第六十六話 スミレ会の企み(二)・・・・残暑気負け





 梶ちゃんもスミレ会や役所の仕事で追われているみたいで、少子化対策課での新しい企画と云うか、前回は自分も参加していたのでその様子や意見などを纏めては公報で発表する事になったようです。

 梶ちゃんが参加していた事なんて俺は知らなかったし、後で初めて聞いて何で参加したの?俺が居るのに・・・・それ以上は口に出せなかった。


 でも、なんか最近疲れがたまって来てるみたいで、少し物忘れが多くなってきているような・・・・侑希ちゃんに振り回されているからなのかなぁ?

 其れに気になるのはため息が少し多いような、何かにつけてため息ついては体を動かしている、女性の身体は男と違うし???どうしたら良いものなのだろう。


「ねぇ松田さん、ちょっと聞きたいことが有るんですけど良いですか」


「何ですか、関矢リーダー。私で役に立つことなら相談に乗りますけど!お嫁さんの事ですか、まさか夫婦喧嘩でもしたんですか?」


「松田さん何を言ってるんですか、まだ俺達は結婚もしていませんよ。本当にもう皆さんは何を言い出すんだか!って、冗談はその辺にして置いてください。実は彼女が最近物忘れが出たり、侑希ちゃんの世話をしたりしてもため息ばかりして・・・そのぉ、なんかため息が多いんですよ。女性の身体ってちょっと分かりずらいもんですから」


「なぁんだ夫婦喧嘩じゃないんですか、奥さんが物忘れですか。其れにため息、ふぅ~ん?其れって疲れが溜まり過ぎてんじゃないですか、気分転換か栄養のある美味しいものを食べさせてちょっと休ませてあげれば大丈夫だと思いますけど、念の為に医者に見て貰ったほうが良いかも知れませんよ。多分ですけど、残暑気負けもあるかと思うんですけど」


「残暑気・負け・ですか?病院で見て貰った方がやっぱり良いですよね。分かりました、倒られる前にちょっと見て貰います」


 なんて会社で話して家に戻るとやはり梶ちゃんの顔色も良く無くて、俺は心配でしょうがなかった。


「梶ちゃんちょっとフラフラしていない、ねえ明日さぁ病院へ行ったほうが良いと思うよ」


「うぅん大丈夫だよ、ちょっと疲れが出てきているみたいだけど心配ないよ。明日になれば元気が戻るから、有難うね心配してくれて」


 そんな会話をしながら夕食を作って入る時に梶ちゃんが突然立ち眩みからなのかしゃがみ込んで・・・、いきなりの事でビックリしてしまったのです。


「梶ちゃん、梶ちゃん大丈夫じゃ無いじゃないか!ちょっと待ってて布団敷いて横になろうか。侑希ちゃん、ママ具合が悪くなったみたいだからお布団で寝て貰おうね」


 侑希ちゃんはいつも俺のベッドで寝ているから俺の隣の部屋に布団を敷いて、横になって貰おうと考えている。

 秋江叔母さんに来てもらって、美咲ちゃんにも連絡をして、ちょっと慌てている俺がいました。


「浩ちゃんどうしたの、美由紀ちゃん倒れたんだって。早く布団敷いて横になって貰いなさい。熱は有るの?あらぁ顔色良く無いわね、ちゃんと食事摂ってるの」


「秋江さん、ごめんなさい。ちょっと疲れが出たみたいなの。少し横になっていれば大丈夫だと思うんだけど。大丈夫ですよ、心配しないでください」


「梶ちゃん大丈夫じゃないよ、侑希ちゃんが凄く心配してるんだからね。ちゃんと休んでくれよ、侑希ちゃんを一人にしないでよね、頼むから」


「そうだよ、美由紀ちゃん。浩ちゃんの言う通りだからね、ちゃんと具合が悪い時にはお互い助け合わないとね。侑希ちゃんを悲しませることだけは絶対にしちゃ駄目だよ」


 暫くして美咲ちゃんが心配で駆けつけて来てくれて、俺一人じゃ何もできないし、してあげられないと思っていたから来てくれた時にはホッとした自分が居ました。


「お姉ちゃん倒れたってどうしたの?熱は有るの?兄にぃ、何かあったの」


「あらっ美咲ちゃんも浩ちゃんに呼ばれたの、どうやら美由紀ちゃんは残暑気負けしたみたいなのよ。明日、浩ちゃんに美咲ちゃんとこの西山さんに連れてってもらうから大丈夫よ。取り敢えず水枕して小粥食べて寝て貰ってるから」


「お姉ちゃん大丈夫、あれぇっ今日はこっちの部屋で寝るんだ。そうだよね侑希ちゃんが兄にぃと一緒に寝てるんだからこっちのほうが良いわね、ねぇ兄にぃウフフフお姉ちゃん此れなら早く治るかもね」


「なっ何を言ってんの!俺は心配して、其れに侑希ちゃんも側にいたほうが心細くないだろうと思って、今日はこっちに布団敷いて寝て貰ってるだけだから」


「美咲ちゃん、駄目だよ浩ちゃんを揶揄っちゃ!二人とも本当にダメなんだから」


「秋江さんも何言ってんですか!でも・・・・本当に助かります。美咲も有難うね、明日病院に行くから修君に心配しないでって言っておいて」


 何とか梶ちゃんも落ち着いて寝たようで、俺と侑希ちゃんはいつもの様に二人で俺のベッドに寝て、其れでも心配そうに梶ちゃんを何度も起きては見ている侑希ちゃんでした。

 朝早く起きて梶ちゃんの御粥を作っていると侑希ちゃんが起きたようで、梶ちゃんの御布団に入ろうとしているようだ。


 マァマ、おっきぃ?ねっね?侑希もいっと、ねっね!マァマねっね


「おはよう!侑希ちゃん起きたの、ママも起きたのかな?」


「おはよう、関矢君ゴメンネ!私、体が怠くてなんか動けない見たいなの、こんなの初めて」


「今までの疲れが一気に出たんじゃないのかな、今日は仕事は休んでゆっくりすればいいんじゃないの、侑希ちゃんは俺が保育園に連れて行くから、それに、今日病院に一緒について行ってあげるよ。あまり役には立たないと思うけど心配だからね」


「別に大丈夫だと思うけど、有難う。私も関矢君が一緒に行ってくれると心強いかも・・・・ゴメンネ、仕事は大丈夫なの?」


「仕事の事は心配しなくて良いから、実はさ、この間から梶ちゃんが少し怠そうに見えていたから会社の人にも相談してたんだ。さっき支社長に連絡入れたら「なんでもっと早く気づいてやらなかったんだ」って怒られちゃったよ((笑))」


 其れから俺は侑希ちゃんを保育園に預けてからもう一度家に戻って、梶ちゃんと一緒に美咲ちゃんのいる西山病院へ診察を受けに行ったけれど、先生から婦人科も受診したほうが良いと云われてしまい「どこか悪い所もあるんですか?」って思わず聞いてしまったんです。


「違いますよ、専門外だからだけです。血液を見ても悪い数字は出ていませんが、女性はデリケートですからね。其れに産後の様子を知っておくことは大事な事なんですよ、それには専門家の意見を聞いた方が最良ですからね」




 と言われて、美咲ちゃんからも一緒に行って欲しいと頼まれ、其れは別に構わないけれど、どっちかと言うと病気があるのでは?とそっちの方が心配な俺でした。


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