第二話 今を伝えた日


 人間の好意や愛情というのは基本的には暖かな感情であると私は思っている。


 だって、そういう暖かい感情じゃないと、誰かと一緒に居たい。だなんて思わないでしょう?


 今でもその考えに変わりはないけど、幼い頃の私はもっと今よりも、何も考えずにそういった暖かい感情だけで生きていたと思う。


 それが成長するにつれて、色んな経験を積んで、そこからマイナスの感情っていうものを学んでいく中で、改めて暖かな感情の尊さみたいなものに人は気付いていくのだと思っている。

 

 でも言葉とか、感情っていうのはきっとそんな簡単に『良いか、悪いか』。『プラスか、マイナスか』だけでは表せるものじゃないって事も、知っている。



 『嫉妬』という言葉がある。



 この言葉の意味なんて今更改めて確認するまでもないと思う。

 これが、この嫉妬という言葉が、マイナスの感情を表す言葉だっていう事はきっとみんなも知っていると思うし、何より私がよく知っているから。


 でもこの言葉は、人の好意や愛情というものを表すときにでも使用することが出来るのだ。


 今はもう古いけど、「逆に〜」というやつである。

 少し違うけど、逆説みたいなことである。



 嫉妬するくらい、貴方が好き。


 嫉妬してしまうくらい、愛している。


 こんな風に、自分の好意を、愛情を、その大きさを表す時に使う事も出来るのだ。

 って、こんな風に言っていると、私がなんだかこの『嫉妬』という言葉が好きみたいになってしまったけど、実際はその逆なのです。

 逆に〜なのだ。



 私は昔からこの言葉が嫌いだった。



 具体的に言うと、自分の中にこの感情があるんだって、気付いてしまった時から嫌いだった。


 中学時代に、当時付き合っていた彼と交際をしていく中で、この感情に気付かされてから、嫌いだった。


 こんなに嫌っている癖に、彼からこの感情を感じ取ることだけは、たまらなく好きだった。


 でも結局、そんな自分が嫌いだったから、私は嫉妬も嫌うのです。



 その事実は今も決して変わっていなくて。


 でも。


 いくら嫌っていても、自分の中にはそれがある。


 しかも今回の相手は厄介なことに、自分自身なのです。


 過去の自分なのです。



 

 だから私は考える。



 過去の自分に嫉妬をしてしまったら、私はどう闘えば良いのかを。



 だから私は考える。



 嫉妬をする相手が誰かもわからずに、その見えない相手が自分の中に居る。



 そうやって、闘う前からリングの外に追いやられてしまった彼女のことを、私はどうしても考えてしまうのです。




 結局のところ最終的には何が言いたいのかって聞かれたら、うん。


 多分こう答えるのが合っている。





 手を握った。ただそれだけの話。





※※※




 

 あ、最初に言っておきます。









 私、八色くんが好き。












 『あの日』、あの公園で、彼の心の慟哭を、涙を初めて受け止めた時から、私はどうやら恋に落ちてしまったらしい。

 声を上げて泣く男の人になんて、絶対ときめかないって思っていたけど、しかし実際、どうしようもなくやられてしまったのだ。


 一緒に居たいって、解ってしまったのだ。自分の心が。


 でも、後悔はしてません。ちょろいって言われようがなんだろうが、あの時に絶対また、八色くんに好きになってもらうって決めたから。


 


 初恋の相手にもう一度恋をすることを、なんて言えば良いのかな。と、彼とあの日にあった出来事を、それからの日々を思い返しながら、私は放課後の下駄箱へと戻ってきていた。


 そう、戻って来ていたのである。



 私の知恵ではない、千春ちゃんの教えである。


 ゴールデンウィークも明けて3日目となる今日、高校で出来た友人である三条さんのことを色々とあって、千春ちゃんと呼ぶまでに仲良くなっていた私は、久しぶりに彼に会うために彼女の言い付け通り、一度学校を出てから裏門を経て、学校へと舞い戻って来ていたのだ。



 私の最近の楽しみは、放課後に教室で勉強しているであろう彼。

 厳密に言うと元彼−−−八色悠、改め月岡悠くんにちょっかいを出しに行くことだった。



 これからまた八色くんとお話し出来るんだーなんて浮かれつつも、周りに人が居ないか確認しながら彼の教室へと辿り着いた私は、教室の扉に手をかけてストップした。



 物理的にも、精神的にも、ストップした。



 教室に一人でいる筈の八色くんの正面に、女の子がいた。






 思わず目を擦る。


 

 見る……居る。




 −−−目眩がした。




 頭を振る。



 見る……居る。




 −−−視界が消えかけた。




 深呼吸をする。



 視る!……居る!




 そっと扉から離れた。






 ……な、なんか



 ……なんか、居るうううぅうぅ!?



 え、なに???


