1−4. 魔法の門と瑞穂の国

 ロウは着席して今一度ミカレントに向き直った。


「然るに今朝から付け回していた海路を照らす炎の姫様は、オレに何用だい」


 軽い態度にミカレントは少しだけ鼻白んだが、すぐに力を込めてロウを見つめ返した。


「髪色や短剣の造り、そしてあの変な戦い方。あなた、瑞穂国の人間ね」


 一拍間を空ける。

 ロウはじっとミカレントを見つめ返し、


「だったら、どうするんだ」


「いいから答えなさい」


 威圧し返され有無を言わせない構えだ。

 ここは自分が折れることにした。


「そうだ。この脇差しは親父からの賜り物で瑞穂の武器だ。

 でもラノベの血が1/4入ってる混血ミックスだし、こっちの暮らしが長いから生粋の東方人イースタンってわけでもないぞ」


 ロウも真剣に応えるが。


「変な戦い方ですって、ぷっくく……」


 一方で吹き出す氷の妖精。


「戦術に関してはエーンソフィに笑われる覚えはないっ」


「でしたら、普段から魔法杖キャストの長剣をお使いになればいいのです。

 これ見よがしに瑞穂の小剣を帯びているから、変則的になってしまうのですわ」


「オレは瑞穂の剣士であることを誇りに思っているし、脇差しは大叔父からの指示でもある。

 簡単に外せるか」


「その癖に決闘競技デュエルでは頻繁に武器を変えますわよねぇ」


「瑞穂人というのは確かなのね。

 それならさっきの名乗りは偽名なの?」


 ミカレントが強い言葉でエーンソフィの横槍を押し返す。


「音節を変えているだけで本名だよ。

 姓が古馬こばで、名が九郎くろう

 こっちじゃ漢字が使えないし、昔からの渾名だから、通りが良い方を使っているんだ」


「この部屋に居る人たちは、あなたの素性を知っているのね」


「そりゃまあ同じ騎士生徒会の役員だしな」


 神秘性より悪戯方面に傾げている氷の妖精は視界から外す。


 するとミカレントは神妙な表情で問いただす。


「”ポータル”が停止状態というのは本当かしら?」


 突然の話題にロウが困惑顔で聞き返す。


「えっ、なんだって?」


 炎の姫は怒りを抑えながら低い声音でもう一度問う。


「ラナノベーシ国に遙か東方の異文化が部分々々入っているのは、遠方を繋ぐ魔法の門ポータルがあるからでしょ!」


 動かぬ証拠としてロウの脇差しを指差す。


「そうだな。二ヵ国間は簡単に行き来できる距離じゃない。

 でも出島ポータルなら話は別だ。

 オレも一回だけ特別に故郷参りで使ったけど、あれはすごい体験だったな」


「しかしこの十年間、国交が途絶えている。原因はポータルが秘密裏に破壊されたのだと噂を耳にしたから、瑞穂の人間であるあなたに聞いているのよ」


「昔より融和されているが、今でも空間魔法接続装置は歴とした国家機密だ。オレが通行許可を貰えたのは本当に特例だし、現状なんて知らない。仮に知っていても漏洩したら自分の首が危ぶまれる」


