちゃんとやらないとダメ。本当に好きな人に失礼。
「え?…うん。いいよ?じゃあ、アルバム今度持ってくるね?」
「マジありがとう助かる」
とりあえずCD借りてネットを駆使して調べまくって勉強しよう。ボニーピンクとはなんたるか、るるさんとはなんたるかを理解しないとにわかふざけんな死ねって思わせちゃうよ。待ってて奈々。私、今はウザいかもしんないけど次会うまでにるるさん信者としてレベルアップしとくから。私は次の目標に内心燃えた。
るるさんが好きと言うよりキラキラしてて素敵って感じだけど私はちゃんとファンになる!
そう思っていたら唐突に試練がやってきた。
「あっちゃんはさ、るるみたいな子好き?」
「え…」
今でこの流れって私はるるさん愛を試されてるの?私は奈々の質問に笑いながら変な汗をかきそうだった。見た目は今時で大勢の中にいたら分かんない気がするが努力家みたいだしキラキラしてて私は好きだと思う。奈々に比べたらにわかだけど。私は笑いながら緊張を隠して言った。
「…うん。好きだよ?なんか私がぶつかったら吹っ飛んでいっちゃいそうなくらいほっそいし可愛いし、歌って踊ってんのマジキラキラで頑張ってて素敵だったし…」
本気の奈々にまた気分悪く思われたらどうしようと内心気が気じゃない。
にわかだけど好きなの伝わってお願い……!
しかし、私の気持ちは届かなかった。
「そっか……。るる可愛いもんね?私も大好きだし……」
「うん………………」
笑顔の奈々の気分をまた悪くしてるのを笑いながら感じ取った私はもう変に汗をかいていた。喋れば喋るだけ墓穴掘ってて死にたいんだけど…。女子に嫌な思いさせるのってメンタルに響きすぎて胸が痛いよ。しかも笑っててなんか変に間が空いてるからね。嫌な顔されるより響くよ気を使われてる感じが。
もうるるさんの話しはやめた方がいいな。にわかの私では本気勢の奈々を苦しめてしまう。
ごめんね奈々、悪気はないの。
「あ、あのさぁ、奈々もうそろそろ帰らない?明日も仕事でしょ?」
「あ、うん。そうだね。帰ろっか」
私はもう帰るのを促していた。にわかはすぐにでも消えるべきだよ。ライブで折角楽しかったのに私のせいで台無しだなんて申し訳無い。
それから適当に話ながら奈々とは駅で別れた。
そして帰ってから一人反省会をして寝て翌日、会社に早く向かった。
反省は一通り昨日で終えたので今日はまずひいちゃんに自慢してやろう。会社に朝早く来たつもりがひいちゃんはもう先にいた。
「ひいちゃんおはよー」
「おはよ」
相変わらずドライなひいちゃんは今日もサラダを食っていた。私はそんなひいちゃんにるるさんの写真を取り出しながら話した。
「ひいちゃん聞いて?私昨日アイドルのライブ行ってね、握手して写真撮ったんだよ?いいでしょ?」
「だれ?」
「るるさん!ボニーピンクって言うマイナーだけどキラキラ女子!」
「ふーん。可愛いね」
写真を見ながら興味なさそうに言われたがひいちゃんは可愛くなかったら可愛くないって真顔で言うから認められて嬉しかった。るるさんやったよ!
「やっぱ可愛いよね?」
「うん。朝海でかく見える」
「え、私の話はやめて?分かってるから。握手した時も自分のでかさに引いたもん。るるさんクソちいせぇの。手握り潰しそうだった」
「見た感じ細いもんね。そういえばあの美女の奈々ちゃんはどうなったの?」
もっとるるさんの話をしたかった私は奈々の話をするのを忘れていたのを思い出した。
「あ、あれ?もう急展開だよ?ビックらこきまろ」
「え、なに?どうなったの?」
「なんかね、私が好きだったくさい」
「え?朝海?……ビックらこきまろだわそれわ。朝海の酒乱知らないの?」
ひいちゃんは珍しく驚いていた。だが、その気持ちは非常によく分かる。
「一応知ってる。ていうか他にいい人いるよって話になったんだけど考えようってなって保留になってる」
「ふーん。朝海は確かにいいけど酒癖悪過ぎるし私と恋愛観似てるからなぁ……。奈々ちゃん引いて好きじゃなくなるんじゃない?」
ひいちゃんは私が思っていた事を言ってきた。
ひいちゃんは私と似てるし私の酒癖を非常によく分かっている。酒癖に関しては付き合ってた人の前ではあんまり飲めない設定でいたからあんなん見たら引くよそりゃ。輩だもん。
「いや、それ私も思ってるよ。たぶんあっちが私を合わないと思うし引かれて嫌われて終わると思う。それに本当にいい子だからすごくいい人と付き合えると思うし付き合ってほしいよ私は」
「朝海……。私はずっと朝海と友達だよ」
ひいちゃんのたまに優しくて哀れみが含んだ言葉に嬉しくて笑う。ひいちゃん素敵。一生着いて行くよ?
