第7話 指切りげんまん
ある日の夜。
『指切りげんまん…嘘ついたら…はりセンボンのーます…魅香ちゃん…僕、引っ越すけど、また逢えた時は変わらない自分達で逢おうね』
『うんっ!約束だよ!瀏士君!』
幼い時に交わした指切り
今では
遠い遠い昔で
何十年と経っていても
このときの夢のように
私達は
再会出来るのでしょうか?
きっと私の時間は
止まったままかもしれない
もう一度
あなたに
出逢えますか?
「夢…見ちゃった…」
私はリビングに行く。
「目、冴えちゃったよ…」
「…魅香?」
ビクッ
名前を呼ばれ振り返る視線の先には瀏士の姿。
「瀏士」
≪そういえばさっきの夢の男の子も瀏士って≫
≪だけど…そんな訳ないし≫
「何してんだ?」
「えっ?あっ、うん…夢見ちゃって目、冴えちゃった」
「夢?怖い夢でも見た?」
「違うよ。幼い頃の夢」
「幼い頃の夢?」
「うん……。大好きだった初恋の男の子が夢に出て来ちゃって…思い出しちゃった…私…きっと…時間が止まったままなのかもしれない…」
「…魅香…」
「…ごめん…部屋行くね」
瀏士の横を横切る。
グイッと腕を掴む瀏士。
ドキッ
「初恋の相手ってどんな奴だったんだ?」
「えっ?…どんな奴って…それは…」
「目、冴えたなら俺が話し相手になってやるよ。俺も目、覚めた所でさ…話し相手になってやれって事だったのかも」
「えっ?まさか!それ、誰の導き?」
「知るかよ!」
私達は笑う。
私は瀏士に話をした。
「なるほどな…夢見たって事はさ、何かの知らせかもしれないな」
「えっ?」
「逢えたりして」
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
「会えると良いな!」
「うん……」
「ただ1つ付け加えると、同じ瀏士でも俺じゃねーからな」
「同じだったら、それはそれで凄いし奇跡だよ」
「そうだよな。同じ空の下、出逢ったんだし……しかも一緒に住んでるなんて」
「そうだね?」
私達は騒ぎつつも、話題を変え話をしていた。
気付けば夜が明け始め、
「朝ご飯でも作ろうかな?」
「えっ?」
「今更寝るのも」
「確かに。二人で作るか?」
「作っちゃう?」
私達は、朝ご飯とお弁当を作る。
「だけど、授業中……俺達、絶対死ぬな」
「ハハハ……睡魔との闘いだね」
「あら?二人で何してるの?」
義理の母、リョウコさんが、起きてきては尋ねた
「見ての通り朝ご飯と弁当」と、瀏士。
「えっ?」
「私が目、覚めちゃって、瀏士も偶々起きて話し相手になってくれて。作ってまーす♪リョウコさん、コーヒー淹れますね」
「じゃあ、お言葉に甘えて頂こうかな?」
「はい!了解しました!」
しばらくして、パパが起きて来る。
「おはよう!あれ?リョウコ」
「おはよう。見て。二人が朝ご飯とお弁当作ってくれてるのよ」
「へぇー」
「おはよう!パパ。コーヒー淹れるね」
「ああ、ありがとう」
そして私達の手料理の朝ご飯とお弁当が出来上がった。
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