第2話 小説を書き始めたきっかけ。

 きっかけは今考えると、結構衝撃的だ。


 知人の友達の娘が中学生で妊娠した。


 当時私は、弁護士事務所の法律関係の文書(準備書面とか)に関わっていて、その関連で中高生に対する注意喚起になるような事例を文書にして欲しいという依頼が、知人からあった。

 その事で家族の軋轢、親と子の葛藤などを小説風にして、書き送ったのが、まあ小説らしいものの初めになる。


 そんなことがあってからラインノベルの発足を機会に初めて小説を書き、コンテストにいきなり参加してみた。

 勿論一次も通りはしなかったけど。


 不思議なんだよね。

 僕の上位にランクしている幾つもの作品を見てみると、文体、文章、設定、ストーリー、そのどれもが体を成していないものばかりだったから、楽勝だと思っていた。


 それにそういった荒唐無稽な物語ばかりが出版されることが、紙の本が減少する原因だと思っていたから、初作の『鬼』は絶対面白いと思っていたし、風穴を開けられると自負していた。


 そのうち僅か1年でラノベは潰れ、カクヨムに移って書いている内、幾ら面白くても入賞はしないということが解ってきた。


 それはそうだろう。例えばカクヨムコン6を見ても1月20日現在で応募総数1万を越えている。(最終的には七千に落ち着いたようだが)その中でどうやって真の優秀作品が選択できる? できるわけがないのだ。

 つまり、優秀な作品とは売れる作品に他ならない。そこで読者選考という方法がとられる。

 作品に多くの読者がついていて、『いいね』の数や星の数が多いものをすくい上げる。まあ、当然、編集部でもあらすじから文体やストーリーを見るぐらいのことはするのだろうし、同じ作品をあらゆる賞に、たらい回しで応募するものを排除することぐらいはしているのだろう。

 だが注目するべきはそこではない。この応募総数1万超えという数をどう捉えるか。

 世間にはこれ程、言いたいこと、聞いて欲しいことを抱えている人々がいるという事だ。

 この言いたい数は、やがて読みたい数に変換する要素を持っている。(と言うのは逆説だ。事実は読んでいて自分も書いてみたくなったという者の方が圧倒的に多い)

 

 出版社の役割は、今、作者を育てる時代から読者を育てる時代に変遷していこうとしているのだと思う。




 

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