第40話 控訴理由書の抜粋

 長くなりますが、一挙に掲載します。

 まず書式の鏡です。


左最上部に事件番号

中央に控訴理由書 右端に日付

左に宛て。〇〇地方裁判所 御中

右端に控訴人氏名

 を書いて鏡とします。


次に地の文と、控訴理由書の文と混ざってややこしいので地の文は 地:と頭に付けようと思います。

頭が疲れているのでこのまま掲載します。後でミスに気がついたら逐次修正します。


第1 はじめに


 原判決の事実認定の内、以下の点は明らかに事実を誤認している。この誤認によって本件の過失割合に重大な影響を及ぼしている。また原判決に於いて認めた被告の主張する事故現場の位置は極めて矛盾しており、そのため被告の述べる事故態様の信憑性も極めて疑わしいものとなっている。

 このような有り得ない主張を事実として認定している原判決は取り消されるべきであり、以下に理由について詳述する。


第2 原判決の事実誤認と事実の評価の誤り


  1 事故現場を「本件Uターン場所の手前と認める」とする認定は誤りである。

    理由(別紙1と別紙2による概念図で車列の長さとUターン場所の幅の不整合を説明)また事故の状況、場所については、Bが「記憶に無い」と言いながらも、一方的に警察官に説明し、警察官はAに、自車を傷つけた車がBである事を確認する内容の質問だけをしたことに対して「間違い無いです」と答えたのであって、それをBの代理人は意図的にAも事故現場を認めたと決めつけたのである。

 そもそも被告代理人が根拠とする物件事故報告書は実況見分調書と異なり距離等を正確に測定して作成されるものではなく、その精度は極めて低いのでAの主張と甲6に若干のズレがあるからといってAの供述が信用出来ないとまでは言えない。


  2 原判決に証拠の見落としがある 

原判決第3―1―6で、原告車両の右前フェンダー及び右サイドミラーの傷は後方から前方に向けて印象されたように見受けられ被告の主張と整合しない。としながらも原判決でこれを考慮していないのはおかしい。


  3 原判決に於いて、原告の主張する事故態様を裏付ける証拠はないとあるが、本当にないのか。

   被告Bは左第一車線に移ろうとしたとき、後方からAの車が高速で接近して、Bの車両に当たったと主張する。判決は概ねこの主張を採用している。だがこれが真実であればBの車はハンドルを切っているのであるから角度がつき、左前、つまりヘッドライト周辺に傷がつき、A車は停まりきれないまま走り抜けるので右前フェンダーから後部バンパーに至る長い傷がつくはずであるが、両車ともそうはなっていない。またBが言うようにA車の速度が高速であったとすれば、A車はB車の前方に出てB車の進路を塞ぐ形になるのであるから、B車が先に消防署の空き地に向かいその後にA車がついていったという、両者がいう状況になりようがない。

 このように、被告が有り得ない状況を主張すること自体がAの主張が正しいことの裏付けであり証拠となり得るのであって、原判決はこのように、矛盾に充ちたBの主張を採用したうえで原告の主張する事故態様を、証拠が無いとして排除しているのであるから、原判決は重大な事実誤認をしていると言わざるを得ない。

 


第3 被告の主張する事故態様を現地現物に照らし合わせて時系列で展開すると被告主張の証言と態様が著しく乖離していて信用出来ない。

  1 被告Bは右第2車線を時速約60キロで走行していたと証言している。(第3―1-7)

 また、前方に数台の車が停止しているのを交差点に入った辺りで発見したとも証言している(第3-2-3)

 しかし、証言の通りであれば、車列最後尾から車列発見位置までの距離は僅か41メートルしかないのであって、時間にして2秒にも満たない距離である。Bはこの短い時間の間に、先頭から2番目の車が左方向指示器を出し車線変更をしたのを見て、自分も出来ると思い停止直前まで止まりかけていた位置から後ろを見て方向指示器を出すと同時にハンドルを切ったと証言している。だが、これは2秒の間に6秒の動きを見たというに等しくまったく不可能な証言で信用出来ない。


  2 またBは、ハンドルを切る直前の後方確認で、原告Aの車を見たと証言しているものの、Aの前方30メートル前を走行していた軽トラック(車番35・〇〇)をまったく認めていないのは、極めて不自然であり、そのような車列の存在自体に疑義が生じる。