 自分の首を締める仕草をして震え上がるロウ。



 東方の国瑞穂と、”ポータル”もしくは空間魔法接続装置エーテルトランスポーター

 この2つはラナノベーシ連邦王国の重要秘密であり、また希少な資源でもある。


 それがいつ、どのように作られたのかは記録に無い。

 存在自体は古くから言い伝えられており、長く王家の秘密だった。


 それが50年前、貴族院に籍を置く前王から存在発表と限定公開が提案された。

 もちろん一悶着があったが、後に有力貴族や周辺諸国の王族などの一部へ情報が公開され、”ポータル”自体の技術研究や異文化交流の活性化図られた。


 それでも”ポータル”の具体的な形などは厳重に秘匿され、新王宮の何処かにあるとしか明かされていない。


 技術解析の結果、”ポータル”が現代の魔法技術では作り出せないオーパーツであることが判明した。


 ようするに、何も出来ないことが解ったわけだ。


 なにより”ポータル”自体の欠点も明白にされた。


 まず動作が不安定で利用できる時間帯が不規則なこと。


 そして一回の転移では大人独りぐらいの大きさが限界なこと。


 最悪なのは転移中に装置が停止期間に入ると、対象が分断され死傷に至る場合もある。


 これにより関連事項の進捗は最初期のスケジュールから大きく遅延することになった。


 以上のように多くの制限があるので、”ポータル”に関わる人間も限られている。


 新王宮の警備を担当する近衛隊、”ポータル”の研究をする学者、わずかな物資で交易する御用商人、そして魔法の国境を越えて新天地に漕ぎ出す極少数の移住者。

 この人数の少なさから、情報統制は十分に関係者たちに行き届いていた。



 今度はエーンソフィがミカレントに問いかける。


「瑞穂国へ拘りますわね。何か事情がお有りでしょうか」


 炎の姫が俯き膝上に載せた手を固く握る。


「母様があちらに渡られてから、連絡が途絶えているのよ……。

 表向きは郊外別館での長期療養だけど」


 落とし穴な話題だったか。

 ロウは心臓に突き刺さる針を幻痛する。


「ルイノーフ公王はなんて言っているんだ?」


「御父様はラノベから連絡が無いのなら問題ないって。

 そういう契約で渡瑞したからだと……」


「”ポータル”の動作が安定しないことは事前に解っているからな。

 それぐらいは取り決めているか。

 当然、覚悟もだ」


「でも私が諦めかけた時、ヴェス兄様が協力してくださると言ってくれた!」


 ミカレントの言葉に熱が戻る。


「母様は側室で王宮内に敬遠する派閥があるわ。

 瑞穂行きへの道筋を作ったのも彼女たちよ。

 国内で動けば間違いなく妨害される。

 だから私はヴェス兄様の勧めでラノベ学園に来た。

 ”ポータル”があるこの国なら情報を探れるはず。

 なにより序列で好成績を出せば、兄様が集めた情報も明かすと約束してくださった。

 留学を受けない理由はどこにもないわ」



 ロウは思考する。


 オリヴァー会長が懇意にしていた家っていうのは、ルイノーフ王家じゃなくて側室の母方か。

 それにしても、この姫様は行方知れずになった母親の為に留学までするのか。

 十年以上顔を会わせていないのに。


 確かに、この火の玉の一途さには慎重誠実な対応をしたくなる。



 ずっと書類作業していたサマントレが筆を置いて会話に参加してきた。


「ミカレント姫、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?

