第12話 ヒトとヒト?

 図書館からバイクを走らせてかなりの時間が経った。

 如何にもライブ会場!って感じの場所に着いた。


 ステージは意外にもしっかりしていて、マイクやスピーカー等といった機材もバッチリ完備のようだ。


 さて、無事に着いたところなんだけど… 博士の言ってたマーゲイさんは何処にいるのかな?


「マーゲイハ、ステージ裏ノ小屋ニイルヨ」


 言われなくてもやってくれる。流石は優秀なガイドさんだ。まぁガイドだけなんだけど。


 とにかく、マーゲイさんに会いに行こう。





 §





「この小屋かな」


 コン、コン、コン……


「は~い」


 優しいノックの後には一つの返事。そこに名前と用件を言えば、中から近づいてくる音がした。


 ガチャり、扉が開くと出てきたのは眼鏡を掛けた金髪のフレンズ… 彼女がマーゲイさんだろう。


 博士からは既に話がされているらしく、特に悶着はなく中に通してくれた。





 §





 さて、無事に中へ入れた訳なんだけど。

 そのぺぱぷの皆さんとやらは何処にいるのだろうか。有名なアイドルらしいから、一目は拝んでおきたいところだ。


「そういえば、貴方もヒトだったわよね?」


「そうですね」


「ちょうど良かった、貴方に会わせたいヒトがいるの」


「ヒト?」


「かばん、入るわよ」


 とある部屋の前に案内されて、マーゲイさんはその扉の奥に呼び掛ける、ら

 優しく開けられた部屋の中には、黒髪のくせっ毛の子が椅子にちょこんと座っていた。


「どうしました?」


「ヒトを連れて来たわ」


「ヒト!?ヒトですか!?」


 彼女はヒトという言葉に過剰な反応を示し、椅子から降りて近付いて来た。

 すると俺に気が付いたのか、マジマジと見つめられた。


「貴方がヒトの…?初めまして、僕はかばんっていいます」


 少し食い気味の彼女は、上目遣い(身長差のせいでそう見える)で俺に自己紹介をしてくる。


(……なんだろう、この感じ)


 とりあえず深呼吸して。


「お、俺はルロウっていうんだ。よろしく……」


「よろしくお願いします!」


 満面の笑み…!?

 止めてくれ俺に効く!やっぱ止めないで!


「どうかしたんですか?」


「ん、いや、なんでもないよ?」


 なんでもない。なんでもないハズなんだ。


「えっと、そろそろお手伝いに来てもらってもいいかしら?」


 ありがとうマーゲイさん。助け舟をくれて。


「あー、それじゃあ俺は行ってくるね」


「頑張って下さい!」


 うん、天使か?(オーバーキル)

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