第六十一話 スミレ会の企み(二)・・・・些細な事






「侑希ぃ、もう寝るよぉ。保育園の先生も言ってたでしょ、なるべく早く寝なさいねって。残暑で疲れやすくなるから早めに寝たほうが良いんだからね」


 いやぁ、いやぁ~あ、おっき、ネンネない、おっきぃ、パァパおっきぃ~い!


「だから駄目だって言ってるでしょ、ママも寝るから一緒に寝ようよ、ネッ良い子だから」


 侑希ちゃんは梶ちゃんと格闘しながら寝るのを嫌がり、俺の所に来るけれど昨年のように自家中毒になってはと思いから、梶ちゃんも強く言えないでいるようだ。

 また俺が原因かぁ!俺の所に来ては膝の上に乗り離れないようにしている侑希ちゃん、しょうがないかって思っている俺に凄い顔をしている梶ちゃんが寄ってくる。


「侑希ちゃん寝んねだって、ママの云う事聞こうね、俺の所に来てると朝大変な事になってしまうからね、良い子だからママとお布団に行きな」


 やぁぅあ、やぁぅあ、パァパオ~ジおっきない、パァパいっとネンネ、パァパ寝んねぇ!


「侑希ぃ!ママの云う事聞けないのぉ、関矢君と一緒に寝れないでしょ。関矢君はまだ仕事終わっていないんだからね、ママと寝ないの?」


 マァマ、プイ。パァパオ~ジ寝んね、ねぇ~パァパいっと寝んね、マァマ、バイバイ、プイ


「はいはい分かったよ侑希ちゃん、其れじゃ俺と一緒に寝ようか。ちょっとまってね準備しなくちゃ。梶ちゃん、侑希ちゃんの着替えとオムツとミルクの準備お願い出来るかな!俺の布団に寝かしつけるから、侑希ちゃんが寝たらまた仕事をすればいいだけだよ」


「えぇっ良いのぉ、侑希を甘やかしすぎだよ。大丈夫だから私が寝かせるから・・・本当に侑希は!しょうがないんだから」


 俺の部屋に侑希ちゃんの御泊りセットを置いて俺は侑希ちゃんと一緒に添い寝をして・・・・・


「あれっ関矢君起きてこないなぁ、もう侑希は寝たはずだと思うけれどちょっと覗いてみようかしら・・・・・あちゃぁ関矢君、侑希と一緒に寝ちゃってる!どうしようかなぁ?部屋に入っていいものかもう少し待って居ようかなぁ」


 俺はその頃は侑希ちゃんと一緒に夢の中に入っていたようで、そのまま朝まで寝てしまいました。


 パァパオ~ジおっき、ペシッペシッおっきパァパオ~ジおっきブゥウウ


「侑希ぃ、起きたぁ~!関矢君も起きたのぉ朝だよ、朝ご飯だよぉ~起きて来てぇ~」


「うぅ~ん朝!いっけねぇ、あのまま侑希ちゃんと一緒に寝ちゃったんだっけヤバいぞ、梶ちゃん怒ってるんじゃないのかぁ」


「あら~やっと起きてきたの二人とも、良く寝れたようね。関矢君、侑希は夜中に起きたぁ?其れにしても一緒に寝ちうゃんだから、ずっと起きて待ってたんだけ中々こないから、私も一人で寝かせて貰いました。二人ともよく眠れたようで良かったですね」


「梶ちゃん、侑希ちゃんは夜中に起きなかったよ!と云うか何で怒ってるの、侑希ちゃんと一緒に寝ちゃったけど起きられると思ってたんだよねフワァ~ッ」


「あっそうですか!侑希は夜中に起きなかったのね、オムツもそんなにしていないみたいだし。今度から侑希はママと寝るより関矢君と一緒に寝たたほうが良いのかもね、朝までゆ~っくり寝られるんでしょ、ママも朝まで一人で寝られるから丁度いいわね。フンッ!」