 昨日さくじつこの部屋へ挨拶にいらした時は私服でしたが、決闘競技デュエルは制服で行ったとか。いつお着替えに?」


「ヴェス兄様には早く寮に戻るように言われましたが、制服姿を見せて驚かせたくて少し離れた更衣室に入ったの。

 その結果がああなってしまうとは……、不覚でした」


 なるほどと頷いてサマントレ副会長が一つの解を出す。


「使用許可が出ていない更衣室でミカレント姫が着替えていた点に付いてだが、まずオリヴァーの細工だろう。

 ロウが見回っているのにも関わらず、寮に帰る姫が逸るように仕向けた。違いますか?」


「そんな馬鹿な。

 確かにヴェス兄様は制服姿が楽しみと仰ったけど、私を辱めるようなまねをするはずないわ!」


 テーブルを叩いて反論するミカレント。


「副会長。これ多分、オレたちとミカレントの間で会長に対する印象が食い違がってますよね」


「残念ながらミカレント姫。

 この学園におけるヤツの悪名はコバックとは別ベクトルで黒く深い」


 黒の方向性ってなんですかというロウの抗議は流された。


「ヴェス兄様は賢く公正な尊敬できる人です。

 悪評なんて付くはずがありません」


「それは貴女がオリヴァー・マステアという人間にとって敵対せず保護される対象だからです。

 ヤツと対峙する者からすれば、賢しさは狡猾に、公明さは無情の性格にとって変わる」


 冷静な女騎士の指摘に、さすがの炎の王女も威勢を弱める。


「とは言え、流石に着替え中に鉢合う確率は極低く見積もっていたでしょう。

 精々勝手知らない新入生として注意する程度で終わるつもりだったと思います。

 最悪な状態になったのは、完全にコバックの運の悪さです」


「オレが更衣室でチェック以外のことができないよう即席の呪いが掛けられてたのは知っているだろ。

 マリネル側の作業負荷軽減を理由に、呪いの件を提案してきたのはオリヴァー会長だ」


 普通に行けば、ロウの更衣室点検中にミカレントがやってくる方がありえる。

 ここまで状況証拠がそろっては、オリヴァーを疑わないほうがおかしい。



 ロウが声に出さずに詮索をまとめてゆく。


 一国のお姫様が入学するのに会長が連絡を伏せていた理由は、オレを誘導灯にするためだな。


 ミカレントもオレの存在を事前に知らされていなかった。

 知っていたのなら、まずは”ポータル”の現状を会長経由で確認したはずだ。


 おそらくオリヴァーはミカレントの突っ走りアンストーキングまで含めて予測していた。

 今朝から会長に接触できなければ昨日見た瑞穂人に張り付くだろうという目論見で、見事餌に食いつかせた。


 この時間帯に会長が騎士生徒会室に居ないってことは、オレに姫様を引き止めておけってことか。

 まだお姫様に関する会長の策謀は動いているんだな。

 振り回されているのは全員同じだし、とりあえずは今は乗ってみるか。


 心の中でミカレントを憂い、オリヴァーに賛同することにした。



 先程から最中を目の前にして浮かれている実力派騎士団々長も加わってくる。


「着替え後に中庭で決闘競技デュエルでのデモンストレーションを行ったのですよね」


「会長が丁度良くあの場所に出てきたのは、そのためだろうなあ。タイミング完璧だったし」


 興味を引き付ける瑞穂人とエンカウントさせてからの決闘競技という段取りが考えられる。


 人数分の茶を煎れたマリネルがそれぞれに配膳してゆく。


「……ミカレントさんとロウの決闘は必要なことだって、昨日生徒会長が言っていました」


「なるほど。会長の目的はミカレントの実力を学園内に見せ付ける。

 今のところ予測できるのはここまでか」


「いや、昨日の段階で披露することが条件ならもう一歩踏み出せる。

 学生騎士団からのミカレント姫への指名工作を誘発させるところまで含んでいたのではないか」


「……つまりミカレントさんを早急に馴染ませる示威行動だったんですね」


 騎士生徒会の連携推理にミカレントは出された茶を飲む間もなく、聞き入っていた。


「よくそこまで勘ぐれるわね」


「オリヴァー会長が普段からどれだけ信用されているのか、解りやすいだろ」


