第7話 としょかん

 目が覚めると、そこには知らない天井が見えた。


 何があったんだっけ?体も少し痛いし。


 (よいしょっと)


 ゆっくりを体を起こし、辺りを確認する。

 少し見たところ埃っぽいので、あまり使われていない部屋みたいだけど。


「オハヨウ、ルロウ」


「うわぁ!?……ってラッキービーストか」


 急に話し掛けないでくれよ。びっくりする。

 まぁ、ラッキービーストも一緒だったみたいだ。


「ちょうど良かった。ここは何処なんだ?」


「ココハ、図書館ダヨ」


「寝てる間にいつの間に……」


 でも図書館のようにはとても見えないが。


「一度、外ニ出ヨウカ」


 そうしようか。



 §




 部屋から出たら、見渡す限り聳え立つ本棚達が見えた。


 そして驚くべきは真ん中…… 巨木が天井を突き破ってそこに生えていた。


(雨漏りが心配になるな…)


「ほぇ~」


 更に外へ出ると、周囲は沢山の木々に囲まれていた。

 出てきた建物の周りには、水道のある場所や調理場みたいなところもあるみたいだ。


 好奇心のままに辺りを探索していると、とある物が目に入った。


「ジャパリチェイサー……」


 そこにあったのは、ここに来る為に使用していたバイクだった。よかった、失くさなくて。


(こっちもすっごいな……)


 ふと目に入った、俺が目覚めた建物。

 赤い屋根に白い壁は、知恵の実と言われるリンゴを連想させるデザインだ。


「確かにピッタリだな」


 それにしても、とても静かだ。

 ここまで動き回っても、フレンズと遭遇する気配が一切ない。建物もあんな感じになってるし、ここはフレンズが寄り付かない場所なのかな?


「ラッキービースト、ここいつもこんな感じなの?」


「本来ナラ、ココニ博士ト呼バレルフレンズガイルハズナンダケド……」


 博士と呼ばれるフレンズ…… 司書さんみたいな立場なんだろうか?

 ここまで探してもいないのなら不在なのだろうか。それとも……


「そこだっ!!」ガシッ、ブォン!!


「アワワワワ」


 後ろでコソコソしているそいつなのだろうか。とにかく、正体を確認する為にラッキービーストをスパーキング。


 鈍い音が響き渡り、何かがそこに落ちてくる。


「…」バタンキュー


 落ちてきたのは白い髪の小柄なフレンズだった。

 彼女が博士と呼ばれるフレンズだろうか。それともただ無関係な、不幸なフレンズか。


「甘いですよ」


「なっ!?」


 後頭部に感じた強めの衝撃。

 油断しきっていた俺の身体は抵抗することが出来ず、うつ伏せに倒れてしまう。


「ふふ、一人落ちて来たからといって油断しましたね。二人目がいないとは限らn」


 カァァァァァン!!


 自信満々に語る何者かに、頭上から何かタライのような物が直撃した音が聞こえた。


 今の状態で分かることはただ一つ、この場にいる者は全てダウンである。





 §





「それでは、気を取り直して…… どーも、アフリカオオコノハズクの博士です」


「どーも、博士の助手のワシミミズクです」


「どーも、人間のルロウだ」


「聞きましたか?博士」コソコソ

「ええ、聞いたのです。期待できそうですね」コソコソ


「…何話してるんだ?」


「こほん、何でもないのです」

「それよりも、お前に一つ質問があるのです」


「なに?」


「お前は料理は作れますか?」


「料理…… まぁ、人並みには?」


「聞きましたか?助手」コソコソ

「ええ、これならありつけるのです!」コソコソ


「さっきからなんなんだ?」


「気にするななのです」


「それより、お前に試練を与えるのです」


「試練?」


「ええ、この試練を突破した暁には、図書館を自由に使わせてやるのです」

「ここに住んでもいいですよ」


「それは本当か!?」


「嘘はつかないのです」


「何をすればいい?」


「単純ですよ。我々に料理を振る舞えば良いのです」

「美味しければ合格です」


「なるほど、受けて立つぜ!」


「決まりですね」

「それでは」



「試練開始、なのです!!」

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