デスゲーム運営なんだが、俺はもう限界かもしれない〜ルール改定が遅すぎた。他のデスゲームから追放されたチートプレイヤーが俺の運営するデスゲームに参加しているらしい〜
華川とうふ
第1話 プロローグとブラック主人公
「なんで、私がこんなところに入らなきゃ行けないのよッ!」
銀髪の美少女が高飛車な口調で男を怒鳴りつけた。
少女はまだランドセルを背負っていることから学校帰りの小学生であるのが明らかなのに、怒鳴りつけている相手はスーツ姿の大人の男であった。
異常な光景だ。
その前で男はおろおろとしながら、
「それが、ルールですので……」
と困った顔をして、なんとか少女の機嫌が収まるのを待つ。
これが、今日この男にとって一番懸念していた仕事だった。
この銀髪の少女はいつもこうなのだ。
(このメスガキ、分からせてやりてえ……)
そして、男はいつもそう思いながらも籾手をしながら少女を追いかけてご機嫌をとる。
彼女には何時も手を焼いているのだ。やっとのことでご機嫌をとって、少女にカプセルへ入って“いただく”。
プシューッというSFではお決まりの音を立ててカプセルの蓋は閉じられて、どろどろの緑の液体が注入される。
(あー、触手モノとかスライムに犯されているエロゲみたいだ……)
カプセルを閉じたせいで男から見えるのは小さな窓の範囲、少女の顔だけになる。さっきまで見えていた完璧な美しく健やかな体はもう外からは見ることが出来ない。
もちろん、カプセルの中の装置で少女の状態は常に
ドクドクと音を立てながら、卵形の銀色のカプセルの中はあっという間に粘性を持ったゼリーで満たされる。
何時もながら、こんなので呼吸ができるのか不思議で仕方がないが全身をこの特殊なゼリーで包まれることによって、排泄や老化など人間が忌み嫌うものを一切排除できるのだ。
カプセルの中はまさに完璧。
男は一仕事終えて、安堵のため息をついた。
これで報告をすれば今日の一番気が重い任務は終了だ。
男は地下室の扉を閉ざした。この扉は何があってもデスゲームが終了するまでは開くことはない。
◇◇◇
「さあ、ゲームの始まりだ!」
アー、ハッハッ!!!!!
俺、木崎修太郎は無理矢理、
今日からデスゲームが始まる。正直、これからしばらくデスゲームの勝者が出るまでの間、俺はろくに眠れないだろう。
この前のデスゲームの事務処理がやっと終わったと思ったのに、一週間も経たずにもうデスゲームが開始されるとかウチの会社はもしかしたら社員を過労死させるデスゲームでもこっそり開催して誰かが俺たちの中で誰が死ぬか書けているのではないだろうかと時々思う。
もともとゲーム会社に就職したはずなのに。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
俺は人に夢を与えたかった。
子どものころは剣と魔法が存在する世界を本物にして自分が旅をしたかった。
だけれど、俺のところにはフクロウが魔法学校への招待状なんて運んでこないし。白っぽい獣型の宇宙人が契約を迫って来たりもしなかった。
だけれど、高校生の頃に知ったのだ。
俺たちは剣と魔法の異世界に行くことはできないけれど、作ることはできるってね。
俺は苦手だった数学を必死で勉強して工学部に進んだ。
センター試験では不安すぎで腕時計ではなく、家にある一番大きな時計を持ち込んで試験を受けた。
自分でいうのもなんだけど、結構な努力家だったと思う。
大学時代はユニックスというサークルに入ってゲームの作成なんかもした。
アルバイトは駅前のゲームセンター。
寝ても覚めても、学業もサークルもアルバイトも。
ゲーム、ゲーム、ゲーム。
全てをゲームに捧げてきた。
その甲斐もあって俺は、この
ただのゲーム会社じゃない。世界に名だたる企業。
世界で初めてのVRMMOをつくるならこの会社だと誰もが思っていたこのSAO社(SUZUKI・AOKI・OKIと創業者三名の名字をとったクソダサいくせに、なにかのパクり臭が半端ない)に入社できたのだ。
なのに、最初に作ったVRMMOゲームで大事故を起こしたため、SAO社は外国の製薬会社に買収されてしまった。
そして、外資によって行われたのは人員整理。
人工知能によってゲームを自動生成させるため、ゲーム作成関連の人間はほとんど去り、残った人間は嫌がらせのような部署に配置された。
たとえば、適正とは真逆の部署に。
そう、俺がデスゲームの運営になったのもリストラの一環がはじまりだった。
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