 肩をすくめるロウ。

 エーンソフィがお茶を一口含み、小首を傾げる。


「生徒会長様が離席されているのは、学園内を観察して姫様を勧誘する騎士団を見定めているからでしょうか?」


「だとしても、昨日の今日でオレに姫さんを張り付かせて学生騎士団との接触を制限してたのはどうしてだ?」


「ミカレントさんの所属を急いでいるのか、いないのか、どっちなんだろ……?」


「それこそがヤツの狙いだな。

 おそらくタイムスケジュール通りということだろう。

 後は騎士の剣に問うだけだ」


 副会長の結びに、ミカレント以外の人間が同意する。


「身内だけで話しを進めないでよ。一体どういう事なの?」


 ロウが仮の結論を告げる。


「ミカレント姫争奪〔デュエル〕の開催だ」


「そんな大々的にやられても困るんだけどっ!」


「姫さんが能動的に動ことはないから安心しろ。

 昨日の決闘だけじゃギャラリーの数も判断基準も足らないからな。

 呼び子を作ってからの、次が本戦だ。

 学生騎士団同士で主導権を争うか、ミカレントの入団を希望する騎士団からの挑戦を受ける形になるだろう。

 たぶん会長は、既にミカレントを入団させる学生騎士団に目星をつけていて、どうすれば思惑通りに運ぶかの最終調整中なんだ。

 そういった決闘の調停や決議の審判役が、オレたち騎士生徒会の役目でもあるし」



 騎士生徒会は、学生騎士団間の折衝や催し物の取りまとめを目的とした特別な騎士団である。

 所属役員には他の騎士団との兼任が認められている上に、騎士生徒会所属という騎士団序列とは別の評価を得ることが出来る。


 逆説的に騎士生徒会は学生騎士団への抑止力という立場も兼ねることになる。


 生徒会と騎士団を兼任でいるということは、自分の騎士団サークルに優位な決定を下すことが出来る。


 騎士生徒会での発言力を上げることを目的に、騎士団からは相応の力を持つ人間が送り出される。


 当然所々の騎士団からも実力者を推挙し対抗してくるだろう。


 騎士生徒会とは、そうした環境から個人序列上位者が集う場所でもあった。


 そこに実力で現行の騎士生徒会と渡り合える無所属の新人が現れた。

 これを誰もが放ってくはずがない。


 ミカレントがロウに詰め寄る。


「決闘で思い出したけど、呪いの爆発がなければ私に負けていた騎士がどうして騎士生徒会にいるのよ」


「爆発が無くても、射出での体当たりか太刀の打ち出しでオレの勝ちじゃないのか?」


「頭のカウントダウンがなかったら、それなりの魔法を使ったわ。

 第二、第三階梯の攻性魔法で打ち合えば、私の勝ちは確実だったのよ」


 その通りなので反論は重ねずに引き下がる。

 呪いの爆発も含めてあの決闘はロウが負ける要因が多い。

 引き分けに出来たのは、ミカレントがロウの戦術と魔法を知らなかったの一言に尽きる。


 黒髪庶務は肩をすくめて軽く頭を振る。


「オレの庶務任命には、色々と単純な事情があるからあまり聞かないでくれ。

 この学園にいれば、そのうち解るからさ」


 ロウの説明にマリネルが俯き、サマントレが渋面になり、エーンソフィが作り笑いをする。



 強者集まる騎士生徒会にどうして個人序列十位以下のロウがいるかというと、本学園の個人序列第一位が無理やりロウを指名したからだ。

 ロウは暴虐な人事に生徒会長と副会長が反対すると思っていたが、なぜか快く迎え入れられ下っ端雑用係に取り入れられた。


 もちろん反対する者は学園内に複数いた。


 だが序列第一位がたった一回の〔デュエル〕でロウを含む反対者全員を完膚無きまでに叩き伏せ、認めさせた。

 実に理不尽であるが、現序列第一位はそれだけの実力を持っていた。


 ロウも対価として得られる報酬や後々のコネクションを鑑みて、今の立場が釣り合っているのか判断し辛く悩んでいた。

 ずるずると抜け出す切っ掛けを作れず庶務仕事を続けているのが現状だ。



 ミカレントがコップの中で揺れる明緑色の茶を見つめる。


「騎士生徒会はもっとピリピリしていると思ったけど、全員親しげだし」