 何これ????


 私、ナニ、夢、これ?


 いやいやいやっ、こんなに心臓がバクバクいってるのに、夢なわけないでしょ……


 というかっ!


 だ、だ、誰??


 え、四度見した筈なのに一切記憶がないってどういうことよ。


 でもなんか可愛らしい感じの子だった様な……


 こ、こうしちゃいられない。えっと、えっと……



 ま、まずはっ……



 

 スマホを取り出す。


 カメラを起動した。


 手ブレ補正が最大限に発揮される。




 「ま、まずは証拠の写真をっ……」



 「まてい」


 叩かれた。


 「ぁぅっ……」



 いきなり叩かれたというのに、八色くんに気付かれない為に最小限の声しか出さなかった私は、狼藉者ろうぜきものの顔を見てやろうと後ろを向いた。



 千春ちゃんが、立っていた。



 その愛らしい姿を確認した私は、叩かれたことなんて頭からすっ飛んでいた。


 この頼れる友人に相談したい!その思いだけで彼女に抱き着こうとして、私は−−−



 抱き着こうとして、連行された。











 ヘッドロックであった。








 





 八色くんのクラスである1組とは反対側の、廊下のうんと向こうにある3組の教室に連行された私は、千春ちゃんからお説教を受けていた。



 「だって……」


 「だってじゃないでしょー。盗撮してたなんて本人に知られたらアウトだよーえみちゃん」



 どこか間延びした様な声で叱責してくれる千春ちゃん。


 確かに、自分が同じことをされたとしたらって考えると……。


 私の顔色が変わったのを見てとったのか、一つだけ軽く息を吐いた千春ちゃんが聞いてきた。



 「それでー?何であんなことしようとしたのー」


 「うぅ、反省してます」


 「うん、知ってるよー。それで?」

 

 「えっと、その……月岡くんの前にね、女の子が座ってて……」


 「あー……それで、浮気だーってなったんだねえ」


 「う、うわ、浮気っ!?ちが、まだだって、八色くんと私はそんなっ……」


 「じょーだんだよー。本当にかわいいなあ。あと、名前」



 名前。そう言われてつい八色くんと言ってしまっていた事に気付いた。


 慌てて周りを見る。



 「大丈夫だよー、誰も聞いてないから。でも気をつけないとねー」


 「うん。……ごめんね。止めてくれて、ありがとう千春ちゃん」


 「いいえー。じゃあ、頑張っていってらっしゃい」


 「……ち、ちなみに千春ちゃん。この事は千秋ちゃんには……?」


 「頑張っていってらっしゃい」



 そう言って恐ろしい位の笑顔で送り出された私は、廊下をゆっくりと歩く。


 あれはダメだ。絶対報告される。というかもしかしたら既にしてる……。


 思い出すのは、頼り甲斐のある千春ちゃんのこと。


 4月にあった体力測定。

 その時に不調を隠して結局倒れてしまった私は、色々とあって保健室で泣きじゃくっている所を千春ちゃんに見られたのだ。


 その結果、洗いざらい喋らされた私は、こうして度々千春ちゃんに助けてもらったり、中学時代の私の親友でもある千秋ちゃんと一緒に相談に乗ってもらったりする様になっていたのだ。


 その過程で、千春ちゃんには『月岡くん』が中学を卒業するまでは『八色くん』であったという事も説明していた。



 そうしていく中で、急速に仲を縮めた私たちはお互いに(と言っても千春ちゃんは最初から)下の名前で呼び合う様になっていたのである。


 ちなみに千春ちゃんと千秋ちゃんは、お互いを「春」「あきちゃん」と呼び合うくらい仲良くなってくれていた。嬉しい。

 

 やっぱり女子は恋バナをして仲良くなるのかな。


 ん?あれ?私しか話していなくない?


 と、今更ながらの事実に愕然としたところで、廊下を歩き終えていた私は再び1組の扉の前に立っていた。



 そーっと中を覗く。



 予想通り、まだ教室の中には八色くんとさっきの女の子が居た。


 もしかしたら他の人も居ないかなーなんて見渡してみたけど、残念ながら教室内には2人しか居ない様だ。


 千春ちゃんに危ういところで止められて、反省して舞い戻って来たとはいえ、私は怖気づいてしまっていた。


 単純に見た限りだと勉強をしている様だけど、何か大事な話とかをしていたのだとしたら、それを邪魔する事になってしまう。


 かと言って、このまま八色くんが他の女の子と2人っきりで居るのを放置したまま帰るのなんて出来っこないし、出来たとしても気になって仕方がなくなると思うし……。


 というか入って行って「何しに来たんだ水原」なんてもし言われでもしたら、きっとその場で気絶する。


 そんなことを意気地もなく考えていた私は、教室内で起きた変化に気付いた。


 気付いて、考えることを辞めていた。


 正確に言えば、考えることが出来なくなったのだ。


 だってそれは、過去の私の光景だったから。


 八色くんが、ノートを差し出して来た彼女に向けた笑顔が−−−


 それが、過去の私が向けられていたものと、寸分違わず同じだったのだから。

 



 数秒。長くとも十数秒−−−


 教室の中の八色くんの顔と、過去の私に向けられていた顔。

 その二つを重ね合わせていた時間だ。

 

 止まった時から動き出した私は、今一度教室内の彼を見る。

 恐らく目の前の女の子が解いたであろう、ノートの問題を採点している彼を見て−−−




 見て、怒りが湧いて来た。




 ……あの男おおおぉおっっ!



