第10話 不思議な夢

 俺がここにやって来て、既に日常と呼んでしまう程の日数が経った。


 そんなある日、俺は不思議な夢を見たんだ。





 §





 目が覚めると、そこには知らない空間が広がっていた。


 どこまでも白が塗りたくられたような、ちょっと気味の悪い世界で、俺は一人そこに立っていた。


『……放て』


「あ?」


 戸惑って動けずにいると、何処からと声がすると同時に、知らない青年が現れる。


 隠すように霧がかかって顔を捉えることは叶わなかったが、その人物はセーラ服のような格好の上に羽織りを被せていて、腰には白い鞘の刀を帯刀していた。


 聞き取りにくかった声も、やがて鮮明に聞こえてくる。


『解き放て、お前の力を』


「俺の力…?」


 そう問いかけても、彼は答えもせずに一方的に話を続ける。


『解き放て、内なる力を。この島の未来の為に、今こそ……』





§





「……あっ」


 ぼやけていた意識がハッキリすると、見慣れてしまった天井が見えた。いつも使っている寝室のようだ。


(それにしても、何だったんた?あの夢……)


 内なる力。この島の未来。

 訳が分からない。


「あ、そういえば」


 今日は博士に呼ばれてたんだった。色々言われる前に行っておこう。

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