第四章 最後に笑うのは(10)
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」
babironシュメール区画支店五階、商品梱包フロア。
注文を受けた商品を、全自動で箱詰めから梱包を一分間に百個もできる大型機械の一台から、メチャクチャなノイズが奏でられていく。
けたたましい警告音は常に。梱包の一工程に特化した装置群からは、無理矢理に壊されていく悲鳴が次々と上がった。その中では絶えず、全身を叩きのめされ、肉を削がれ、骨までひしゃげる拷問。暴れる子供の様な喚き声が。
狭い取り出し口から、血塗れになったダンボールが出てくる。
箱を突き破る手。ぬめった血や臓物と一緒に這いずって出てくるギルガメッシュの無様な姿。
「ヒィィィーーーーヤァァァァッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
狂った笑い声が落ちてくる。辺りの瓦礫を吹っ飛ばしてロキが不格好に着地した。
三十階にある製品試験場から二百五十メートル真下の五階まで派手にぶち抜いた大穴からダイブしてきたのだ。
「ハハハハハハハハ。経営幹部の箱詰めだ。ヘヘッ。このままエンリルの所に送りつけてやるぜ。ィーヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ、ッフフフ、ハハハハハハハハハハハハハハハハ」
上からロキが見下ろし、未だbabironのダンボールから出る事のできないギルガメッシュを盛大に笑い飛ばしてやる。
「俺ぉを、見下せる奴はァッ、ナンバーワンである俺だけ、だ」
「ついでに、コイツ等も送ってやるぜ。俺からの餞別(ネタバレ)だ」
ダイヤルにトリガーの付いたグリップ状のリモコンと楔形文字で書かれた札を、遠吠えを上げる奴に投げ付け、嘲笑う。
マクスウェルの悪魔を放った直後、リモコンのトリガーを引いたロキ。ビルのメンテナンスや清掃員に変装し、予め仕掛けておいたプラスチック爆弾を起爆。激戦で脆くなった製品試験場の床から崩壊が始まり、計算通りの爆発の連鎖がギルガメッシュを五階に突き落とした。
後は梱包用の大型機械が、神の力を消耗し脆弱に成り下がった肉体をムリヤリ箱詰め。
babironの一般スタッフを全員帰し、稼働を止めた筈の梱包用の大型機械は、ロキと入れ替わるように製品試験場を出たリザが操作。マニュアルに悪戦苦闘しながら安全装置を切ったところにフェンリルが現れ、アルベルトの許へと瞬間移動させられた。
「お前さんのおかげで、ネタの引き出しが増えたってもんだ」
ロキがリモコンと一緒に投げ付けた札。それはウルクの使用権限。
ギルガメッシュの右腕エンキドゥや部下、babironのスタッフは、彼みたいに武器や荷物をどこからともなく瞬時に現していた。それは、権限の一部を肉体に刻んだり、札等の物で与えられているからだ。
大量に使用したプラスチック爆弾は、忍び込んでおきながら残しておいたウルクを保管場所に利用。後は、そこから出し入れできる権限の札を奪えば、ギルガメッシュにばれて剥奪されない限り、部外者のロキでも使用できる。
「場末のコメディアンが。この俺を、出し抜いたと思うなよ」
「おぅ、おぅ、おぉ。いい加減認めちゃいなさいよ。この俺の方が、お前さんよりもセンスがあって、オモシロイ神だって事をさぁ」
ロキが威嚇するギルガメッシュの頭を踏み付け、肩を竦めてみせた。
「テメェのぉ、考えたぁ、ネタなんざ、鉛玉にも劣るぞォッ」
罵声に対し、わざとらしく耳に手を当てるロキ。