 また被告代理人は、このような車列を見たことが無いというAに対して、停止している車に気がつかないのは老人性視野狭窄症であるとして、しばしば人格攻撃をするが、Aは眼科医での視力検査で両眼ともに1.2の検査値であり、車列が見えなかったのは、車列が存在してなかったからであると証言している。このように被告代理人は折りに付けAを老人として表現し殊更感情を害する態度をとり続けるのにたいして、何も注意を与えない裁判所の態度は注意を要する。

 そもそも車両が車線を変更するにあたり、その行為が可能か不可能かを判断するのは、変更しようとする車線の後方にいる車両との距離、或いは時間によって判断されるべきものであるところ、前方の車両の動向によって自分も出来ると思ったなどという供述自体信憑性が無いことについて原判決が考慮していないのは重大な誤りである。

 これらの事実によりBの走行線上に右折のための停止車両が居たとする供述は何れのケースに於いても成立せず被告の供述する事故態様は創作である可能性がきわめて高い。


第4 右サイドドアミラーの擦過痕と圧迫痕の違いについて。 略。

第5 フロントフェンダーの擦過痕について。 略。


第6 原告の述べる事故態様は、被告B代理人が言うように本当に有り得ないのか。

1 原告Aが述べる事故態様は、いつものように左第1車線を走行中、右第2車線を後方から接近してきたB車が追い抜き様、いきなり左車線に進路を変更してA車に衝突した後、A車の前方まで走り抜けて停止。その後いきなり走行を開始して、約60メートル前方の消防署前の空き地へ至り停止した。というものである。

 被告Bの代理人は、Aの主張は車線変更の必要が無い場所での車線変更であり、しかもBには左を走行中のA車が見えているのであるから、そのような車線変更をする筈がなく、経験則上有り得ないとして、Aの供述を否定する。

 しかし、通常に於いて有り得ないBの行動によって本件事故が発生しているのである。


 この事故を表現するにあたり、Bの代理人が述べる車線変更という記述は虚偽である。

 Bの代理人はこの記述によって、本件事故の真の姿を隠蔽いんぺいしているが、脇見運転やハンドル操作の誤り、或いは走行中のスマホの操作による操縦ミスなどにより事故を惹起じゃっきした例は、被告の示す別冊判例タイムズにも多く記載されており、本来その例から引用するべきであることは、Bが消防署前の空き地に停車した後も、しばらく車から出てこないでスマホを操作していたことから十分考えられる。(なおBはAに『すぐに車から出てこないのは不誠実である』と詰問された事実について、法廷で証言を求められた際(反訳甲9-14ページ3行)『保険証を探していた』と虚偽の証言をしている)

 

第7 車線に於ける車両の混み具合について。略。


第8 B代理人は、争点が定まらない段階で職場に対して自分に不利な事故態様のまま報告書を提出しているからBの主張する事故態様は信用出来る旨主張する。だが、事故報告が早いことと事故態様の正しさとはまったく別の問題であり、報告書とは元々早く書かれるべきものであって、早いことが信用出来ることの証明にはならない。


 Bは本人尋問で、事故が発生したときは勤務先に事故報告書を提出することが義務づけられている旨の証言をしている。その内規の内容についてはBの職場から証人としての証言を得ることが可能になっているので、裁判所の要求に応じて個人情報保護の処置を取った後、裁判官のみ接見ができる。

 この内規が今回重要な意味を持つ理由は次の事情による。


 Bが事故報告書を提出せざるを得ない状況で事故を起こしたとすれば、仮に被告がスマホを操作しながら、或いは脇見運転をしていた結果、左車線を走行中の車に接触したとしたら、その状況を正しく報告するとは考えられず、むしろ事故報告書の提出義務故に事故態様を創作したことが考えられる。

また、創作であるが故に原告が供述する、原告の前を走行する軽トラックの存在にひと言も触れていなかったと考えられ、自らが述べる事故態様と証言の矛盾、道路の実際の長さと車列の長さの不整合、4台の停止車列を発見したとする位置設定の不合理さが生じたのである。

 事故後、消防署前に駐車した際にも、被害を与えた原告を顧みず、4~5分ものあいだ車内にこもり、スマホを操作していて車外に出てこなかった事実からも、自分に不利な証拠を消し去ろうとしていた疑惑が残る。

 そもそも、本件裁判になった理由が、原告の主張する実際の事故態様と余りにも掛け離れた被告の述べる事故態様が原因である事、動いている車両同士の事故に10割対0は無いとBが断言して訴訟が始まったことを考え合わせれば、被告が述べる事故態様には到底信憑性が見いだせないのであって、原判決が被告主張の事故態様を全面的に採用したことは、重大な事実誤認が生じており、過失割合は10割対0に修正されるべきである。

                              以上









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