初恋 ～ 変わらないままで ～

第5話 記憶

「魅香」

「何？丈田君」

「なあ、俺は呼び捨てなのに、お前は、いつまでクラスメイト気分なんだよ」

「えっ？あー、ごめん、ごめん。瀏士だね」

「なぁ、そんな事より、お前のクラスに転入生来たって言ってたじゃん？」

「うん」

「綺砂良 久竜って名前だよな」

「うん」

「この間、お前のクラスメイト遭遇した」

「そうなんだ」

「俺、最初、全然分からなくて、話していくうちに共通点あり過ぎて要約、俺とつるんでいた友達だと知って意気投合」

「そうなんだ。良かったね。二人とも似た者同士に近いから、すぐに仲良くなったでしょう？最初は、ともかくとして後半」

「まーな」

ある日の朝。

「魅ーー香ーー。遅刻するぞ！お前は、また遅刻寸前ギリギリを避ける為、近道でもする気か？だけど、今日は時間ヤバイぞ～」

ガチャ

ドアが開く。

ドスン

私の上に乗る。

ズシッと体重が掛かる。

「…お…も…」

「おーい。起きてるかーー？魅ーー香ーーちゃん」

バッと布団を剥ぎ取られた。

「お目覚めのキスした方が良いのかな？」

ドキッ

「きゃあっ！辞め……辞～～め～～て～～っ！」

「だったら起きろよ！マジ遅刻だぞ！」

時計を見る私。

「ヤバッ！瀏士はどうして制服に着替えてないの？」

「俺？学校休みだから。振り替え休日」

「ええっ！？」

「いやぁ～休みって良いよねぇ～」

そう言うと部屋を出ていく。

「ムカつく！」

私はバタバタで準備した。

ある日の事。

「ねえ、魅香ちゃん」と、綺沙良君。

「何？」

「魅香ちゃん同居人いるんだよね」

「同居人？あ、うん……あれ？話したっけ？」

「いや話してないけど、瀏士君から聞いた」

「あっ！そう言えば瀏士、話してた。サッカーをきっかけで仲良かったんだよね」

「そうそう」

私達は少しの間話をしていた。

ある日の学校帰り。

ガー

スケボーで滑って来る音。

目を向けると

「うわっ！瀏士っ！」

「うわっ！バカっ！どけっ！」

「えっ！？無理、無理、無理！」

「なっ…！」

ガッ ガリッ

方向転換すると、そのまま滑って行く。

「ちょ、ちょっとーーっ！謝りなしーー？」

「ねーよー。留守番宜しくーー！魅香ちゃーん。俺、友達(ダチ)の所行って来まーす♪」

「なっ…！」

瀏士はスケボーでスイスイと滑って行った。

「全く！そう言えば前にも同じような事…やっぱり…もしかして同一人物かな？」

私は疑問を抱きつつ帰って行くのだった。

その日の夜の食事中。

「ねえ、瀏士」

「ん？」

「瀏士、ずっとここに住んでたんだよね？」

「ずっとって訳じゃねーけど」

「じゃあさ、良くスケボーしてた？」

「してた。何処に行くにもスケボー移動。まあ、交通ルール違反してるかもしんねーけど。どうして？」

「いや…今日ぶつかりそうになったでしょう？」

「あー、昼間な」

「私、前にも同じ事あってさ、もしかして瀏士って同一人物なんじゃないかとか思って」

「なくはねぇかも」

「そうねー。瀏士はヤンチャだったから」

と、私の義理の母親。

「そうなんだ！前にも絶対同じ事あったよね」

「ないとなると嘘になると思う。あったって言った方が正しいかもな！俺達がはっきり覚えてないだけってやつ」

「だよね？」

私達は色々話をしていた。