 何よ、ヘラヘラにまにましちゃって。


 そんなに女の子の勉強を見るのが好きなの!?


 どんな性癖なのよそれっ!


 勉強が見れれば女の子なら誰でもいいわけっ??


 あーもう!むぅっかぁつぅく〜〜〜〜〜!!


 だってそれは私の時間だったのに!



 はたと気付いた。


 ……そうだ……そうなんだ。


 ……私の、私との時間だけだったのに。



 そこまで思って、明確に理解した。


 私は、嫉妬してしまったのだ。


 けど、へらへらとしている八色くんにも確かに腹が立ってて。


 腹を立てる権利なんて、まだ私には無いのに、それでもムカついて。


 嫉妬と怒りが、混ざり合っていた。


 

 ……落ち着こう。


 千春ちゃんに怒られたばっかりじゃない。


 

 先ほどの千春ちゃんとのやり取りを思い出して、何とか落ち着こうと頑張っていると、視線を感じた。

 少しだけ下がってしまっていた視線。それを窓の向こう側へと戻す。




 八色くんと目が合った。

 覗き見していて、目が合った。

 それはもう、バッチリと。




 ……千春ちゃん千秋ちゃん、ごめんなさい。




 私は盗撮魔では飽き足らず




 覗き魔にまでなってしまいました。






 

 状況的判断として覗き魔となってしまった私は、開き直った。


 ここで逃げてしまえば、認めてしまったと同義であると気が付いたのだ。


 なので私は精一杯の虚勢をもって、八色くんを睨みつけた。


 未だ私の中に滞在してくれていた怒りの感情を借りて、睨みつけた。


 完璧であった。


 こうすることで、「悪いのはそちらなんだぞ」と、思わせることが出来るかもしれないからだ。


 私が八色くんを睨みつけている事に気が付いたのか、一緒に居た女の子が八色くんの陰に隠れる様に移動してしまった。


 ……ごめんね。脅かす気は無かったの。



 そうして睨み合うこと(八色くんは睨んではいない)およそ10秒。


 八色くんは私と陰に隠れた女の子を数度見遣ってから、声を掛けてきた。



 「水原。そんなところに立ってないで、入ってきたら?」



 勝った!


 無事に八色くんから入室の許可を得た私は、怯える様にして八色くんの陰に隠れたままの彼女を、これ以上驚かさない様に静かに教室へと入った。


 そのまま無言で彼等に近付いていく。


 怯えたままの少女が、私をちらと見た後、何やら八色くんに耳打ちした。



 ……ちょおっと近過ぎるんじゃないかなあ??


 ……八色くんももう少し離れなさいよ!照れてる様には見えないからまだ良いけど!いや良くないけど!!



 少しむすっとして成り行きを見守っていると、八色くんが口を開く。

 

 「奏。大丈夫だ、あれはにんげ」


 「アレ?」


 おっと、つい声に出ちゃった。


 「……彼女は人間だ。幽霊なんかじゃない。第一、こんな真昼間から幽霊が出るわけないだろう」


 それを聞いた奏と言われた少女がまた何やら耳打ちをする。


 ……だから、近過ぎるんじゃないかしらねえ?


 ……え?はあ?というか、『奏』?え?下の名前で呼んだ?あの八色くんが?


 ……私と付き合っていた時ですら、結局『笑美』って呼んでくれなかったこの男が!?


