第3話昼休みに後輩と二人っきり
「榎波セーンパイっ、どうですか?一緒に」
教室には入らず、扉に寄りかかり昼食に誘われる。
椅子から立ち上がり、誘ってきた人物に駆け寄る。
「行こう、早くっ」
腕を掴み、図書室まで連れていく。
「何ですか、榎波先輩っ」
図書室に到着して、奥のパソコンが置かれた一室に入る。
「キスでもしてくれるんですか、榎波先輩?」
「しないよ、絵元。キスなんて一生しないよ、絵元と。まだ諦めてくれないの?」
「諦められないから、榎波先輩のこと。何を直したら振り向いてくれんの。榎波先輩っ!」
肩に手を置いて、高ぶった声で訊ねてくる。
「絵元って、尻軽女が好きなの?」
真面目にこたえるつもりはない。
「そんな言葉、先輩らしくないですっ!一途な先輩が好きで、振り向いてほしい......っ、ただそれだけでっ......」
「泣かないでよ。かっこいい顔が台無しだよ、絵元。絵元が好きな私、榎波冬香で居させて。ねっ、和真」
絵元の頭を優しく撫でて、目もとの涙を指でさっと拭ってあげる。
「......っぐ、ありがぁ、とう。榎波ぃぃっうぐ、せぇんぱぁいぃぃ......」
男子が好きな女子の前で泣くなんて。
「食べよっか、絵元。嫌なら私は......」
部屋を出ようと歩き出す私の腕を掴む絵元。
「意地悪......榎波、先輩」
「冗談だよ、食べるよ。絵元、早くしないと授業始まるって」
二人で昼食を摂り、楽しい会話を始める。
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