第5話 人獣大戦
ウルルスが居候になって一週間が過ぎた。部屋で良く筋トレと変な体操(拳法の型の事)をやっている。身体が鈍らないようにだそうだ。それでも足りないのか暗くなってから裏庭で走ったりしている。
「そうだ、ウルルスは人獣大戦に従軍してたすですね」
「ベスから聞いたのか?」
「はい。私が一歳の時起きたんですよね、流石に覚えてなくて」
「従事な、俺は軍に入って無かったしどちらかと言えば司令官だけ殺す医者みたいな立場だった」
「医者だったんですか?」
「小さな頃から医院で遊んでいる内に医学を学んでいって、回復術士兼医者兼荷物持ちって立場を冒険者の時やってたんだよ」
「医者って物凄い貴重な戦力じゃないですか……」
「戦う術のない医者って冒険者にならないんだよ」
「それは、そうでしょうね」
「重宝された。致死率がグンと下がるからな応急処置しか出来なかったが」
ウルルスが語る人獣大戦の勝敗は人間側が勝って、獣人たちを結束させ国を作ったとう言う皮肉な結果になったそうだ。今は秦国を名乗っていて大陸でも五本の指に入る国力になっている。
余談だが医師として人間、獣人の分け隔てなく接した為、獣人側から大量の嫁候補が押し寄せて王国に逃げ戻ったと言う、手を出していないとは言っていないが、
「蛇足だが、回復術士って職業はモテるんだぞ?」
「へぇ、何故ですか?」
「初体験の時、痛くないんだ」
「それ、年頃の女の子に言っていいんですか? 私は笑って許しますけど普通にセクハラですよ?」
「ほら、後学の為にな。それで回復術士はモテるって噂が立つとな? 男の回復術士は陰湿なイジメにあうんだ、それでおあいこだろ?」
「そうですねいい思いをせずにイジメに遭う人は可哀想ですね」
「そお言う奴は普通に医院に努めてモテるようになるんだよ」
そんな目的のために冒険者ギルドに入るなんて人いるのだろうか……。大切な神聖力をそのために使うなんて間違っていると思う。
「そう言えばウルルスは実は魔法士なんですよね回復術士じゃなくて」
「魔法士は神聖力も魔力も持っている。俺は攻撃魔法が使えないから家では邪魔者扱いされてた。だから回復術士を名乗ってたんだ」
「神聖力と魔力はどう違うんですか?」
「神聖力が進む力なら魔力は戻る力だな。神聖力は傷の自己回復力を増進させて回復されるに対して魔力の回復は傷を無かった事にするって感じだ。俺は神聖力の方が得意だったんだよ身体強化魔法で傷ついた筋繊維を回復させると前より強い筋肉になる。普通の魔法士は身体強化で傷ついた筋肉を魔力で戻すって方法なんだよ」
「なるほど。その割にはウルルスはムキムキになりませんね。一見普通の人の筋肉量です」
「ムキムキにならない体質なんだ。それにムキムキの暗殺者なんていないぞ基本的に武器を使うから」
「ウルルスは武器は使わないんですか?」
「俺は裏打ちって技術で素手の一撃を二撃に増やすんだ前後から同時の打撃で心臓を潰す方法をとってる。武器は返り血で目立つからな」
「なるほど剣を使わない暗殺者が多いのは返り血が怖いからですか」
「目立つのを嫌うんだよ。宿も変えるし、定住しないのが基本だな」
「冒険者でも無いのに宿を頻繁に変えるっておかしくないですか?」
「冒険者ギルドカードは少額の金を積めば誰でも作れるからな。低ランクの依頼ばかり受けてる奴は腕が立たないんじゃなくて裏の仕事をしているのかもしれないぞ?」
「まさか、うだつの上がらないだけでしょ」
「ほら、もうだまされてる」
「あ」
「俺もCランクで追放されてるからなギルドカードはCランクだぞ」
「国王暗殺なんてAランク冒険者でも出来ない仕事をやっといてですか?」
「俺は裏技の秘密の抜け穴を使ったからな、アレが有ればそれなりの腕で暗殺は可能だ」
「なんでウルルスが選ばれたんですか?」
「自然死に見せかけて殺しかったんだろ。他に理由が思いつかん」
「なるほど」
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