 と、自分も彼の名前を最後まで呼べなかった事を棚にあげた私は、ムカムカとした気持ちを彼にぶつけた。



 「随分楽しそうね、月岡くん」



 思った5倍は冷えた声が出た。


 即座に反省した。


 私これ、印象悪過ぎる……落ち着かないと……。


 ほんのちょーっとだけ冷静になれていなかった自分を思い正し、「もう少し柔らかく対応しよう!」そう思った気持ちは、彼の次の一言でまた振り出しに戻ってしまった。



 「……誰のせいだと思ってるんだ」


 沸点が低かった。


 「なっ……!うぅっ……あっそ!お邪魔しちゃってすみませんでしたっ!」


 「何を怒っているんだよ。別に誰も水原が邪魔だなんて言ってないだろ?」


 融点は高かった。


 「そ、そうだけどっ……だって……本当に邪魔じゃない?」


 自分でも感情の乱高下加減に嫌気が差す。



 「大丈夫だよ。というか、何か用があったから来たんだろ?どうした?……というか奏、いい加減離れてくれ、暑い」


 「はっ!……す、すみません。つい」


 八色くんから少しずれた位置に奏と呼ばれた少女が移動したのを確認して声を出す。


 「えっと、初めまして。さっきは驚かせちゃってごめんなさい。9組の水原笑美です。その、よろしくね?」


 「あっハイ。……八色奏やいろかなでと言います。……よろしくお願いします」


 「えっ、八色?」

 

 文字通り、耳を疑った。


 思わず声に出して、聞き返してしまうほどに。


 「あっ、ハイ。八色、です……けど」


 そうやって少し怪訝そうに私をちらりと見てくる八色奏さん。


 初対面の人に対してさっきから失礼すぎる、とか。


 早く何か言ってこの変な空気をごまかさなきゃ。とか。


 目の前の状況に対して何か行動しなくちゃ。とか。


 そんな思いとは裏腹に頭の中は、入学式当日の朝に見た景色が覆い尽くしていた。


 それは、あの日に見た文字だ。


 あの入学式の日の朝に、私が目を逸らした文字だ。


 結局何を言うことも出来ず、黙ったままでいると机の上にあった八色くんのものではないスマホが震えた。


 「あ、ちょっとごめんなさい……」


 八色奏さんがスマホを手に取って確認する。


 「あのう、月岡くん、ごめんなさい……お母さんから、お使いを頼まれてしまいまして……だから、そのう……」


 そう言って八色くんに画面を見せて説明する八色奏さんを見て、胸がチクリとする。


 あんな風に自分のスマホの画面をあっさりと見せる位、彼の事を信用しているという事実に、また私は嫉妬を覚える。


 「わかった。じゃあ今日はここまでにしようか。奏、これ。出来たらで良いから、家に帰ったら埋めてみて」


 彼からノートを受け取った八色奏さんは、何度か頭を下げて教室を出て行った。


 たったそれだけの事に安堵している自分を自覚する。


 恐ろしいほど浅ましい自分に心底嫌悪感を感じていると、八色くんが目線だけで「座ったら?」と促してくれた。

 


 「……彼女が八色さんなのね」


 明確な意味を携えていない、そんな言葉。


 けど、彼は私の心情なんて見抜いているみたいに、返してくる。


 「別に、学校に一人くらい同じ名字がいたって、珍しい話じゃないだろう。現に今は八色ではないし」


 「うん。……でも、なんか……ううん。だから奏って呼んでいるのね」


 「……まあ、そう」


 付き合っている彼女すら下の名前で呼ばなかった彼が、彼女を『奏』と呼ぶ理由。


 最初にそう呼ぶのを聞いたときはあんなにも嫉妬心が沸き起こったのに、今はそんなもの微塵もなくて、言葉では表現できない哀しみめいたものだけがあった。


 彼はこれ以上は言う事はない。とでも言いたげに教科書へと視線を戻した。


 私もこれ以上は、その話題には触れられなくて。


 かといっていつもの様に彼をからかう事もはばかられて、席を立った。



 「さて、と。私はそろそろ帰るね。……また、ね。八色くん」



 けれどどうしても、一つだけ聞きたかったのだ。


 自分の名字だったものを持つ人を、彼が苦手な下の名前で呼ぶ事をしてまで関わる事にした理由を。


 こんな事を聞く空気じゃない。そんなの分かってる。


 それでも私の内に巣食う強欲な部分が、聞きたいという欲を強行したのだ。



 「彼女、奏さんだけど……その、付き合ってる、とかじゃないのよね?」


 「まさか。僕と奏が付き合ってるなんて、あるわけないだろう」


 「……そ。じゃあまたね。八色くん」



 その言葉に、今日だけは喜びを感じられなかった。



 私の理性が、ただ純粋に私の恥を告げていた。







 家に帰り、たっぷりと己の至らなさに悶絶していた私は、スマホを開いていた。


 画面に映す名前は黒磯千秋くろいそちあき。私の中学時代の親友だった。


 −−−今日あった事を相談したい。


 そんな風に思ってはいるものの、どうにも指が動かなかった。


 代わりにベットに寝そべって、頭を動かす。


 いろいろな事に翻弄されっぱなしだった脳を、整理するのだ。




 まだ、彼女が八色くんに好意を持っているか、なんてわからないじゃない。


 それに八色くんもハッキリと付き合っているわけがないって言ってた。

 

 だから、今千秋ちゃんに相談するのは何か違う……。


 それは千春ちゃんにも一緒で……。


 第一、ただ勉強を見てあげていただけなのに、それを勝手に悪く捉えているのは私だ……。


 勝手に裏切られたって思ったのは、私だ……。


 そもそも彼女が、奏さんが八色くんの事を好きだったとして、それをどうこう言う権利は誰にもないじゃない……。


 だって、誰かを好きになるのはその人の自由なのだから。


 当たり前のことにやっと気付いた。



「ああぁぁあもう〜〜〜……っ」



 整理して改めて気付かされる。


 私、バカみたいに女だ……


 本当に、バカみたいな女だ……


 枕を顔に叩きつける。


 他の子がいるからってなんだ!


