バイト漬け

 10月。

 部活も受験も終わり、暇になった私はバイトを始めました。

 私の高校は申請をすれば自由にバイトができるところだったので、申請をしてからバイトを始めました。


 場所は家から電車も使って30分くらいのところにある飲食店です。

 法事やお祝い事をするようなちょっと高めのお店でした。

 服装が着物のようなもので「これを着て働きたい!」と思ってそこにしました。


 時給は、時間や曜日で変動しますが、平均1000円くらいです。

 高校生の割には高かったです。

 まあ、お店がそれなりにいいところで、今考えても仕事がかなりハードだったので、妥当かなと思います。


 私はそこで、ほぼ週5でバイトしていました。

 平日3日と土日両方。または、平日4日と土日どちらか。

 の、2パターンで働いていました。


 平日は高校にバイト道具を持って行って、放課後そのままバイト先に向かい、22時過ぎに家に帰ってきていました。

 土日は15時から21時くらいまで働いていました。

 

 それだけ働いて月に7万ほど稼いでいました。


 そのお金を、私はほぼ全て貯めていました。


 全ては、一人暮らしをするために。


 大学を卒業して就職するまで我慢するという考えでしたが、正直、今すぐ家を出ていけるなら出ていきたかった。

 それで、大学の寮や、近くのアパートなどに住みたいと思いました。


 そのお金を少しでも自分で出せば許してもらえる確率が上がると思って、必死に働いて、それを使わずにひたすら貯めました。


 それと、バイトしている理由はもうひとつあって、それは、家にいなくて済むからです。


 家には、お風呂、ご飯、寝る、のためだけに帰る。

 それくらい働いていました。


 しかし、それが逆に自分を苦しめているとは、思いもしませんでした。


 私の一番のストレスは家にいることであって、バイトをする事でその時間が少しでも短くなるのなら、私のストレスは増えないはず、と考えていたのですが。

 その考えは間違っていました。


 バイトが全くストレスにならないなんて事はあり得ませんでした。


 大変な事はそれなりにあるし、体力的にもかなり辛く、居心地の悪い家での少しの休息では、体が休まりませんでした。


 今考えても、この時の生活はやばかったなと思います。


 普通に学校もあるから、朝8時には家でて、帰ってくるのは夜10時。

 そんな生活を、私は高校卒業する少し前まで続けました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る