小4ですべてを悟る
あまり記憶に残らなかった小学3年生までを過ごし、そのまま小学4年生になりました。小学4年生のいつ頃だったか、全く覚えていませんが、あの時の状況は鮮明に覚えています。
私はいつからだったか、周りの人を見るのが癖でした。人間観察、っていうんですかね。いつから、どんな理由で始めたのかはわかりません。その日も、昼休みに教室で友達と話をしながら、周りの同級生を観察していました。
その時だったんです。
ふと、自分がどこかに行ってしまったように感じたんです。
なんというか、自分の体から抜け出して、一歩引いて見ているような。このクラス全てを見渡せているような。そんな感覚に陥りました。
音がエコーのかかったように大きく、わんわんと響いて聴こえ、みんなの動きはフレームレートが下がったスローモーションのように見えました。
そして、たった1つ、私の頭の中に言葉が浮かびました。
「私の家族は、みんなと違う」
なんていうんでしょう。
ファンタジー的な解説をすると、ある日突然前世の記憶が蘇り、覚醒したような。小さな子供だったはずなのに、前世の記憶が蘇ると、突然性格が前世のものになってしまったり、前世の最強の能力ごと蘇ったような。
ただの女の子が世界のすべてを知ってしまったような。
そんな悟りを啓いたような感覚になりました。
「ああ、そうなんだ。私は、みんなと違うんだ」
あの瞬間、私の精神年齢は一気に大人へと成長しました。
私は親からお金しかもらっていない。
なにも褒めてもらえないし、愛情も何ももらってない。
勉強を教えてくれているのは学校で、友達などの人間関係だって学校で学べる。
知りたいことは自分で調べることだってできる。
ああ、私は、
「親からは金しかもらってないんだ」
そう、突然気が付きました。
つまり、金さえなんとかなれば私は親なんていらないんだ。
それさえどうにかなれば誰だってよかったんだ。
とても残酷な現実。小学生のうちにそんなことに気が付けるなんてすごいと、カウンセラーさんに言われました。しかし当時の私は、それを悲しくなんて思いませんでした。私はこのまま中学生になって、高校生になって、いい大学に行って、いいところに就職して、そうしてとっとと親を捨てよう。
こうして、私の人生は決まりました。
自分でたくさんお金を手に入れられるようになって、親を捨てること。
学びたいことはすべて外で勉強しよう。大切なことは友達、先生、そのほかの人が教えてくれる。あとは本を読もう。本も私にたくさんの知識をくれるはず。それから、今まで以上に人を観察しよう。学べるところはどんどん見て学ぼう。
それと同時に、たった一つ、大きなものを捨てました。
「今は、幸せをあきらめよう」
私は幸せになるのが人より遅いだけ。大人になったらたくさん幸せになれる。だから、それまでは我慢しよう。全部、未来の私に託そう。
たった小学4年生です。
たった10歳そこらです。
私は自分の幸せを未来の私に託し、希望をもって、これを決めました。
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