 絶対に好きになってもらうって決めたじゃない!


 ライバル上等よ!嫉妬しておかしくなる位なら、嫉妬しないくらい距離を詰めれば良いだけでしょうっ。



 「……いいわよ。やってやるんだからっ」



 顔に乗った枕からくぐもった声が出る。


 整理はついた。


 ……嫉妬して、彼に気持ちの悪い独占欲をぶつけていた昔とは違うんだ。


 新たな目標も決まった。


 ……私も、勉強に混ぜてもらう!奏さんとも話せる様になる!


 自分の行動の指針がついた途端、気持ちがスッと軽くなった。


 我ながら単純すぎて笑ってしまうけど、今ばかりは、その単純さに助けられたと思ったのだ。

 

 

 

※※※




  奏さんと会った翌日の放課後から、私は行動を開始した。


 いつもの様に、正面玄関から出て裏門を経由して校内へと戻った私は、1組の扉を開いた。


 「お邪魔しま〜す……」


 昨日と全く同じ様に机に向かう2人に告げると、視線が返ってきた。


 「こんにちは。連日来るなんて珍しいな」


 「あ……えっと、こ、こんにちは……です」


 ちらと視線を一度飛ばしただけで、すぐに教科書へ視線を戻しながら話してきた八色くんとは違い、奏さんはその手を止めて、どこか不安げに身体を縮こませながらも挨拶を返してくれた。


 そのことに内心不安だった気持ちが少しだけ楽になる。


 ……良かった、嫌われてはなさそう……かな。



 私は2人の側にあった机に荷物を置いて、一呼吸置いてから用件を伝えた。


 「あの、さ。今日私も一緒に勉強して良い?」


 「あ、ハイ……えっと、そのう……わたしは大丈夫、ですけど……」


 そう言って伺う様に八色くんを見る奏さん。


 う、上目遣いが上手!いや、これは天然だろうなあ……って、尚更強いじゃない!


 「奏が構わないなら僕も全然良いけど。っていうか『学校に残ってまで勉強する意味がわからない』とか言ってなかったか?」



 ……過去の私何やってんのよおおおお!


 ……確かに言ったけど!八色くんにちょっかいかけて「君、暇なんだな」って小馬鹿にされてついムキになって言っちゃってたけど〜っ!


 ……いやでも、大丈夫。落ち着け私!言い訳は用意して来たでしょうっ。



 「奏さんに勉強教えているのよね?」


 「そうだよ。放送で呼び出される位ダメみたいでな」


 「うぇへへ……て、照れちゃいますよね」


 「そこは反省して、恥ずかしがらなきゃダメなんだよ……」


 っくう!イチャつきおって!


 「んんっ!で、勉強教えるなら少しは力になれるかなって。……だめ?」


 「あーいや……正直助かるよ。奏、安心しろ。水原はこう見えて学年首席さまだ」


 ……どう見えてるのかしら。まあ、褒めてくれてるの……よね?


 「あ、ハイ。さ、流石に知ってます。……えっと、9組の女神様……です、よね?」


 「奏さん?そのあだ名絶対使わないでね」


 「ひっ……す、すみません」


 恥ずかしいなんてものではないのだ。本当誰だ考えた人……


 いつの間にか流布されていた私の『それ』と、千春ちゃんの『番犬』というあだ名。

 千春ちゃんがそれを知ったときの顔を思い出して、身震いした。

 ……でもなんで、あんなに可愛いのに番犬なんて物騒なあだ名なんだろう?


 「へぇ……そんな通り名がついてるのか」


 知らなかった男がココに居た!


 さ、最悪すぎる……絶対バカにされる。


 「だ、だったら何よ?」


 「ん?いや、まあ……悪くないんじゃ、ないか?……ダサいけど」


 フリーズした。最近の私の時間感覚は仕事を上手くしてくれないらしい。


 ……え?褒めた??今「悪くない」って言ったよね?


 ……「ダサいけど」って付け加えたけど、良く見たらちょっと耳赤いし、絶対照れ隠しだ!やだ!可愛いっ!

 

 ……あだ名つけた人、許す!なんかもう、許す!


