7分間の幸福

 最後に中学生の中で一番楽しかった話をしようと思います。


 それは部活動です。

 吹奏楽部に入ったことは最初にお話ししたと思います。私はそのまま三年間吹奏楽でトロンボーンをつづけました。

 そして、最後の年、私たちの学校は見事、賞をいただくことができました。賞といっても銅賞ですが。でも、それでも、うれしかったです。自分の学校が呼ばれたときは泣きました。


 コンクールのために曲を決めて、その曲を何か月も練習して。

 時にはたくさん怒られて、厳しくされて。朝も放課後も休日も練習して。

 うちの学校は失礼ながらそんなに吹部が強いところではありませんでした。

 もう何年も賞なんて取っていませんでした。

 なので、自分たちがリーダーとして頑張った代で賞をとれたこと、本当にうれしかったです。

 一緒に頑張ってきた同級生。最後まで指導してくださった先生方。どんなに厳しくしてもついてきてくれた後輩たち。

 本当に感謝でいっぱいでした。


「辛かった数か月間とコンクールの七分間は天秤にかけた時ピッタリ釣り合う」


 顧問の先生にそう言われました。


 あの辛かった数か月は、確かにあの一瞬で喜びに変わりました。何倍にも。 


 それが吹部のすごいところでした。

 あの七分はそれほどのものでした。

 コンクールの舞台裏で緊張して。演奏を始めたら全力で、一瞬で。

 演奏が終わって立ち上がった時の景色と拍手の音。

「ああ、終わったんだ」

 何にも表現できない感情になります。


 最高でした。


 こんな幸せな思い出がよみがえるけど、本当に辛いことが多かったです。

 先輩との関係もだし、同級生での関係も、後輩との関係も、とにかく大変で。

 中学生の女子ってすごく面倒なんですよね。

 練習もとてもつらかったです。ものすごく怖い先生がいて、その人の合奏の時はいつも緊張していました。いつになっても慣れませんでした。


 あとは、イベントごとで演奏するのも楽しかったです。

 新しい楽譜をもらうたびに、家でずっとその曲を聞いて暗譜していたことも懐かしいです。

 妹も同じ部活に入っていたので、一緒に仲良くやっていました。


 辛いことがあっても、やっぱり最後はとてもいい思い出になっています。


 吹奏楽部に入ってよかった。


 心からそう思っています。

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