第4話 転入生

そして、春4月。


高校2年生になり、1ヶ月を過ぎたある日の朝。


5月。




「ヤッベー、遅刻!転入初日の遅刻はヤバイってーー。あれ?同じ高校?女の子なのに大胆だなぁ~」




彼の前方を走る私の姿を見掛ける。




中学3年迄は地元の中学を通っていた為、私も庭とは変わらない。


そんな丈田君も、庭と変わらないと言っていたけど、私よりも裏道を知っていた。


丈田君は言った。



"スケボーで良くウロウロしていたから" と……


その時は気付かなかったけど、スケボーの男の子とは、ぶつかりそうな事があったのを思い出した。



同一人物?


そう思った瞬間だった。



そんな私は、前に通うはずだった高校に行く事になり、親友と同じ高校に通う。




そして ――――



「へぇー、近道かぁ~」




ビクッ

突然の声に驚く私。




「きゃあっ!」


「あっ!どうも~。君の行動偶々見掛けちゃって後つけちゃった♪お陰で遅刻しなくて済んだよ。それじゃ!」




そう言うと男の子は去った。



私は彼の背中を見つめ、私も後を追うように校舎に入って行った。




その日の H.R


「えー、今日からこのクラスの転入生を紹介する。綺砂良、入れ!」




入って来る転入生。




「…あっ!」



私は誰にもバレないように声を出す。


教壇に転入生として紹介されたのは今朝の男の子だった。



「綺砂良 久竜(きさら くりゅう)です!宜しくお願いします!」




トクン

胸の奥が小さく跳ねた。




≪無邪気な男の子……まるで……≫

≪まるで?あれ?私……誰の事……≫

≪だけど何処か懐かしい……≫




「じゃあ綺砂良の席は、尾田切の隣の席だ」

「はい」




席につく綺砂良君。




「今朝はどうも」

「転入生だったんだ」

「そう!でも同じクラスになるのも何かの縁なのかも♪」


「そうかも!」



「へぇー、転入生ねー」と、丈田君。


「そう。何か雰囲気って言うか性格が何処か丈田君にも似てる感じで」


「一緒にするなよ!俺は俺だし!」


「まーね。でも何か懐かしいって感じもしたんだよね~」


「運命の出逢いとか言うなよ!」


「運命の出逢い?……いや……私は…そういうのは…信じないから」


「信じないんだ」

「信じないかなぁ~」

「へぇー」





そして、ある日の休日。



「魅香ーー、来客」

「んー…」



ガチャ

部屋のドアが開く。


ドスン

私の上に乗る。



「…うっ…」

「なぁなぁ、来客だぞ~。寝坊助」

「お…も…い…」

「起きろーー」

「わ…分かった…お…きる…から…おり…て…」



スッ

私から降りる。




「もっと…マシな起こし方ないわけ?」

「ない!玄関、お前待ち」

「分かった…」



私は玄関に向かう。



「ごめーん、魅香、寝てたよね?」


「奈津樹。確かに寝てたけど大丈夫だよ。どうしたの?」


「うん…ちょっと…」

「外出する?」

「うん…出来れば」

「分かった。すぐに準備するね。あっ!あがって待ってて」

「うん…お邪魔します」


「お友達の方、こっちにどうぞ~。アイツが準備する迄、俺とトークしよ♪」


「えっ?あっ…はい…」

「何、何?恋の悩み相談?」

「えっ?」


「アイツ、恋少なき女子だから駄目、駄目。相談なら、この俺にしない。あっ!俺、瀏士って言うんだけど」


「あっ!はい、聞いてます。同居人の方でしょう?」


「あ、敬語は抜き。同級だし。ちなみに何ちゃん?」


「えっ?あっ、奈津樹」


「奈津樹ちゃん。じゃあ、奈津樹ちゃんは、アイツとはどれ位付き合ってるの?」


「えっ?」


「保育園からとか小学校からとか…あるっしょ?俺、アイツとは高校1年から一緒になったから。お互いの親の再婚で同居してるから全然分からなくて」


「小学校からかな?これから分かって来るよ」

「じゃあ、奈津樹ちゃんの知ってるアイツの性格教えて」


「性格?明るくてちょっとヌケてる感じかな?」

「あー、明るいのは分かる。他には?実は性格悪いとか?」


「それはないよ。魅香は性格良いって。優しくて他人(ひと)の幸せばかり焼いて捕まりそうな恋も良く逃してた」


「そうなんだ」

「うん。結構モテて告白されてたけど」

「モテてた?」

「うん」



「ごめーん、お待たせ~。じゃあ行こうか」

「うん。それじゃ」

「ばいばーい、奈津樹ちゃん。二人とも行ってらっしゃい」


「行ってきます!」

「お邪魔しました」



私達は出かけた。




「ごめん、魅香」


「えっ?大丈夫だよ。アイツ、話し相手になってくれてたみたいで」


「うん。なんか綺砂良君みたい」


「あー、やっぱり奈津樹も、そう思うよね?まあ、綺砂良君よりは、なんかチャラっぽいけどムードメーカーのような」


「あー、そうかも!」



私達は、ファーストフード店に入る。


食事をしながら、話をする。



「で?どうしたの?好きな人でも出来た?」

「あ…うん…気になる人が…」

「へぇー、そうなんだね」



私は話を聞いた。


どうやら綺砂良君が気になるみたいで……




「そうなんだね。ゆっくりでも付き合えたら良いね。告白はしないの?」


「うん…勇気がなくて…」


「そっかぁ~。だけど、片想いも良いけど……想い伝えて仲良くした方が良くない?」


「そうなんだよね……」


「だって相手に自分の想い知ってもらった方が楽な気がする。好きって気持ちを抑えたまま仲良くするのが逆に辛いような……」




私達は色々話をしていた。




その後、頑張って勇気出して告白をした奈津樹だったけど、返事は駄目だったみたいで…


だけど、前以上に仲良くなったみたいで時々、出かけたりしているみたい。






ある日の事。



~ 瀏士 side ~



「あれ?もしかして…保育園が一緒だった瀏士君?」


「えっ?保育園!?いやいや……それはまず幼さ過ぎじゃね?」

「確かに。ねぇ小学校の時、サッカーしてなかった?」

「サッカー?あー、してたけど」


「俺、久竜。綺砂良 久竜。隣町のサッカー大会とかで俺達対抗していたんだよ」


「サッカー大会…隣町…あー、あった気がする。小学校、ずっとサッカーしてたから」


「そうだよ。君、4歳の時に引っ越しちゃって、サッカーがきっかけで、俺達再会して、その後遊んでたりしていたんだけど……中学2年位迄かな?」


「そうなのか……」


「瀏士君、友達が多かったから余り記憶ないかもしれないけど……」


「なぁ、いくつか質問オッケー?」


「うん、良いよ。答えられる範囲なら答えるよ。ほぼ、話したけど」


「そうか?まあ中学迄つるんでたなら覚えていないはずないし事情あって久しぶりに再会して、今、こうして会ったとなれば何かの縁なのかもしんねーし」




その後、俺達二人の関係などが分かり意気投合した。





























































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