 私が脳内で喜びを噛み締めていると、八色くんは何を思ったのか話題を転換してきた。


 

 「喋ってないで、勉強に戻ろう。奏もそんなに不安そうにしないで大丈夫だよ。水原は悪いやつじゃあないから」


 「あ、ハイ……」


 「改めてよろしくね、奏さん」


 向かい合った奏さんと八色くんの机にくっ付けるようにして近くにあった机を動かし、勉強を始める。

 まだ私に慣れていない奏さんとはあまり話す事は無かったけど、初日の成果としては順調だった。





 奏さんと八色くんとの勉強2日目。


 昨日は八色くんがバイトだったので勉強は無く、奏さんと会うのも前回ぶりとなっていた。

 私たち3人以外誰も居ない教室に、ページをめくる音とペンを動かす音だけが鳴る。


 

 八色くんの作った課題が終わったのか、奏さんが「月岡くん、えっと、終わりました……」と、おずおずと差し出した。


 そこでまた、私は見た。

 初めて奏さんを見る八色くんを見た、あの日と同じ光景を。

 過去の光景をそのまま映し出したかのような、その光景を。


 ノートに目を戻して、解答を確認していく八色くん。

 その表情も、何もかもが、過去を私に思い出させていた。


 最初に抱いた疑問が確信に変わる。


 やはり彼は、目の前の少女−−−奏さんに、過去を見ていた。

 断言できた。『その顔』を誰よりも受け取って来た私だからこそ、断言が出来た。


 ……八色くんもしかして、気付いて、ないの?


 ドクドクと心臓が早まる。

 何度経験しても慣れない、嫌な心臓の動き方。


 八色くんに留めてしまっていた視線を、奏さんに移す。


 ……あぁ、やっぱり……


 盗み見るようにして捉えた奏さんの表情は、どこか困ったように笑っていた。


 『きっと彼女も気付いている。』


 そんな確信めいた事を、思った。

 自分のことではないにも関わらず、じくじくとした胸の痛みと共に、思ってしまった。


 その日は、あまり何を話したか覚える事は出来なかった。

 ただ、奏さんの困った様に笑う表情だけが、いつまでも記憶から離れてくれなかった。




 奏さんと八色くんとの勉強3日目。


 もうじき、奏さんと出会ってから1週間が経過しようとしている。

 最初と比べればある程度、私とも話せるようになった奏さんだったけど、彼女の意識は私ではなく、やはりというか八色くんに向けられていた。


 「……奏。ノートの端に落書きをする暇があったら、素直にわからないと聞くんだ。別に怒ったりしないから」


 「……あ、あはは……すみません、つい」


 今も何度目かわからない注意を八色くんから受け、ノートを返された奏さん。


 昨日から、ううん。もしかしたら私が気付かなかっただけでその前から、奏さんは、自分をアピールしていた。


 決して得意ではない筈の自己主張を、必死に行っているように見えた。


 最初会った時にはしていなかった筈のメイクを、ほんの僅かだけどしていて。

 手入れなんてしていなかった爪も、ぴかぴかに磨かれていて。

 首の辺りで緩く纏めているローテールの紐も、新しいものになっていて。

 椅子から伸びる白い太腿も、前はこんなに見えていなかった筈で。

 人の視線が苦手な筈なのに、それでもじっと彼を見つめるのだ。


 思わず涙が出そうになった。


 彼女の−−−奏さんの気持ちが痛い程分かって、涙が出そうになった。


 目を伏せようと思った時に、奏さんと目が合う。

 私の目を見て、少しだけ驚いた顔をした彼女は、けれどすぐに困ったような、泣きそうな顔で「あはは」と笑ったのだ。


 この日の帰り、私は奏さんと連絡先を交換した。






 奏さんと会ってから、1週間が経った。

 昨日の帰り、奏さんと交わした会話を思い返す。



 「本当に良いの……?」


 「あ、ハイ。……わたしが辛いっていうのもあるんですけど、えっと、たぶん……月岡くんにとっても、よくないと、思う……気がするので。そ、それに……もしかしたら、わたしの勘違いかも、しれませんから……」


 「でも、だったら」


 「良いんです。……あはは……良いんですよ、水原さん。えっと、そのう……わたしが言いたいというのも……あるんです。そ、それにちょっとだけ、憧れてたんです、よね。放課後に、えっと、男の子を呼び出すのって……うぇへへ」





 教室の扉を開いて中へと入る。


 八色くんは変わらずに席に座っていた。

 別れてからの寂しげな彼では無く、高校に入ってからの表情の薄い彼でも無く、当時−−−中学時代に私と付き合っていたあの頃のような穏やかな顔で、彼は座っていた。

 私も無言で席に着く。


 お互いに何も話さないでいると、彼のスマホが動いた。



 「ごめん水原。ちょっと用事があるから、一回抜けるね」


 「……うん。行ってらっしゃい」



 私は彼の顔を見ることなく言った。これから起こるであろう事を知っているのに、何も出来ない私には、ただ抱える不安を気取られないよう、机を見つめる事しか出来なかった。


 ……何も出来ないのが、こんなに苦しいなんて思わなかった。


 そう思っていたら、声が出ていた。



 「……八色くん」


 「ん?どうした?」


 