「なにぃ、アンコールだって。んもぉ、しょうがないなぁ」
そう言って楽しそうに小躍りした後、もう一度見下ろした。
笑っている。ワクワクした子供みたいな純真さで。
「
左手をギルガメッシュにかざす。
辺りに巻き起こる生暖かい旋風。
全身から湧き立つ怪しい闇の魔力が、ねっとりした泥状になって舞う。
鉄を引っ掻き、すり潰した呻き声。
合わさり不明瞭な雑音が呪文を唱えている。
濃くなる闇から、だらりと流れ出す穢れた血。九芒星の魔法陣を描く。
「ぁアァ、はァ、やれるもんなら、やってみやがれ。神でありながら、魔法使いに堕ちた。ヘナチョコがぁッ!!」
怒号が轟く。
笑っているロキ。どす黒く残虐に溢れた邪神そのもの。
凶暴な相貌がギルガメッシュを見下ろす。宵闇に穢れた血を混ぜた巨大な狼の頭フェンリルだ。
虚勢を張ることすらできない暴君。絶え絶えになる息は、より苦しさで詰まっていく。
「お前の見たがってたマクスウェルの悪魔だぜ。拍手くらいしろよ」
闇を一気に照らす炎。フェンリルの頭が猛火の塊と化す。
「イェェェェェーーィッ☆」
「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
狂喜の歓声を合図に大顎が開いた瞬間、絶叫。大爆発。ド派手な爆炎がフロア一帯を焼き払った。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
爆発が治まり周囲が赤々と炎上する中、自身の仕事に満足する様子で大笑いするロキ。
ロキが放った魔法はマクスウェルの悪魔ではない。実際に使ったのは、アルベルトに作らせた魔法が使えるように見せる為の使い捨て手袋。爆炎を放つ魔法だ。本物を一度喰らったギルガメッシュは恐れを捨て切れなかったから、威力は甚大にまで跳ね上がった。
「ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
怒気と狂気が入り混じる高笑い。おぼつかない様子ながら、更に消耗した筈のギルガメッシュが、立ち上がってみせる。
「ビギナーズラックは制したみたいだが、しょせんは一発芸の域」
赤を基調にいくつもの青い線が入った鎧。限界以上に性能を引き出し、寿命を迎えたのか灰となって消える。確かにギルガメッシュは大爆発を喰らったが、咄嗟に防御していたのだ。
「俺を倒したつもりじゃねぇよなぁ。ゴキブリィィッ!!」
激昂するギルガメッシュに、ロキが怖がる素振りをしてみせる。
「おや、生きてらっしゃったんですか。てっきり、おトモダチの所で一杯やっているのかと」
軽口を叩いたロキがギルガメッシュの現した剣にブッた斬られる。
「テメェが、ドゥーカの事を口にすんじゃねェ」
襲いかかる暴君の逆鱗。現した剣は、どれも限界を凌駕した破壊力。一斬につき一本と糸目はつけない。その余波だけでビルの寿命がどんどん縮んでしまいそうなほど。
「どいつもこいつも神って奴は、俺から色んなものを奪いやがる」
「友を」
「部下を」
「民を」
「玉座を」
「街を」
「成果を」
「この俺が築き上げたものを、狙って台無しにしてきやがる。ハイエナ以下だ」
いわれもない怨恨の数が増える度、圧倒的な強さは衰える事を知らず、むしろ膨らんでいくばかり。さっきまでの脆弱さが嘘の様。
立ち上がれないロキ。落とし前をつけさせようと執拗を極めたギルガメッシュの報復に蹂躙され、苦笑いを浮かべるのもやっと。
「…………ハハ、透ちゃん並みにメンドイぜ………………………………」
葉巻の煙を吐きかけられる。
