子どもに愚痴を言ってはいけない(後編)

 そして、極めつけはこれです。


「パパなんかと結婚しなければよかった」


 もう最悪です。


 だって、考えてください。


 その言葉は、目の前の子どもの存在も否定しているんです。


 2人が結婚しなかったら子供は生まれてこないのに、そんなことを言われたらまるで自分の存在も否定されているみたいになるんです。

 私はそんな事まで考えていませんでしたが、たしかに、気持ちは少し分かります。

 それに、そんな母と父の血が混じってるんですよ。悪口を言う人の血、悪口を言われる人の血。自分のことも嫌になります。


 私は自分の血が嫌いでした。

 大っ嫌いな母と父の血で出来た自分自身が。

 出来るのならば、自分の血を全部抜いて、新しい血に変えたいくらい。


 まあ、血なんてどんどん自分の中で新しく作られていて、厳密に言えば母と父の血では無いかもしれないですけど。

 それでも、血が繋がっているというその感覚が嫌で仕方ありませんでした。


 自分の配偶者のことを悪くいうということは、その人との間にできた子どもについても悪く言っているようなものです。



 それから、なんにも知らない子どもを味方につけるようなことはやめて欲しいです。


「パパの方が悪いでしょ? ママ悪くないよね?」


 私は何度も言われました。

 その答えは、一体何が正しかったのか、今でも分かりません。

 罪のない子どもを、自分を正当化するための道具にしないでください。

 反抗できないことをいいように使わないでください。


 正直私は「ばかばかしい」と、ずっと心の中では蔑んでいました。

 でも、やっぱりそれは口には出せません。

 どうして悪口を聞いて育たなければならなかったのでしょうか。

 私にもそんなひねくれた大人になって欲しかったのでしょうか?



 親も人間なので、親同士が喧嘩したりすることは仕方ないと思います。

 でも、そこでしっかりとした所は見せるべきだと思います。

 話し合いをすること、謝ること、許すこと、これからのこと。

 私の親は、見ていて人として幼いなと思いました。

 ただお互いの感情をぶつけるだけ。自分は悪くない。相手が悪い。

 一体何歳の喧嘩を見ていたのでしょうか。

 

 子どもに人として尊敬されなくなることほど、親として恥じるものはないと思います。


『子どもは親の背中を見て育つ』


 あなたのその背中を見て子どもが育つのは恥ずかしくなかったのですか?


 親に問いたいです。

 私の親の背中は反面教師でした。

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