終章 カミサマの退屈(5)
ニヴルヘイム区画に林立するうらぶれたビルにも、青空は等しく広がっている。
流れる雲を赤い瞳に映し、毒入りクリームパイ、サバイバルナイフ、殴って潰した顔を思い浮かべる。
「ふわぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
独り占めした屋上で足を組んだまま寝そべるロキ。
「その代わり、二度と私と凛陽に関わらないで」
あの日、復活デビューLIVE配信のクライマックスで死にかけたギルガメッシュを使うのと引き換えに、時雨から絶縁を告げられていた。
「ハッ、ソロ活動の方が性に合うぜ。ギャラを独り占めしたって文句も言われねぇ。それに、縁を切ったつもりだろうが、財布にはまだ蛇の皮が入りっぱなしだぜ。ハハハハハハハハ」
今のロキはニヴルヘイムを中心になんでも屋を開いている。まだ依頼は一件も来ていない。
壁や床を彫ったり、塗ったりして広告を載せ。ロキと言う神がギルガメッシュを倒した等の噂を流したが、大して効果無し。悩み事を抱えていそうな人間や他の種族等にもかたっぱしから飛び込みをかけてみたが、まともに取り合ってもらえない。
「あ~あ、視聴者百億以上間違い無しの神話級の番組を潰しやがって。おかげで、スケジュール帳が全部真っ白だ。こうなりゃ、あの神は今にナンバーワンを捻じ込んでみるか。ハハハハ」
収入が無いのは問題ではない。なにか欲しいものがあったって、金を使わずに手に入れる方法ならいくらでもある。
「あーーーーーッ。ヒマ、ヒマ、ヒマ、退屈だぁッ!! どっかに、オモシロそうな話しは落ちてねぇかなぁ。自販機の間に挟まってねぇかなぁ。コンタクトみたいに潰してねぇよなぁ」
ロキ、心からの叫び。駄々っ子みたいにジタバタした。
「ハァ」
あまりのツマンなさに、ため息が出てくる。
足を組んで不敵に笑いかけるロキ。
「なぁ、そこで見てんだろう? お前だよ、お前」
「一次元先からハッキリ見えるぜ。なにか俺に叶えて欲しい願いがあるんじゃねぇのか? 今ならタダで叶えちゃうぞ」
「オイオイ、遠慮すんなよ。俺はカミサマだ。せっかく与えたチャンスを逃すな。誰にだって、叶えたい願いの一つや二つあるもんだ。心配になる。死んでんじゃないかってねぇ」
「ッフフフ。いいか、正直になれよ。人生って奴はパーティよりも短いんだぜ」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
イカサマ×カミサマ シャノン・ディラック @writertutida
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