「それ以上だろ、バカがッ!! 人間が混じってるってだけで舐めやがって」
苦悶と同じくらいロキが悪意に満ちた笑みを浮かべる。
「ああ、分かるぜぇ。病気はしやすいし、シワも増えるし、イイことないもんなぁ。でも、お前さんの武器も、俺が魔法を使えるのも、全ては人間サマのおかげだぜぇ」
「黙れ!!」
火の付いた葉巻と強烈な蹴りを顔面に浴びせる。ロキの体は大型機械だった残骸まで吹っ飛んだ。
「この俺こそがナンバーワン。神の頂点に立つ俺に、害虫如きが説教すんじゃねぇ!!」
吠えるギルガメッシュの死角からかんざしが飛んでくる。薄紅色の花をあしらった銀のかんざしが。
小賢しいと剣で弾いた。
ギルガメッシュの心臓を蒼く清浄で満たされた刃が貫いた。深く深く、死ぬまで二度と抜けない様に。
「これは、私の分」
惹きつける艶めかしさに、凍てつく殺意を兼ね備えた微笑。纏う力は仄かなれど、冴え渡る麗しさ。
復活した時雨。決着をつけに駆けつける。
「……メ、ス………ブたぁぁ…………」
突き刺した天叢雲剣は、手から離れても鎮める力を絶えず流し込んでいる。
憤怒に歪んだままのギルガメッシュをもう一振りが斬る。
「残りは、貴方に苦しめられた皆の分。と言うところかしら」
灯火を纏う刃は燃えるだけの炎に埋もれず、熱く勇ましい輝き。
時雨が振るっているのは草薙剣。本来の持ち主には劣るが神を斬り裂くには十分すぎる。
「ッハッハッハッ。メ、モ帳、通り。い、もうとは、テメェの、道具じゃねぇか」
悪あがきに動じず、致命傷となる箇所に正確な赤い太刀筋を描いていく。
この場所に、凛陽はいないのかもしれない。
草薙剣には天叢雲剣みたいに意思が宿っている。それが事実。だけど、柄から手に、手から胸にかけて、温もりが伝わってくる。うるさくて、甘えてくる声が聴こえてくる。
目を逸らし、逃げ続けていた繋がりに向き合う事ができた今。
絆を実感できる。
「私は凛陽と一緒に戦っている」
正確無比を極めた技に解けた時雨の心が伴う。草薙剣が呼応し、灯火から真紅の炎へと燃え上がる。
疾き剣閃。
余裕ある瀟洒な業の数々。
炎で咲き誇る彼岸花が暴君の命を散らす。
「ねぇ、最期に聞いておいてもいいかしら」
薄く微笑みを浮かべ、首筋に刃を突き付ける時雨。
ギルガメッシュは倒れていなかった。天叢雲剣で衰弱に追い込んだ上で、時雨が千を超える斬撃を全身に隈なく浴びせた。だが、足だけは刃を弾き、斬らせる事を許さなかった。
「天叢雲剣が真吹家にある事を、誰から聞いたのかしら?」
この場でギルガメッシュを殺しても、全ての脅威が無くなるわけではない。この先、凛陽と一緒に安心して生活する為にも、両親から聞かされなかった天叢雲剣の情報を何者から聞いたのかを知る必要がある。
「ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
死の淵とは思えない、不快に満ちた高笑いが響く。時雨は首の皮を血が滲む程度に削いだ。
「鈍感ね。情報と引き換えに、命だけは見逃してあげると言ってるの。このまま死んだらナンバーワンには二度となれないけど。それでもいいのかしら?」
微笑みを崩さず、時雨が乱心した笑みを蔑んだ。
「二流、三流との取り引きなら、悪くねぇ。だが、俺はナンバーワン!! テメェに膝を屈するくらいなら、死んだ方がマシだ!!」
時雨が柄でギルガメッシュの頬を叩いた。
「私が殺し損ねると思ってるのかしら。二度と再生できなくなるまで、この手で責任を持って完全に殺してあげるわ。その意味が分かる?」