 声は出た。けれど、言うべき言葉は……その正解はどこにも無かった。

 


 「……その……っ鞄、みておくね」


 「……あ、ああ。……ありがとう」



 そうして送り出すことしか、私には出来なかったのだ。







 勉強道具を開いていた私は、そっとそれらを鞄に仕舞った。


 時計を確認する。もうじき下校の鐘が鳴る。



 この時間になっても2人が戻って来ないというのは、彼女の話が最悪の結果に終わったことの証明だった。


 今は私一人しか居ない教室を見渡す。



 私は、過去の教室の風景を思い出していた。

 あの、幸せがあるだけだった時間を思い出していた。

 奏さんの顔を思い出す。

 彼女の願いにも似た頑張りを思い出す。

 

 思考は加速していく。


 この教室での風景を思い出す。2人のやりとりを思い出す。彼女がしたくだらない揚げ足取りを思い出す。彼が返した冷たくも温かい皮肉を思い出す。彼女の起こそうとした変化を思い出す。彼が気付く事は決してなかったそれらを思い出す。思い出す。思い出す。思い出す。思い出す思い出す思い出す思い出す思い出す−−−

 −−−思い出して


 怒りに震えた。


 目尻に溜まった涙を強引に拭いとる。


 過去にばかり幸せを求める彼に憤怒する。


 今を決して見ようとしていない彼に憤怒する。


 何より、そうして彼を縛りつける過去の私に憤怒し、嫉妬した。




 もう『お前』は居ないんだ。


 

 

 これ以上、私と奏さんの恋の邪魔をしないで。





 覚悟は決まった。

 驚くほど簡単に腰は上がる。


 ひったくるようにして掴んだ彼と私の鞄を抱えて、私の足は動いていた。







 

 図書館へ続く階段を登る。下校の鐘はもう止んだ。


 もうじき見回りの先生がやってくる。でもまだ時間はある。



 

 私はこれから、ひどい事をする。


 傷口に塩をこれでもかと塗り込む様な真似をするのだ。彼には嫌われるかもしれない。


 けど、それでも良いと思えた。


 恋のライバルという意味では、それこそ敵に塩を送る様な結果になってしまうかもしれない。


 けど、それでも良い。そう思えたのだ。



 階段を上り切る。


 目の前には力なく座り込む八色くんの姿があった。

 その姿はまるで糸の切れた人形の様だった。

 私が来たことに気付いているであろう彼は、それでも少しも動かない。


 意識して強い声を出す。



 「ねえ知ってる?奏さんって、笑うと少しだけ八重歯が出るのよ」


 「ねえ知ってる?奏さんって、スマホのタイピングがすごく速いの」


 「ねえ知ってた?奏さんあの髪色、地毛なんですって」


 「知ってる?奏さんって、ああ見えて背筋伸ばしたらスタイル良いのよ」


 「知ってる?奏さん、誰にでも敬語なのに、あなたにだけはそれを外そうとしてたの」


 「知ってる?奏さん−−−」


 「……やめろ」


 力なく発された声。無視する。


 「奏さん、いつもここで一人でお弁当食べてるんだって。今日は私も一緒だったけどね」


 「知ってた?奏さ−−−」


 「頼む……やめてくれ……」


 懇願する様に言ってくる彼の言葉。無視する。


 「ねえ八色くん……気付いてた?奏さんってね、『あはは』って、笑うんだよ?」


 「……」


 「……困ってたり、泣きたい時にね、『あはは』って。そうやって無理して笑うんだよ……?」


 「……っ」


 「……段々増えてくの。知らなかったでしょう。彼女、八色くんと話すたびに……それが、増えて行ってたんだよ?」


 「……僕は……」


 まだだ。まだ泣けない−−-彼女のためにも、まだ泣くな。


 まなじりを上げる。彼の前に回り込んだ。


 「……違うでしょう?彼女、私と全然……違うでしょ?」


 茫然と見上げてくる瞳。そこに宿る驚愕の感情を返事として受け止める。


 「気付いてたに決まってるでしょ。自分が相手なんだから、気付かないわけないじゃない」


 彼の顔が苦痛に歪む。次に言う言葉はきっと


 「……だったら、だったらなんでっ」


 「甘えるな月岡悠っ!」


 彼の肩が跳ねる


 「あなたは『それ』を、私に言われて納得したの?自分でちゃんと認められたの……?」


 「それ……は……」


 「出来ないでしょう?彼女から言われたから、逃げきれなかっただけでしょう?どうしようもなく真っ直ぐに伝えてくる彼女だから、認める以外なかったんでしょう?それくらいっ……それくらい!八色くんだって、分かっているでしょう?」


