第4話
「あたしも、おじいちゃんがドラキュラ伯爵と両親から聞かされたのは高校卒業式直後で、信じてはいなかったんです。おとうさんもおかあさんも変なこと言うなあって」
ヒカリさんは拳銃片手に座布団に座りつつ自分語りを始めた。コルトガバメントという100年以上前に作られた銃だという。こんな重たそうな鉄の塊を女の子が持たされているのか。そう思うと彼女が可哀想になった。
「でも、間近でドラキュラ伯爵と会ったら、この人がおじいちゃんなんだって実感して。あたしと顔が、目元がそのままだなって」
「欧米人とのクオーターにしては日本人ぽい顔立ちですよね」
「だっておじいちゃん欧米人以前に人じゃないもん。黒髪で細身で、日本人にもよくいる顔で、牙も無いし」
「今でも生きてる人なんだ」
「人にしては年を取らなさすぎだけど。昔の中国では追い回されたって言ってたな」
昔の中国と言われてゲームの三国志を思い浮かべたが、そこまで昔の話ではなかった。
「伯爵だから最初はVIP扱いだったけど、文化大革命時代には『資本家』って呼ばれだして台湾経由で日本に逃げてきたんだって」
「ヒカリさんも今逃げてるんですよね」
「あたし、やっぱり他のコとは違って、普通に就職出来なくて、気が付いたら芸能界にいて」
僕の携帯電話が鳴ったので出ると聞き慣れない男の声。
「初めまして。そこにヒカリと名乗るテロリストがいるだろう。早速だが私は近所の第四児童公園にいる。そこに彼女を連れて来て貰えるかな?」
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