第6話 おばさん

 助手席に友人を乗せて、件のアパートへの向かっていた。


 街道から、住人以外には使わない道に、右折で入ろうとした。

 あまり車通りの無い街道な上、すでに日も暮れていたので、対向車はなかった。


 その細い道の右側は歯医者があるが、もう片側は木を植えている庭木を育てる、「木の畑」とでもいうのか、そんな場所だった。

 木の間隔も開いている為、見通しは良い。



 私は、右折で自宅前のその道に入ったが、そこから200メートルほどの駐車場に着いたとき、隣の友人が私に尋ねてきた。


「カイタ(私)って、運転下手?」

 安全運転を心がけているが、下手では無いと思うので、「どうして?」と尋ねた。

「右折にやたらと時間がかかったから・・・・・・」

 との事だ。

「いや。でも、あの木の間に、おばさんが立っていたから、道を横断すると思って待ってたんだよ」

 私が、右折に時間をかけた理由を友人に話した。

 運転席からは左側なので、助手席の友人の方が気付くだろうに。そう思っていたが、友人が驚いた声で言う。


「え?そこには誰もいなかったよ」

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