第2話 母よ
母よ
あなたは私を恨んでいるだろう
遠い地に嫁いだこのわたしを
あなたを捨てたこのわたしを
己が分身の如く身を削り 愛を与え 作り上げた愛娘
身を裂く思いだったろう
あなたとわたしは一心同一
わたしはあなた あなたはわたし
しかし子はやがて旅立つ
わたしは母を捨て 国を捨てた
あなたはすでにわたしの過去になり
わたしはあるべき未来を取った
わたしの帰る国はもはやない
帰る故郷はもはやない
大地は動き国はついえた
故郷の家は燃え、崩れ、
残ったのは黒ずんだ わずかな塀のみ
あなたはどこにいるのか
あなたの魂はどこを彷徨っているのか
どうか知らせておくれ
私の夢路にそのかがやく姿を見せておくれ
でなければ
この身体を大地に溶かし
さがしに行こう
母よ
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