第3話【Q.ギルドといえば?A.迷惑な冒険者!】

あの後

「金が無いなら冒険者ギルドに行くといい、いくつか素材を持っているならそれを売って金に出来る。カードも作っておけば更に金が稼ぎやすくなるぞ。」

という、とてもとてもとーーってもありがたいお言葉をいくつも頂き、ギルドでは絡まれたくないなぁ……と思いながらイシスは1人で冒険者ギルドに向っていた。


(やっぱりお金が手に入ったらなにかご飯が食べたいな……!)


前言撤回、思っていなかった。


─────────────────────

重厚な扉を開くと、もはや言うまでもない冒険者ギルド感がボクを歓迎してくれる。

丸い机が並び、カウンターには色んな職員さんが受付をしている。右側には2階へと上がる階段があり、2階は宿になっているようだ。左側はクエストボードがある。


(これが……冒険者ギルド…ッ!!)


言うまでもなくワクワクし、受付に並んでいた…のだが……


「おいおい、ここはテメェみてぇなガキがいていい場所じゃねぇぞ。さっさと俺に場所を変われクソガキ。」


やっかいな ぼうけんしゃに おそわれた!


覚悟はしてたけど、やっぱりこうなるか……。

っていうか周りがザワザワしだした。まあそうだよね。

とりあえず鑑定しとこ。


【グレゴリー・ドバート】Lv.23


HP体力:55 MP魔力:32


STR:16 VIT治癒力:62


DEF防御力:30 INT頭脳:15


DEX命中率:6 AGI素早さ:30




EXP:573/2000


【スキル】


・罠感知:Lv.2 ・炎魔法:Lv.1


【ユニークスキル】

無し


【称号】

無し


よっっっっわ!!!!

さすがに少しびっくりしてしまった……。


「なんだ?無視か?この俺を無視するっつーことは、どういうことかわかってんだろうな?」


わかるわけないだろこのあたまぴかぴかー!!!と心の中で思いつつも、口に出すのをグッと堪える。

あくまで向こうが手を出てきた場合だけだ。これでもボクは我慢ができる大人な女だからね!ふふんっ!


「……あーくそ!なんか反応しろよこのクソガキが!もういい!この際だったら決闘だ!決闘しろ!」


つるぴかは背中にかけていた大剣をこっちへ向ける。

どうやら決闘をしたいらしい。INT15でもここはちゃんとしているようだ。もしくは人生を決闘に捧げているのかもしれない。


(…嬢ちゃん、悪いことは言わねぇ、拒否して、また2刻後にくるべきだ……!)と隣のイケおじが耳打ちしてくれるが……

「ん、いいよ。その決闘受けてあげる。」

『!?』


受けるしかないよね。めっちゃ驚かれたけど。


──────────────────────

<訓練場>

『勝利条件は相手を気絶させるか、降参させるかです。死亡の心配はございません。では、決闘開始まで……10...9...』


「随分と余裕そうだな!相手の力量も測れないガキが!舐めてんじゃねぇぞ!」

『6...5...』

どっちのセリフだよ。

『4...3...』

「……まあいいや、じゃ、やろう。」


「ハッ!後悔することになるぜ。」

本当にセリフが小者だな……。

『1...決闘開始!』


「どこからでもかかってきなよ。」

「…ッチ!」


つるぴかばかは、不壊だが相手を殺せず、気絶値のみ溜まるという魔法の木の大剣を構え、こちらに迫ってきている。

対してこちらは何もせず、ただ待っているのみ。


「足がすくんだのかしらねぇが、動かねぇなら1発で仕留めてやるよ!死にやがれェ!!!」


つるぴかばかあほは思い切り大剣を振りかぶる。

その軌道は首へ迫っている。

首に当たってしまえば1発で気絶するため、それを狙ったのだろう。


だが……


「!?」


迫り来る木の大剣を掴み、

その流れのまま、相手を切り刻む。その間僅か0.1秒。つるぴかばかあほくそざこ大男は音を出し倒れた。


「……しょ、勝者イシスさん!」

『うおおおおおおお!!!!』


──……歓声に飲まれる中、ボクは聞き逃さなかった。



──刃物使いが【剣豪】に進化しました。──

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