第4話 旅のみちのり

「うへ~、疲れた……」


 砂浜から出発して体感一時間くらいだろうか。景色は一転して暗い森の中にいた。


「ラッキービーストぉ…… 後どれくらい〜?」


「マダ距離ガアルヨ」


「うげ、ここら辺で一旦休憩しない?」


「モウ少シ頑張ロウカ」


「そんなぁ……」





 §





「コノ辺リデ休憩シヨウカ」


 結局、休憩しようと言われたのは更に一時間くらい歩いた後だった。足痛いわ。

 そんな疲れ切った足腰を休める為に、近くにあった切り株に腰をかけた。


「ラッキービースト、じゃぱりまんちょうだい」


「ドウゾ」


 ああ、疲れ切った身体が癒される……


(ん、そういえば)


 何となくで遠くを見つめて思い出したことがあった。

 今の目線の先には登頂部の輝いている火山のような山が見えるのだが、あれがちゃんとした火山なら噴火するんだろうか?




 ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!




「ん?」




 ドゴォォォォォォォォン!!


 ああ、噴火するんだ。

 いや!じゃなくて!大丈夫なのあれ!?


「小規模ノ噴火ダカラ、大丈夫ダヨ」


 あれで小規模なの?

 とてもそんな風には見えなかったけど。


「アノ火山カラハ、『サンドスター』ト呼バレル物質ガ噴出サレルンダ」


「へぇ、サンドスター。どんなものなの?」


「サンドスターハ…… 注意!注意!セルリアンが発生しました!」


「うぇ?!」


 警報?急に??セルリアン???


 ラッキービーストの警告の後、近くの茂みから一つ目ぇ!?変な生物(?)が飛び出してきた。


 深い青色で、とても丸くて、その不気味な一つ目でこちらを見つめてくる。


 とりあえず、俺の直感故か天才さ故か定かではないが、分かったことがある。


 こいつは敵だ。そしてデカい一つ目が弱点だと。


 先制攻撃を貰う前に敵だと気付けて、尚且つ弱点も丸分かり。

 以上のことから、丸腰の俺でも勝てるということ!!


 勝ちを確信して拳を放つ。

 勢いよく豪快に放たれた拳は強く一つ目に命中するが。


 ──ゴンッ


「痛ぁ?!」


 ただ鈍い音と、俺の情けない声が響くだけだった。


「目が弱点じゃないのかよぉ」


「───ッ!!」


「むっ、殺気!逃げるぞラッキービースト!!」


 赤い光を放ち続けるラッキービーストを脇に抱えて逃げ出した。

 幸いなことにここは坂道、加えてアイツには足がないから逃げ切れる……!



 ───ゴロゴロゴロ



 やれやれ、足がないから追い掛けられんわぁ!なんてなるわけないだろ!!しっかりしろよ俺!!!

 ふよふよ~と浮いて追って来たし、坂道を利用して転がってきた。


「ラッキービースト、どうしよう?」


「注意!注意!」


 ダメだ警告しか発しねぇ!その注意すべきセルリアンとやらは真後ろにいるんですけど?何とかしてくれよ!!


「くっそ、こうなったら…」


 このまま逃げてもイタチごっこ。

 そもそも逃げ切れる自信がなくなってきた。


「やるしか…!」


 クルリと半回転して後ろに振り向く。

 その際に転がってた石を拾って…… 全力でヤツに叩き付ける!!


「くらえッ!ただの石ッ!!」


 一つ目でふよふよ浮かなければ可愛らしいボディに一撃を叩き込む。

 当たり所が良かったのか、その怪物はパッカーン!!と消えてしまった。


「よし、やりぃ!!」


「マダ来ルヨ!!」


 今更戻っても遅いよ!まぁでも任せとけ!

 今の俺は負ける気が…


「グモモモモモ…!!」


 あー、ダメだ無理。コイツさっきのよりデカい。逃げよ。

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