第七十二話 俺達の出発(たびだち)



 長かったねぇ!これで一安心だね。


 やっと俺達も肩の荷が下りるな、親父とお袋に報告できっかからまぁ良いか!


 本当だねぇ、本当に手間がかかるダメな二人だったからね。


 この地区の七不思議は、子供達にも影響が出そうだったからなぁ!ガハハハハ。




「東京のお父さん、お母さん達はこちら新郎の隣に、高畑さん御夫婦は美由紀さんの隣にお願いします」


「いや私達は本当の父親でも母親でもないのですが、新郎の隣だなんて・・・・」


「良いんですよ、黒沢社長御夫妻には我々兄妹弟の親父の席に代理としてではなく、浩史の父親、母親として隣席して頂きたいと思っています」


「秀樹さん、純さん宜しいのですか?浩史君が私達の子供になる事を許してくれるんですか」


「何を言ってるんですか、親父を葬送って頂き、此れからは浩史ばかりではなく我々の親として気軽に接して頂ければと思っていますし、既にこの地域の方々は既に認めて下さっていますよ」




「高畑さん、私達の親も既に鬼籍に入っています。どうか美由紀の父や、母親として隣席をお願いしたいのですがご許し願いますでしょうか」


「今まで皆様にはご迷惑をおかけいたしました、どうか新しい家族を築く二人の為に今回だけではなくこれからも親となって見守って頂ければと思っています。亡き侑一さんの嫁として認めて頂けたこと、侑希ちゃんを孫として認めて頂けたこと、此れから侑希のちゃんの行く末を一緒に家族として見て頂ければと思っています。」


「俺達で良いのけ!俺は美由紀さんに酷い事をしてしまってたんだぞ、其れなのに美由紀さんの親だなんて母ちゃん、侑一の嫁さんにさせてあげる事が出来なかったけど、孫の侑希を残してくれただけでも嬉しいのに、浩史さんと新しい家族となってくれるのけ、有難い事だわなぁ。」


「父ちゃん、侑一の御陰で浩史さんという息子が出来るんだから、こっちこそ宜しくお願いします。」



「兄にぃも、お姉ちゃんも本当に長かったよね。でも私は、中学時代に会った時から絶対この人はお姉ちゃんと一緒になるんだろうなぁって思っていたの」


「本当に長かったよね、好きなのに好きって言えなかったんだから。私達じゃ分かんない辛さもあったと思うよ、本当に美由紀さん良かったわね」



 庭にはいつのまにかテントが増えていて、会社の支社や各営業所の先輩たちも居るし、其れに来てほしかった俺の一番大切な黒沢家の小父さんと小母さんが涙してくれていました。


「関矢君、この度はご結婚おめでとう。敏夫の分も幸せになって欲しいと願っていますから、今度、侑希ちゃんでしたか?一緒に敏夫に合わせてくださいね。ずっとあなたを縛っていたこと許して欲しい、本当にすまなかったです。あんたがこんなに皆さんに慕われている事本当に嬉しく思います。もう敏夫の事で悩まないで新しい家族と共に明るい家族を創ってください、敏夫はそれを望んでいるはずですから」


「黒沢様、初めまして美由紀と申します。この子は私の連れ子になります侑希と云います。事情は浩史さんから聞いております。この度は私達の結婚式へ参列頂きまして有難うございます、お友達であった敏夫さんに怒れませんよう明るく幸せな家族を築いていきたいと思っています。どうか見守って頂けますよう宜しくお願い致します。また後日、墓前へ挨拶に伺わせて頂きたいと思っています」


「丁寧なご挨拶有難うございます、どうか浩史さんと幸せな家族を、私達は彼を精神的に追い込んでしまいました。どうか彼を開放して上げてください




 そして、三年式から俺達の結婚式に変わって、梶ちゃんはスミレ会のメンバーに促されて白無垢を着て、俺は秀樹兄さんからタキシードに着替えさせられ、あっと言う間に結婚式をする事に、初めて見る梶ちゃんの白無垢姿、俺はウットリとしてしまった。



 なぜ父さんや支社長達が来ていたのか、俺と梶ちゃんはスミレ会と秀樹兄さん達の策略にまんまと嵌まり、弱気だった俺の気持ちを前向きにさせ、俺の十七年間の想いに終止符を打たせてくれたのだ。



「有希ちゃん、ママ好き~?」


「うん、ママだ~いちゅき~」


「浩史君は?」


「ヒロちパパオ~ジもだいちゅき~!

 ゆち、ママ、パパオ~ジもちゅきなぉ~」


 俺と梶ちゃんの長い片思いの旅は終わり、此れから新しい家族として再出発して行く事になりました。



 まだまだ未熟物の私達ですがこれから至らぬ処もあると思います、皆様に見守られながら美由紀、侑希共々一生懸命明るい家族を創っていますので宜しくお願い致します。


 パァパ、マァマ、ちゅきぃ~エヘヘヘ!



 本当に長かったねぇ、思い続けて17年か!俺には出来ねぇな。


 本当だよぉ、本当に二人とも思いを頑張ってたんだよねぇ


 でも嬉しいよ、こうしてみんなで祝ってあげらるんだから!





 其の日は遅くまで俺達の為に宴を開いてくれて、新しい家族の誕生を祝ってくれました。


 そして、新婚旅行は東京の父さん達の所に、念願の梶ちゃんと侑希ちゃんを連れて猿渡さん御夫婦のお迎えによって行く事になったのです。

 何時かは連れて行かなければと思っていた俺でしたが、まさか新婚旅行になるとは思いもしなかった訳で・・・・良いのかなぁ?



 ば~、じ~!ばっば、じっじ!いっと


 ねぇパァパ、マァマ!エヘヘヘ、ニィ、いっと!


 東京にいる俺達の新しい?と云うか何時も見守ってくれている一番身近な家族、俺達は血脈ではなく、共に喜怒哀楽を共にできる新しい家族と歩んでいく事を決めたのです。

 天国にいる侑希ちゃんのパパ、俺達の事を上から見ていて欲しい



 侑一さん、ちゃんと私達を見ていてください、私は一生を掛けて二人を大事にし幸せな家庭を築いていきます事を約束します。



 梶ちゃん、侑希ちゃん、パパだ~い好きだよ。



 ウフフフ、侑希、やっとパパオ~ジがパパになってくれたね。



 パァパ!あっちイコ、ねぇマァマ!ニィ~、エヘヘヘ!!!





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