第3話夢の始まり③

ファルムの言葉に康助は理解するのに時間がかかり、しばらく呆然としていた。

「と言っても、理解しにくいのはわかる。ただ、これは重要なことだからこれは聞いてたほうがいいぞ。」

ファルムはしばらくして口を開いた。 

「お前がここにいるのはオニロの波長が適合したことで存在しているんだ。」

その言葉に康助からの口から何も言葉が出ない。

「オニロという特殊な波長があってなそれがお前が睡眠時にお前の脳波がオニロの波長に適合したんだ。」 

ファルムは沈黙している康助に状況を説明していた。

「ちょっと待ってよ、そのオニロの波長に俺が適合してこの世界に存在している?」

「だけどこんなこと今までになかったぞ。」

と先までの沈黙を破り、言葉を発する康助。

「そりゃそうだ、オニロの波長に適合するなんざ10年どころか100年に一回にあるかないかだ。つまりお前は世にも稀なオニロアンスロポスだ。」

「オニロアンスロポス?」

「そうオニロアンスロポス、オニロの波長に適合し別世界から来た奴のことをそういうふうに言うらしい。」

「でもなんで君は俺をそのオニロに適合したってわかたんだ?」

「前にも同じ奴に会ったんだ。」

「前にも俺と同じ人間がいたのか?」

「ああ、そうだ。そいつの名前はゲオルグ、あいつはドイツというところから来たと言っていた。あっちの世界で寝ていたらこっちに来たて言っていた。」

「そいつはどうしたんだ?」

「あいつはこっちの世界で寝たらそれきり見ていない。」

「それじゃ、俺も戻れるのか?」

「それは俺にもわからない。」

それから二人は沈黙しあった。そして先ほどの店員がビールとパスタとシュニツェルを運んで来たのが見えてきた。

「お待たせしました。ラトビアビール2本とボンゴレロッソとシュニツェルです。」

「ありがとう。」

ファルムは料理を持ってきた店員にチップとして紙幣1枚渡した。

「ありがとうございます。」

店員は上機嫌にその場から去った。

「じゃあ、俺はこれからどうすれば」 

康助はファルムに尋ねる。

「さっきも言ったがお前がここにいるのはオニロの波長が合ってるからこそ、だから俺にはどうすることもできない、ただ俺はそのオニロに非常に興味がある。オニロは別の世界の人間をこの世界に引き寄せる力があるだから俺はお前にそのことを説明したんだ」

康助は沈黙していた。

「スケ、俺はオニロに興味がある、そしてお前は自分の世界に戻るのが望みだ。だから、俺達でオニロの探求するというのはどうだ。」

ファルムは康助に語る。

それに対して康助は直ぐに返答できなかった。なぜなら、少しの迷いがあった。

オニロに対する確信もないそしてこの男ファルムに対しても信用に値するのかが悩みなのだ。

「なぁ、スケどのみちお前はこの世界の住人じゃない今後のことも考えてもここで上手くやれる自信があるのか?…」

その問いに康助は更に頭を悩ませた。

「だったら何もしないでいるよりは何かやって答えを見つけるというのどうだ、そうするれば解決策があるかもしれないじゃないか。」

その言葉に康助は悩みは少し晴れたかのように感じられた。

何もしないよりも何かをやっていたほうが解決の糸口が見つかるかもしれない。

「わかったよ、君と一緒にそのオニロを見つけようそして俺は自分の世界に絶対戻る。」

康助は言葉を発した。

「その応えを待っていた‥相棒」

ファルムは康助に言葉を掛けると右手を差し出した。そして康助はその手を握った。

「宜しく頼む‥相棒」

かくして、二人のオニロへの探求の旅が始まるのであった。

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オニロ 龍丸文彦 @tatsumarufumihiko

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