「他国の魔法騎士学園がどんなのか知らないが、ウチな去年からこんな感じだ」


 ロウが抹茶を音もなく含み飲み下す。

 空いた手で最中を手に取ると半分齧りついた。


 ゆっくりと茶を楽しむサマントレも笑う。

 硬い感じがした彼女が、やらかな微笑みを浮かべていた。


「この雰囲気はオリヴァーと学内序列第一位のおかげだな。

 そこは感謝しよう」


 生徒会内の勢力は基本オリヴァーとその他全員の2分派になっていて、パワーバランスの負の面をオリヴァーが調整してくれている。


 決闘競技に関しては学内序列第一位が悠然と統治していて、序列下位への無理強いが起こりにくい。

 決闘理由や大義名分を明確にしておかないと、統治者がねじ伏せにやってくるからだ。



 炎の姫は手の中のカップを廻し始めた。


「あの、ミカレントさん。

 抹茶がダメでしたらいれかえますよ……」


「大丈夫です。

 これは瑞穂のお茶なんでしょ。それなら大事にいただきます」


 他の人間は自然に飲んでいる。

 ミカレントは心を決めて口付けた。


 苦みと渋みが口の中だけでは収まらず、のど越しにべったりと張り付いてきた。

 一口目であやうく吹き出しそうになった。

 根性で飲み下し、激しく咳き込む。


 なんだこのお茶は……。


 顔をしかめるミカレントに、エーンソフィがお茶請けを勧める。


「そこで、この粒あん最中ですよ。騙されたと思っておひとつぱくっと」


 誘導されるままに瑞穂の菓子を食べる。


 すると薄い焼き皮が水分を吸って口内に張り付き、お茶の苦味を中和させた。

 最中を咀嚼すると、砂糖を混ぜた荒越し豆のペーストに歯が届く。

 焼き皮が完全に砕かれ今度は甘いペーストが口の中に転がるが、先程のきつい渋さを味わっているので程よく甘い。


 ああ、これは美味しい。


 ミカレントはお茶が菓子を合わせての様式だとわかった。


 母様もこれを味わっているのだろうか?


 瑞穂の文化に触れ、少しだけセンチメンタルに落ちる。


 炎の姫が余韻味わう最中、唐突に男子生徒が生徒会室に走り込んできた。


「てーへんだっ、てーへんだぁ! おやぶん、てーへんなことが起きましたぜぇいっ!」


「騒がしい」


 サマントレが近くにおいてあった書類用文鎮を男子生徒に投げる。

 男子生徒とは反射的にそれを受け止め悲鳴を上げる。


「痛ってぇ、受け止めた手の平がとても痛い。これ文鎮じゃないっすか」


 目に涙を浮かべるのはランザ・モズタホトロン。

 ロウとマリネルが騎士生徒会と兼団所属する猫の足音キャッツタップ騎士団ナイツのメンバーだ。


「オリヴァーのヤツが雲隠れして忙しい時に何事だ」


「それっすよ、それ。

 今まさに校門で無頼漢を押し留めているのがオリヴァー会長で、至急学生騎士生徒会役員を集めてくれと頼まれたのがこの俺ちゃんランザ・モズタホトロッッ!」


 丁度セリフの最後に被せてサマントレが生徒会室の出入り口前にあった邪魔な物を突き飛ばして早足で出てゆく。


 副会長に一撃で廊下に転がされたランザが末期まつごの言葉を絞り出す。


「なんか、お姫様には気付かれるなって言われたんだけど……」


 今度はミカレントが校門に向かって走り出した。

 ロウは苦虫を噛む潰したような顔で友人を見下ろす。


「ランザさんよ。ジャストタイミングで最悪な展開になりそうだぞ」


「それは俺ちゃんのせいじゃないぞ……がくっ」


 痙攣するランザを、怯えるマリネルが長杖で突っつく。


「だ、だいじょうぶ……?」


「ああ、マリネルちゃんだけが騎士生徒会の天使だぜ。魔女だけど」


「霊薬の素材は早期処置の必要があるから、意識を失ったらちゃんと言ってね」


「もしかして俺ちゃん焼いて潰して粉にして釜茹入り!?」


「そうじゃなくてランザくんに処方する霊薬って意味で……」


「意識が落ちた状態でどうやって喋るんだよ」


 ロウの突っ込みにはっとしたマリネルが、はにかみながらそっと三角帽で顔を隠した。

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