1号車4列-B 火曜日
放課後。俺たち「鉄道部」と放送が終わった後の彼女は部室に集まっていた。
「先輩、企画が思いついたって本当ですか?もう発表は明日ですよ」
「ああ。もちろんさ。」
そう言うと、俺は二人に紙を渡す。実は昨日、学校から帰ってきて家で少し計画を練っていたのだ。
「なんですかこれ。まさか先輩、一人で考えてきたんですか!?」
「ああ。少し考えが浮かんでな。試しにまとめてみたんだ。見てみてくれ。」
少し時間が経つと、まず彼女の方から
「ふーん。面白そうじゃん」
「ですよね。俺も賛成です」
と、続いて後輩も言う。
「そうか、良かった。だが、企画して実行するのは俺だけじゃない。みんなの意見も聞きたいんだが…どうだ?」
「なるほど。それなら、ここにはないですけど、『車内販売』をしてみればいいんじゃないですか?」
「ほう、『車内販売』っとな。いい考えだ。だが、するにしても具体的にどんなものを売るとか決めなければいけない。さて、何を売ろうか」
すると、彼女が
「その…189系、だっけ?…のラベルを付けたお茶とか売ってみたらいいんじゃない?あと、軽食とか!それで可愛かったら絶対インスタ映えするよぉ~」
インスタ映え、か。やはりそっち方面の話は男子より女子の方が詳しいのだろう。彼女はニコニコしながらどう?と言わんばかりにこっちを見ている。
「いいんじゃないですか?他にもグッズとか売ればもっと売れると思いますけど」
「グッズか。確か数年前、そんなものも売っていたなぁ」
「それを売れば良いんじゃ無いですか?何なら俺も買いたいぐらいですけど」
確かにいい考えだ。恐らく物品の確保はプロジェクトの正規の職員さんがやってくれるのだろうが、果たしてできるのだろうか。
「よし、それでいこう。他になんかあるか?」
「う~ん、ここに『終着駅到着後は現地解散』ってあるじゃないですか」
「ああ」
「これをですね、終着駅を車庫又は駅配線に余裕がある駅にするんです」
「ほう、それでどうするんだ?」
「それで、そこで『ミニ撮影会』をするのはどうでしょうか」
「あ~、それ楽しそう!私も賛成~!」
「なるほど、それは楽しそうだ」
つくづく思うが、彼はいつも楽しそうな顔をしている。もちろん、楽しんでくれる中で意見を出してくれていつも感謝しているばかりであるが。
「じゃあ、それで明日提案してみよう」
「了解です」
「私はどうすればいいのよ?」
「う~ん、しばらくはまだ大丈夫かも。ただ親には断りを入れといてくれ。」
「オッケ~」
「じゃあ、話は以上だ。ありがとう、お疲れ様。」
「お疲れ様~」
家。学校から出る課題と自主学習を終わらせると、早速俺はパソコンの電源を点けた。しばらく経つと、パソコンが完全に起動する。その頃、俺のスマホが鳴った。
「珍しく電話か」
誰かと思いスマホを取ると、相手はプロジェクト長だった。
「もしもし」
「私だ。お疲れ様」
「お疲れ様です」
「ところで、どうだね。企画案の方は」
「あぁ、そのことですか。安心して下さい。今日全部決まってこれから企画書書くところですよ」
「おぉ、それはすごい。いやぁ、しかしすまないね。何から何までやらせちゃって」
「いえ、自分から頼んだことですから。持って行くのは明日で大丈夫でしたよね?」
「ああ。いつもの場所で待っているよ。それでは、よろしく頼むよ。」
「はい。失礼します」
やはりプロジェクト長としても、企画ができているか心配だったのだろう。しかし、俺がもうできていることを伝えると急に安心したような声になっていた。
さて、企画書、書くか。
189系で人を喜ばせる方法。 暇な人 @him_205-5063
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。189系で人を喜ばせる方法。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます