第4話 滅亡の王妃
【私の取扱説明書】
① 私の視線の先に三秒以上立たないこと。
私に注視されると、三秒後には体の機能のどこかがランダムで停止するから。
② 私の半径25m以内に容易に立ち入らないこと。
私の命の残量が減った時に周囲の生命力を奪うから。その範囲の常時発動最低範囲が25mらしい。え?最低範囲?
③ 私を傷つけないこと。
私の血に触れた上で私に対し、悪意・害意を抱くと何かの病気もしくは毒が発生する。病気・毒の内容はランダム。血の量によって致死率が上がる模様。また、特殊な状況下では血から私の子供が生まれて、いろんな生物を食べに行きます。
④ 私を一人にしないこと。
基本的に寂しがり屋なので。構って欲しい気持ちが強くなりすぎるとうっかり世界を敵に回します。かつてそれをやって、楽しかった思い出があるのでやることにためらいがありません。
死なない上に死を撒き散らす女。傍から聞くと凄くメンドくさい。
「こんな感じでどうでしょう!」
「うん。満面に笑見浮かべたドヤ顔でくだらないこと言ってないでこっちに来い。ヤバめの能力は早めに封印するから」
「でも、死ねないんだよね?」
「そりゃな。厳密に言えば、お前の血も発病しなくなるだけで毒性は消えない」
「そっかぁ~」
それでも私はまだ生きている。
私を殺せる人と共にまだ歩いている。
うっかり星を滅ぼしたり、慌てて国を一つ穴にしたり、気づけば周りにいた人が全員倒れてたりするけど生きている。
「ねぇ、私を殺して♪」
「また今度な」
「はーい♪」
いつか死ぬことを夢見て、いつか殺してくれることを夢見て。
悪夢の中で生まれた姫は、愛する人を見つけて、滅びを纏う王妃となった。
愛する人に殺される最後を夢見て、私は終わりのない旅を共に歩く。
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