志半ばで購入された男の成長期

福田点字

第0話

 この世界ダークフロウには合計五種類の知的生命体と膨大な動植物がいる。

 そして僕みたいな魔族を含む5種族は他の生物にはない特殊な力を持って生まれる。

 それがゴッドウエポンや神器と呼ばれる精神物質。


 僕達が出現を願うと現れるし触れようとすれば物質的なエネルギーを宿す。


 人それぞれでソレには別々の形が与えられている。


 そして神器が持つ力がスキル。


 神器を持つ知的生物はソレを酷使し体内のエネルギーを消費することによってスキルと呼ばれる特殊能力を酷使する。


 僕はコレらの情報を習って知ったわけじゃない。


 僕は生まれながらに1人だったのだから。


 僕は一度死を経験している。


 今となってはソレこそ夢だった気もするけど、僕が知る生前の僕は犯罪者であった。


 沢山の人を殺し沢山の人を征服して愉悦に浸るのが昔の僕だ。


 でも死んで目が覚めた僕は全く別の人間だった。


 僕は奴隷なのだ。


 正確に言えば奴隷と貴族の子供。


 より正しく言うなら無理矢理貴族に子を作られて抵抗した時に貴族を傷つけた罪で奴隷に落とされた女の子供。


 僕が生まれてすぐ母は首を吊って死んだらしい。


 3歳の時僕の境遇に同情でもしたのか当時出産に立ち会った女とたまたま出会った時に教えられた。


 まあ今となってはどうでもいい話だけどな。


 別にソレを知ったからと言って現状が改善される訳じゃない。


 今の僕は正に地獄みたいな日常を送っている。


 パン粉の乗せられた小皿が一食の食事だ。


 1日3度ある食事で食べるのはソレだけ。


 特別な記念日には干されてカラッカラの薄い肉が一枚もらえるけどソレだって3ヶ月に一度ある程度だ。


 飲水は雨量の多い地域らしく部屋に落ちる水滴だけ。


 月に一度のオークションを除けば1日の9割を色々な作業で費やす。


 ソレでも僕達は結局商品らしく週に一度は一般常識とか本当に簡単な語学や数学を学ぶ。


 そんな環境で生きてるもんだからオークションの日は皆自分を全力でアピールする。


 でも僕はそんなことしない。


 どうせ奴隷を買うような連中に群がる奴らが買った奴隷を大切にするはずがないから。


 だから僕の目標は自分を買うことだ。


 と言うのも僕達奴隷は働き次第で自分を買うことができるのだ。


 奴隷は全員同じような仕事をしている訳じゃない。


 奴隷はその優秀さによって様々な仕事が割り振られる。


 誰だって買うなら買うで優秀な奴が買いたいだろ?


 その方が使えるし有益だ。


 そうゆう天秤のために僕達奴隷はより難しい仕事ができる奴ほど高貴な人間に売り込まれる。


 コレだけでも大半の奴隷は自分を磨くようになる。


 でもソレじゃ足りない奴用のダメ押しとして商人連中はとある規則をしましている。


 それが自分を買える制度だ。


 と言うのも、僕達奴隷は年に一度其々の仕事ぶりに奴隷商のオーナーが点数をつける。


 その際に100点満点が取れた奴隷が解放されるのだ。


 勿論コレはオーナーの主観が大きいわけで今までにコレが適応された子供は片手の数ほどしか居ないらしい。


 ソレでも狙いたい。


 だって魔法みたいな物がある世界だぜ?


 一生奴隷で過ごすとか絶対嫌だからな。


 別にハーレムとか憧れちゃいないけど、ソレでも少しは幸せでありたいだろ?


 まあ生前の悪事を生産するための劣悪な人生だ、とか言われたら反論できないんだけどさ、、、


 でもほら、僕ってポジティブだからさ〜


 とゆうか別の人間が何したとか言われても、、、


 記憶はあるけど現実味が湧かないんだよな〜


 、、、まあソレは置いといてソロソロ仕事に集中しようかな。


 僕は心を切り替えるとイヤホンに通る声を聞きながら別働隊に逐次指示を出した。



「前方50メートルの岩陰に熱源反応あり」


『了解です、人数は?』


「5人ですね、体温を隠すようなスキル持ちがいるかもしれませんので最新の注意を払いながら接近、敵と確定し次第射殺してください」


『了解です、では』


「ご武運を」



 僕は言うとマイクをオフに切り替えて目の前にある大型のアイパッドみたいな画面に映るドローンみたいな小型機経由で見れる戦場の画面150箇所を見ながら戦況を把握していく。


 今僕が奴隷として行っている仕事は奴隷らしからぬ物だ。


 かれこれ5年程前から続く人類と魔族の小規模な戦争。


 僕はそこで明らかに僕より身分の高い軍人に司令部から指示を出している。


 レベルが上がった奴隷は一般人を遥かに凌駕する仕事をさせられるのだ。


 僕はその中でかなり高いレベルに上り詰めている。


 昨年のポイントは100点満点中の96。


 僕は10歳の誕生日を経て間もないにも関わらず何十年も奴隷をしてる人たちより高い成績を残してるわけだ。


 そう、もう少しで解放されていた。


 アイツらさえいなければ、、、

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志半ばで購入された男の成長期 福田点字 @tomotyoko

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