「梶ちゃん御免、本当にゴメンだから怒らないでよ。ねぇ侑希ちゃん、ママとも寝るよねぇ!」


 パァパいっとネンネ、パァパネッエヘヘヘキャッキャッマアァ寝んねナイマァマない


「だ、そうよ関矢君、今夜も宜しくね。あぁぁ今夜も私一人で寝れるのね、楽をさせて頂きますから、パァパオ~ジさん宜しくお願い致します。」



 そのまま無理やり会社に送り出されてしまった俺、会社に行ってその顛末を支社長に話してみると女性社員達からも旦那さんへの文句が出たりで、皆さん同じような悩みをもって子育てをしている事が分かったのでした。


「関矢、あれだよ、女と云うのはな、直ぐ怒るし、そして寂しがるし、話を聞いてやらないと大変な事になると云う面倒な種族なんだよ。そうやって男を飼いならしていくんだ、飼いならされた男はな従順になって何でも言う事を聞くイエスマンになると云う事だな」


「あらぁっ支社長、この間奥様からお肉と野菜買って来てとメールがあったって話していませんでした?其の従順な男って近藤支社長の事ですよね。確か云う事を聞かないと三日も話してくれないんだとか言ってましたものね」


「いやっあれはだ、他所の・・・俺の所の話は良いから今は関矢の所だよ。関矢、侑希ちゃんを寝かし付けるのは良いけどなそのまま寝ちゃうのはダメだぞ。美由紀さんだって話したい事だってあるだろうし、一緒の時間を楽しみたいはずだからな」


「そうですよ関矢リーダー、奥様の事ちゃんと考えてあげませんと、あれっリーダーはまだ独身だったはずでは・・・・その侑希ちゃんは間借り人さんの娘さんで?、どうして寝かしつけているんですか、其れっておかしいですよ」


「そうなんだけど、ちょと色々あって、でも、本当に只の同居人で別に何も関係は有りませんので其処だけは心配しないでください」


「誰も心配していませんよ、其れよりただの同居人と云うのがダメなんじゃないんですか?女性はいつまでも待ってはくれませんよ、関矢リーダ様は仕事は出来るけど女性問題はダメと言う社内で有名な典型的なダメ男なんですからね」


「いや、それが関矢ばかりじゃないんだ、美由紀さんも同じなんだよ、見て居るこっちが恥ずかしくなるくらいの初心(ウブ)な関係なんだ。だから東京の黒沢社長から電話で怒られるんだよ、まだ結婚しないのかぁ、何時まで待たせているんだぁってな。関矢」


 あぁどうしてみんな勝手に俺達の事を言ってるんだろ、皆さん俺達の事は良いですからそんなに心配しないでください。

 俺達は大家さんと間借り人だけの関係であってそれ以上じゃないんだから、そりゃそれ以上に為れれば嬉しいとは思っていますよ、でも片思いだから。


「お姉ちゃんどうしたの?泊まりに来ないかって、兄にぃと喧嘩したの・・・それともやっと結婚する気になったぁ」


「美咲、何をバカなこと言ってんの!良いから泊まりに来なさい、待ってるからね。其れとビールも飲んじゃおうかなぁ、買ってきて」


 侑希は今夜も関矢君と一緒に寝るんだろうなぁ、今まで一人で寝るなんて事が無かったし、関矢君も朝まで侑希と一緒に寝ちゃうしね、まさかこんなに寂しいなんて思わなかった。



あれっ!私、困ってる?其れとも怒ってるのぉ??


侑希にヤキモチ焼いてる?侑希を関矢君に取られちゃった・・・・うぅ~んよく分かんない?。



 保育園によって侑希を迎えに行ってから美咲を拾って帰ってきたけど、御免なさい修二君、今日は美咲を借りるね!


 だって、侑希に関矢君を・・ちがう、違う関矢君に侑希を取られちゃったのぉ!






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