歪みひしゃげた笑みが、時雨の前から消えない。
「施しを与えたつもりか。仮に生き延びるとしても、テメェに価値をくれてやるなら、悔しがるテメェに殺された方が、何万倍も価値がある」
正に不撓不屈。命乞いはせず。手負いの獣とは呼ばせない悪鬼の迫力を放つ。
「馬鹿ね。その場の強情で大局を見失うなんて。だから、敗北を味わうのよ」
時雨は間違いなく優位に立っている筈なのに。たかが傷の為に執着した皮肉を口にする事しかできない。
「バカが。ナンバーワンである俺は、譲歩はしてやっても、妥協はしねぇんだよ」
金色の瞳は生気を失うどころか、輝いてすらいる。
時雨は草薙剣を引いた。これ以上、何を聞いても無駄だと、不快な声を聞かされるだけ。
「分かったわ。この私が見逃してあげる。たかだか無名の小娘に敗北した屈辱を。こうして生かされている事実を。傷を見るたび思い出しなさい」
生殺与奪の『生』を選択した。本来なら殺すつもりだった。だが、復讐は命を奪う事が全てでは無い。その者にとって最も屈辱的なものこそが相応しい。勝者である時雨が、敗者に命を施してあげるからだ。
心臓に突き刺した天叢雲剣に手を伸ばすと、ギルガメッシュが鼻で笑う。
「ハッ、どのみちテメェは、俺を殺す事になる」
「どういう意味かしら?」
執念に滾った憎悪。凶悪さに拍車がかかる暴君の相貌。
「言っただろ。勝負の決着は、どちらかが、完全に死ぬまでだ。テメェの新しい生活をぶち壊してやる。作った友達は皆殺しだ。禁忌を犯した事もバラしてやろう。ナンバーワンであろうが、なかろうが、この俺についてった部下どもの分だけでも、落とし前をつけさせてやる」
負け犬の遠吠えと断じて耳を貸さなかった。
「テメェの前で、凛陽を引き裂いたって足りねぇくらいだ」
聞き捨てられない言葉に、時雨は止まってしまった。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
うるさくて不快な高笑いを、紅蓮の刃が叩っ斬る。
生殺与奪の『殺』に切り替えた。大事なものを奪われる、その前に。
艶やかさを捨てて青い髪を振り乱し。
灼熱に燃え盛る太刀筋で滅多斬る。
滅多斬る。
滅多斬る。
倒れていたギルガメッシュ。
不快な声を上げることもなく沈黙。凶悪な笑いは醜い苦悶に満ち。忌々しい再生能力は消え失せ、土気色をした肉塊いや汚物となった。
後一斬で完全に息の根を止められる。決着がつく。
斬りかかる草薙剣が暴君の頭から身体を真っ二つに。
止まった刃。
時雨は殺す事を躊躇したのではない。
不意に細いものが首筋に巻き付いてきて、食い込んでくる痛みが襲ってきたから、処刑を中断せざるを得なかったのだ。
「ワイヤーはいいねぇ」
時雨の背後から、飄々と茶化す声が聞こえてくる。
「こうして手綱にもなる。凛陽が繋いでくれた絆だ」
楽しそうな笑みを浮かべ、いつでも落とせるようロキがワイヤーを引っ張っている。
「無粋ね。人の玩具を横取りするなんて」
斬る事に力をほとんど費やしてしまったから、清浄なる力で破壊する事ができない。
「なぁに、ちょっと遊び方について、アドバイスしてあげようと思ってさ。俺なら、ネタバレしたけしからん奴の暗証番号だって聞き出せるぜ」
瓦礫の陰からロキは時雨とギルガメッシュの一部始終を眺めていた。立ち歩けるまで回復した後、吹き荒れる炎の斬撃を悠々と見物しながら背後を取ってみせたのだ。
「お生憎様。今の私は一秒でも早く貴方達を始末したい気分なの」
滲み出す殺意は青い。
「イ~チ。はい、俺生きてるぅ。ナンバーワンも生きてるぅ。ニィ~ッ、サぁ~ン――――」
