第5話 303号室

 以前、私が住んでいたアパートは、2DKでしたが、家賃が安く、物が多い私は1人で住んでいました。

(3話の部屋です)


 いずれお話ししますが、住んでいた部屋では、とにかく心霊現象が非常に多かったのですが、それは私の部屋だけでは無かったようです。


 そのアパートは3階が最上階で301から304までの4部屋あります。

 私は302号室に住んでいましたが、隣の303号室には、人が住んでいても、すぐに引っ越したりしていました。

 以前住んでいた人は、大丈夫かと言うほど目の下にクマができていましたし、その次の人は隣の部屋でずっと独り言を言っていました。


 私も、現代人らしく、隣人に会っても、会釈程度で、交流など一切取っていませんでした。


 

 3回ほど住人が入れ替わった後、誰も303号室に住んでいませんでした。



 ある日の夜に帰宅し、303号室の前を通りかかったとき、通路側の磨りガラスの奥に、赤い光が浮いているのが見えました。

 翌日も同じように、赤い光が浮いていて、揺れているように見えたのです。


 その翌日、たまたま、301号室の一家の旦那さんと出会いました。すると、普段は絶対話しかけてこない旦那さんが、私に妙な顔で話しかけてきました。

「303号室。時々光が浮いていますよね?」

 ああ。私だけではなかったのだと思いました。


 せっかくなので、私も頷きつつ、旦那さんに尋ねてみました。

「やっぱり、そっちの部屋も・・・・・・出ます?」

 すると、旦那さんは、苦笑いをうかべて、「はあ」 と濁していましたが、自分の部屋の心霊現象は、勘違いじゃ無かったんだと痛感しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る