84話 vs 仏体Ⅹシリーズ typeB ベヒーモス(2)


 ワタシは!

 SMX(クルマ)の方へ!

『S』pace !

『M』uchi !

 ムチをグ――――――――――――――――

 伸ばす!



~~~~~~~~~~~


 黒のSMXの外には三体鬼ケルベロスが…


白鬼リュウト 「何か黒い水がこっちに流れてくる!」

青鬼ショウ 「蟻の大軍だ! バベルの塔の城門が開いて敵兵が出てきてるよ! あ…うお! 全員? 蟻に飲まれた?…蟻ヤバい!」

 

 リュウトは赤鬼セントを見て、

「あの蟻ヤバい! 車で逃げよう!! ユキノ様を置いて!!」


「それはダメぜったい☆」


「なら! 今すぐ車の中でオレとセントとショウで三体合体サンピーしよう! ケルベロスに戻ればファイアーブレスで蟻殺せるし! 逃げられる速さもあるし!」


 セントは、強く目を瞑り…

「くっ☆ 犬死にくらいなら…それしかないか☆ 二度とセント・ショウ・リュウトとしての人格に解体できないだろうけど☆」


 覚悟を決めて、

「ショウリュウト!☆ 急いで車に入れ!☆ 三体合体だ!!😃➡🤩➡🤣」

 

ショウ 「オレが真ん中!」

リュウト「オレが前!」


 その直後、


ショウ 「え?」


 青鬼ショウの体が、閻魔女王ユキノのムチでクルクルっと亀甲縛りされ、


ショウ 「なんでオレ??」


 ビュ――――――――――――――――――ン


 運ばれる!


 残されたリュウトは、

「ユキノ様が真ん中のショウを持って行った! 三体合体ができない!」


「きっとユキノ様に打開策があるのさ☆」


 すぐにセントは素早く車の後ろから、最後のポリタンクに入ったガソリンを

 車の周りに撒き、ライターの火を、紙袋につけてガソリンの上に置き、

 火を付ける。

 蟻は炎を越えてこない…

「ふう…☆ 間一髪…☆」


 リュウトは炎を見つめ、

「さすがセント… 熱いけどオレタチには熱耐性があるもんね」


 セントも炎を見つめ、

「この炎のガソリンが尽きて消えれば…☆ オレとリュウトは死ぬ☆」


 リュウトは覚悟を決めた顔でバベルの塔の方を見つめ、

「くっ…頼んだよ…ショウとユキノ様… 『うみねこの鳴く●ろに』の最終巻を読ませて…」


 セントはリュウトの肩をポンと叩き、


「ユキノ様ならなんとかしてくれる☆」


「ああ、そうだね… むちゃくちゃ強いから…」




   ~~~~~~~~


 ワタシは!

『S』pace 

『M』uchi 

 で、運んできたショウをムチでぶら下げて、


「おい! ショウ! おまえ!『視力5』だろ!? 白い感じの蟻を探せ!!」


《 こんな遥か向こうまで拡がった5ミリくらいの蟻の中から!? 》


「『嗅覚探知』もあるだろ!? それも使え!!」


《 なんの匂いで!? 》


「鳥のクソよ!! インコのクソは臭い!! この蟻の大海原からウンコの匂いを嗅ぎ探せ!!」


《 匂いの方が、白い蟻を掴めるかも!! オレの嗅覚は人間の1億倍だから! 》


「ナイスショウ!! 急いで! セントが死んでしまう!」


 クンクンとした? ショウは…


「あの中だ!」


 『バベルの塔』へ、首を動かし指した…


「いくしかないか…」


 ワタシは、

『S』pace 

『M』uchi 

 を縮め、ショウをすぐ下に、手足ロックの宙づり完全形亀甲縛りでぶら下げて、

「ショウ… ぜったいに胸を床につけるんじゃないよ… ワタシや中年奴隷もヤバイから…」


「うん… ユキノ様…目隠しのコレ(中年奴隷)の操縦まかせたよ…くるしい…」


 ワタシは空飛ぶ中年奴隷を操縦して…

 ゆっくりと、爆風で空いた穴から敵の本拠地『バベルの塔』に入ると…

 通路だった… 通路のサイズはデカい車は余裕… しかし…

 やばいね… 『無限増殖ベヒーモス』は…


 その大きな通路の天井にも蟻がビッシリだぁぁ…

 

 真下のショウが、

「行くの?」


「もちろん」


 ゆっくり中年奴隷を進ませる…


「ぼう♪ ぼう♪ (^ω^)」


 命がけのなのに… 中年奴隷はけつをフリフリしてムチを乞うてる…

 相変わらず、危機感のかけらも無しだわ…


 進むと…


 上下のフロアーへの分かれ道が…


「ショウどっち?」


「クンクン…ん?  え?  ん~? クンクン……このフロアでは無い…」


 ブチ


「あ? 変な間を空けやがるから近くと思ったわ! ふざけんな! 上下うえしたどっちだよ!? かなり重要だろ!?」


「建物内にトイレがあるから! なかなか簡単には嗅ぎ分けられないもん!」


「ち!」


 ムチをきつく締める!


「うぐぐうぅぅ」


「集中して! 鳥と人間のクソを嗅ぎ分けろや!! おまえマジぶっ殺すぞ!!」


「うっ… クンクン」


 ショウは顔を上げて、


「たぶん… 下」


「たぶん?」


 ショウは首を振りながら、真顔で、

「ううん…たぶんじゃない… ぜったいだよ」


「ち、おまえ本当に下なんだな?」


「うん!」


 下りる…

 そこは… 1F…

 高い高い天井…

 高い高い大きなマンションの様な建物が向こうまで連なっている。

 おそらく労働者居住区…

 もう全てが蟻の黒に包まれているけど…

 とりあえず、飛んで…

 居住棟の間を進んでいく…


「ショウ? どう? 匂いは?」


「近づいて来てる… 確実に…」


 やがて…

 ショウは最後の端にある居住棟を首を動かして指した…


「あの建物から匂いがきてる…」


 他の居住棟より…

 明らかに蟻が多く黒くうごめく居住棟…


 近づく…


 蟻の厚み… 5センチはある?


 直後、

「ストップ」


 4階の部屋の窓ぽい所で、ショウがそう言った。

 ショウを見下ろし、

「この部屋の中? おまえコレ間違えてたら本当に殺すからな?」


「うん…いる…窓の向こうから匂う…間違いないインコのフンの匂いだ…」


 部屋の窓っぽい所は厚み5センチほどの蟻がうごめている…


 この部屋の中を探すって…? どんな手を使おうが…

 絶対に蟻をもらうよね…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る