怯えず、バカにした口調でロキが数を数える始末。
「何がしたいのか。腹を割って話してくれないかしら」
「オイオイ、俺の腹まで割る気かぁ。まぁいいや。バラして土に埋めるなんて、ツマンねぇよ時雨。ゴミ処理業者の仕事だ。どうせなら、もっとオモシロくてスカッとする方法で遊ぼうじゃねぇか。なぁに、豪華客船に乗ったつもりで、俺に任せちゃくれないか」
ロキはギルガメッシュに刺すトドメを欲しくて欲しくてしょうがないのだ。
「もう十分遊んだでしょ」
嗜めた時雨をせせら笑うロキ。
「イヤだね。時雨、俺にも拒否権がある筈だ。俺はお前の奴隷じゃない」
草薙剣その切っ先がロキに向く。ワイヤーを強引に引っ張り機敏な身のこなしで振り返ったけど、時雨の指や首筋は赤く染まってしまう。
「……殺すわよ」
気圧されてしまうロキ。
「………………ハハハハハハハハ」
とりあえず怖がってみせておいた。
「ぅオイぅオイ、マジかよ。そりゃあねぇぜ。こうして仇をフルボッコにできたのは、誰のおかげだい。パラパラ巻き戻して見ろよ。エンキドゥを倒したのは? 神器を潰し、毒を仕込んだのは? マクスウェルの悪魔だってやったんだ。MVPは俺だぜ。俺。オイシイ思いをしたって、バチは当たらないんじゃないんですかぁ」
正当性を主張し、時雨に報酬(ギルガメッシュ)を吹っかける。
切れたワイヤー。
喉元に迫る疾い突き。
「ヒぇゃぁぁぁアアアーーーっッ!!」
命綱が切れ、狼狽えた悲鳴を盛大に上げるロキ。殺意ならぬ滅意に腰を抜かし、床にへたりこんでいる。
「ヒ、ひ、ひ、ひどいじゃないか。死んだ妹を蘇らせた神は、用が済んだらポイですか。これが終わったら、皆で一緒に遊ぼうと、約束したじゃありませんか。それなのに、なんたる仕打ち。この人でなし。ああ、違う………………………」
ロキが弱りきった姿で大仰に悲壮感をたっぷり盛ってきた。
「今は、もう神だったな」
気色悪い、汚い、狂気じみた不快な嘲笑。
愕然とした時雨。
常に冗談を口にしながら協力的には振る舞っていたが、全てはこの瞬間の為の布石。欲しいものを手に入れる為の一戦術。悪神としての本性をこちらに向けてきたのだ。
「神を殺せ。今すぐ殺せ。お前自身の為にも、我が力を行使し、全てに終止符を打つのだ」
動こうとしない時雨を、天叢雲剣が叱咤する。
殺せば、今すぐ因縁を断ち切れる。
「……………分かったわ…………………………」
草薙剣を引いた。
「ヨッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
大歓喜に沸くロキ。欲しいオモチャが手に入った嬉しさからピョンピョン飛び跳ね回り、パチパチ指を鳴らし、ゴキゲンにクレイジーなヘッドスピンまで披露。
「後悔するぞ」
天叢雲剣の言う通りかもしれない。
でも、この厚顔無恥で、決して強いとは言えない神がいなかったら、ギルガメッシュをここまで追い詰めるどころか、見つけ出す事も敵わなかっただろう。情さえも武器に変える、卑怯卑劣な邪神がいなかったら、凛陽が蘇る事は決してなかった。
「ハハハハハハハハハハハ、サンキュ~な~時雨~」
楽しさが溢れて止まらない無邪気な笑みを浴びせ、馴れ馴れしく話しかける。
「悪ィんだけど、ハハハ、アシスタントを頼んじゃってもいいかなぁ? ぅふふふぅ」
小さく頷いた。
閉ざして、霞と消えゆく青。
「その代わり」
脆い細工と化す前に、己の意思を伝える。
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