「ひいちゃんマジ大好きなんだけど。抱いて?」
「は?やだよ。三枚下ろしにしてやろうか?」
「うん。ごめん。本当にごめんね嘘です。すいませんでした」
嬉しくて告白したのにはっきり断られて笑った。
ひぃちゃんいつも真顔でどぎつい。でも、好き。素敵。
私はそれからるるさんについて詳しくひいちゃんに話した。それから仕事をしながら私はボニーピンクについて勉強した。
ボニーピンクは二年前にできたアイドルグループではるごんがリーダーをしている。はるごんはムードメーカーキャラでるるさんはショートカット努力技術担当でサラは金髪ロングのエロ担当、ゆうちゃんは茶髪セミロングの癒し系である。ダンスも歌もバリバリな可愛い綺麗系?なのかな。マイナーだけどそれなりに人気があるみたいだ。
そして、るるさんについてはもう極めた。
るるさんは超ストイック筋トレ女子みたいで暇があればダンス歌筋トレランニングと言う細い理由がよく分かる子だ。ここまで調べて意識高い系でめんどくさいのかなと思いきやよくふざけてる感じなので好感度は高いと思う。人気的に見ても一番のはるごんの次に人気みたいで男性人気がかなり強いらしい。
と、調べ尽くした結果るるさんは改めてボニーピンクの中では一番好きかなって思った。るるさんSNSで仕事みたいにダンス歌筋トレランニングをして頑張ってふざけているので私も泳がないと!ってなるし頑張る人が好きな私には申し分無い。
あとはボニーピンクの公式サイトが公開してるMVを見て歌を覚えた。何度も何度も血眼で見た結果口ずさめるようになった私はるるさんについてはどや顔で答えられるしもうにわかを卒業していた。
これで奈々と肩を並べられる。
私はるるさん推しとしてどや顔できるくらい成長した。
次ライブ行ったら奈々に認めてもらえるように頑張ろう。と、思ったがそもそも次の予定はない。しかもCDも借りてないから歌は少しにわかだ。
奈々に会わないとなぁと思うが奈々は今週は予定があるって言ってたから誘えないし今は待機だろう。
待機しながらボニーピンクのMV見ておこう。
そうして週末を迎えた私は以前飲んで潰れていたバケツとの飲みだった。
久々で楽しみに思いながら仕事を終えた私はバケツと都内の駅前で待ち合わせをした。
「お、久しぶりだなバケツ」
「朝海久しぶりー。こないだマジごめんね、ありがとう」
バケツは待ち合わせ場所に元気そうに現れた。
バケツと言う呼び方が定着しているがバケツは理穂って名前で見かけは仕事できそうな感じの綺麗系でモテるしいいやつだけど酒癖は悪い。とても。
「全然。早く飯食おう?腹減ったわー」
「うん!あ、今日さ、焼き鳥のうまい店行かない?こないだ発見したんだけどどう?」
「よし、気に入った。もうすぐ行こう」
「よし!じゃあ、こっち」
「ほい」
焼き鳥とか最高。素敵。私はるんるんしながらバケツに着いて行った。そしてお店に着くと適当に料理と酒を頼んで乾杯した。
「あぁ、ビールうま。ていうか朝海、今日は私終電で帰るからね?」
「え?バケツやる気なくない?寝てんの?」
開口一番にやる気のない台詞に驚く。バケツはいつも人一倍やる気を見せて潰れてバケツを抱えているのに。バケツは真剣な顔をした。
「私は明日エルソのハイタッチ会があるから今日は絶対終電で帰るからダメ。やる気はあるけど絶対帰る」
全く知らないそれに私は真面目に聞き返した。
「あ?エルソってなんだよ」
「KPOPだよ。知らないの?これだから水泳野郎は……。朝海泳いでばっかいるといずれ魚になって食われて死ぬよ?」
「超やだそれ怖い…。てか、そんな事やってんだねぇ~」
「今はCD買ったら券がついてくんだよ」
「へぇ~。あ、私もこないだアイドルと握手して写真撮ったよ?くっそ小さくて可愛かった」
世の中いろんな事やってんだなぁと感心しながら私はるるさんを自慢した。だがバケツはちょっと笑っていた。
「朝海に比べたら皆小さいでしょ。朝海普通にでかいじゃん」
「おい黙れ。それ以上言うな。鼻毛抜くぞ」
真実に悲鳴をあげそうになる。デブとかなら直せるけど骨格とかになると直せないんだよ!バケツ覚えてろよと思っていたらバケツは面白そうに笑った。
「朝海は仕事辞めてもラガーマンとして活躍できるよ」
「私は水泳一本で行くって決めてるんだよ。この肩は水泳のために捧げてんだよ」
「えー、ラグビーやんなよ?私一番応援するよ?」
「は?この肩でタックルして心臓止めてやろうか?」
ラグビーなんて絶対やらないけど脅す。するとバケツはげらげら笑いだした。
「え、やばい。肩で心臓止めるとか斬新。まじ笑えるんだけど。朝海ならできそう」
「はー?やらないしできないから。もう事件だしそれ。捕まるわ」
「確かに。肩で事件になるとかウケる」
そうしていつも通りな肩のネタに笑いながら私達は酒を飲んだ。
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