 「……あぁ」


 返事とも言えない漏れ出た様な声。


 まだだ。まだ私には、伝えなきゃいけないことがある。


 「……これで終わるつもりじゃないよね?」


 「……」


 「答えて」


 「…………わからない。どうにかしないとって、思うだけで……でも僕には、もう奏と会う権利も、ないって……そう、思ってしまうから」



 思わず目を背けてしまいたくなった。

 こんなにも心の在り処をなくした彼を、見ていたくなくて。

 

 思わず抱きしめたくなった。

 こんなにも弱り果てた想い人の姿を見て。


 けれど、けれどそのどれをも私は無視した。


 無視して、彼の頬を叩いた。


 人生で初めて手を挙げた。


 掌に感じる痛みが、そのまま彼の−−−彼女の心の痛みの様な気がして、私の心も強く痛んだ。



 

 赤くなった頬を押さえもせず、茫然としたままの彼。


 私は鞄から、5冊のノートを取り出した。


 今はもうボロボロになった、ノートを取り出した。


 彼の目の前に掲げる。視線が動いた。


 「これ、覚えてる?」


 「あ、ああ……」


 それは、私が中学時代に彼から最後に貰ったノートだ。


 「私、知ってるの。ううん、後になって分かったの。あなたがこれをくれた時にはもう、私と別れるつもりだったって」


 息を飲む音。それが答えを示していた。


 「だっておかしいじゃない。会う頻度は下げようって。そう言って渡して来た時はまだ、このノートに書いてある範囲なんて授業でもやってなかったんだもの」


 「……」


 「だっておかしいでしょ?授業範囲だけじゃなくて、受験用の問題まで作り込んであるんだもん」




 本当に、どこまで優しくて−−−どれほど私が好きだったのだろう。


 彼は信じていたのだ。別れても、私が勉強を続ける事を。


 彼は祈っていたのだろう。別れた後でも、自分が私の力になれることを。


 

 

 

 そんな彼にだから言える。

 

 理想の押し付けなんかじゃなく、ありのままの事実を彼に思い出させる。


 ありったけの意思を、言葉に乗せた。



 「八色くんは、見放さないよ」


 「……」


 「自分がどれだけ辛くても、絶対。絶対に、勉強だけは見放さない」


 「……っ」


 「自分で決めたんでしょう?彼女の勉強を見るって。そう決めて、奏さんに声を掛けたんでしょう?大丈夫か?って」


 「……ぁ」


 「確かに重ねていたかもしれない。これ以上ないくらい間違ったかもしれない。けどっ!……それでも……最初に決めたのは、あなたじゃないの……?」




 八色くんの左目から、一雫だけ……涙が流れた。


 つられる様にして、堪えていた涙がこぼれる。


 

 言葉だけじゃ、伝えきれる自信がなくて。



 まだ大丈夫だよって、分かって欲しくて。



 

 気付いたら、私は彼の手を握っていた。




 決して逃さない様に、力を込める。


 

 「……あなたが今居るのはどこ?」


 

 思いの全てを伝えるために、力を込める。



 「あなたが居るのは、『あんな教室』なんかじゃないでしょう?」


 

 彼が今いる時間を分かって欲しくて、力を込めた。



 「八色くんが居るのは、でしょう?」



 変化はあった。


 

 目線が合う。声には出さずとも伝わってくる。




 −−−痛いくらい握り返してくれる彼の手が、私の問いへの答えだった。





※※※

 




 学校から駅へと向かう道。

 

 いつも通る時よりも暗くなったその道を、私と八色くんは並んで歩いている。


 

 私も彼も、言葉は発さなかった。


 私の歩幅に合わせる様にして歩いてくれる彼の横顔は、相変わらず表情と呼べるほどのものはなくて。

 けど、真っ直ぐに前だけを見て歩く彼の瞳は、今も必死に自分の中で答えとなるものを見つけようとしている様に感じた。


 それは、私の好きな彼の瞳だった。


 頬を叩いてしまった事を謝りたかったけど、でもそれはしちゃいけない様な気がして、代わりにちょこんと手に触れてみた。


 一瞬だけぴくって動いた彼の手は、それ以上離れてはいかなくて。


 ……こんな時に手を握るのは、フェアじゃないよね。


 なんて考えたけど、それでも彼に触れたくて。


 でもその触れたい。に、やましい気持ちなんてこれっぽっちも湧かなくて。


 

 もう一度、軽く小指で触れてみる。



 −−−『きっと上手くいくよ』



 そんな祈りを込めながら……





 そっと小指を絡ませた。


 







 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る