第6話 恋人同士の特権、人を好きになる事
それから数ヶ月が過ぎ ―――10月
「丈田君…あの…私…好きなの…付き合って欲しい…」
「えっ?…あっ…悪い……俺、好きな子いるから……」
「そうか……」
「本当、悪い」
瀏士は最近、告白される事が増え始めたと話していた。
「告白?付き合ってみれば良いのに」
「仕方ねーじゃん!好きな女(ひと)いるし」
「嘘!じゃあ、その好きな子に告白すれば良いじゃん!」
「しない」
「ええーーっ!もったいない。だって瀏士イケてるし、もしかすると相手も……なーんて事もあったりするわけだし。乗りに乗ってる告白尽くしだから」
「いや、それとこれとは別。だって同じ学校じゃねーし!今の仲も悪くないかな?って思ったりして」
「えー、恋人同士になった方が良いよー。手繋いだり~、キスしたり~、沢山触れる事、出来るんだよ~♪」
「まあ……そうなんだけど……」
「あっ!もしかすると恋愛になると奥手?」
「どうかな?恋人同士になったら、そうでもないかもしんねーけど、今は今で、この片想いも楽しいし」
「男の子の心理って分かんない……」
「女も分かんねーし!お互い様じゃね?」
私達は騒ぐのだった。
ある日の事。
「魅香ちゃん。俺と付き合ってくれない?」
綺沙良君からの突然の告白。
ドキッ
「えっ!?」
「ゆっくりで良いんだ」
「…綺砂良君…ありがとう……だけど…私…正直…恋愛とか…人を好きになる事なくて…今迄、告白された事あっても付き合う事なくて」
「そうか……」
「だからごめん……それには応えられない」
「分かった」
『あなたが好き』
そう言える自分でありたい
人を好きになる事は
難しいようで簡単?
簡単のようで難しい?
私の心の想いは
正直閉じたままで
恋の扉は
開いていない
私に
人を愛せること
出来ますか?
人を好きになることが
出来ますか?
その日の夜。
「久竜から告白された!?」
「うん……でも…私…断ったんだ」
「どうして?アイツ良い奴じゃん!再会して以来、遊んでっけど」
「確かに…そうかもしれない。でも私……出来ないの…」
「えっ?出来ないって?」
「保育園の時の初恋みたいにドキドキしたり、ドキッとしたり胸のトキメキっていうか…そういう想いが全然なくて…だから…」
「それって…つまり…初恋の相手が心残りなのか?」
「…それは…」
「………………」
「保育園から、もう何十年と経ってんじゃん!それでもお前は、そいつが忘れられないと」
「…………」
「まあ、別に良いんじゃねーの?今は人を好きになる事なくても、いつか必ず好きになる時あるだろうし」
「……本当に…ある…?」
「あるよ。絶対!急がなくてもゆっくり、ゆっくり、恋の相手(パートナー)見付ければ?」
「…瀏士…ありがとう……」
頭をポンポンとする瀏士。
ドキッ
「いいえ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます