55話 修羅地獄のサタンの正体


 ウチワをあおぐワルキューレは、偽ユキノに歩みながら、


「ちょっ! クソユキノ! 遅すぎでしょ!」


「クソ女?」

 偽ユキノは周りを見渡して、


「ワタシの事?」


「ほかに誰がいんのよ!? てか、いつも呼んでるでしょ?」


 ワルキューレはパジェロを見て、

「2011年式? ポンコツ(SMX)から、マシな車に変えたじゃない? てか、セントくんは?」


「いる…」


 偽ユキノは窓をトントンすると、

 運転席から、赤タキシードのキラキラな顏のセントが出る。

「ワルキューレ大変だ!☆」


「セントくん! なんですか!?」


「ショウとリュウトが大ケガしてる!☆」


「なんですって!」


 その時、セントは偽ユキノにバレない様に、口パクを、


 「ユ」「キ」「ノ」「サ」「タ」「ン」


 偽ユキノに見えない様にバレない様に送る…


 ワルキューレは、小声で、

「キスしたい? うん…そうだよね…二人きりになったらまたキスしようね…」

 照れた顔で、口パクをセントに返す、


 「ワ」「タ」「シ」「モ」


 すぐに、偽ユキノが、

「おい、ワルキューレ…なにしとんねん?」


セント 「うっ☆ (ワルキューレのバカ!)」

ワルキューレ 「てへ、ヒミツ♪」


 偽ユキノは、

「おまえ臭すぎ、これ以上はこっちに来んなよ」


「なんですって! (いつもはもっとオブラートに言うのに… ショック…)」


 死臭を持つワルキューレを制止したユキノは、

 死臭避難のためにカラスの羽で、空を飛んでいるモリガンを指差し、


「あんた! この車に乗って、治療できる所まで案内してくれない!」


 頭部全身ダークアーマーのモリガンはパジェロの横に下り、目の前の偽ユキノを見て、

『あなたが… 閻魔女王ユキノ?』


「ええ」


 後部座席を開けて、

ショウ 「ううううぅぅぅ…」

リュウト 「くびぃぃぃ…」


『うわっ…酷いわね? 何があった?』


「サタンにやられたの…」


『誰に化けていた?』


「タヌキよ… 完全に騙されたわ…」


『いま、サタンがどこにいるか分かる?』


「ワタシに化けて…どこかにいるはず… 黒のSMXに乗っている」


彼氏クーフーリンの仇…サタンはワタシがぜったいに殺す…ん?』


 モリガンはセントを見て、

『わお♡』


「はじめましてモリガン☆」

 

 セント、もう一度、偽ユキノに怪しまれないように、口パクをモリガンに放つ。

 「ユ」「キ」「ノ」「サ」「タ」「ン」


 ダークアーマーの中の、モリガンの顔が赤くなり、

 小声で、

「エッチしよ? いいよぅぅ…でもワタシィィ…かなりアブノだよぅぅ…💜」

 頭部のダークアーマーを外し、

 目を逸らしながら照れた顔で、口パクを返す。


「ペ」「ニ」「パ」「ン」「イ」「ケ」「マ」「ス」「カ?」


 セントは困惑、

「え?☆ (なに?)」


 その一瞬!

 背後の偽ユキノの腕がモリガンの首に回る!!


「ラッキ――! ダークアーマー外してくれたぁぁ!」


『ぐっぐ…おまえ? まさか!? (コイツ…なんて怪力…)」


「まさかだぜモリガン♪ スキル『軟体』でも首を閉められたらどうしようもないだろうが? 首を取った今…いつでも殺せるぜ…クソブザマな死体にしてやらあ」


『ぐっ…くっ…ぅぅぅ…あっ』


 すぐに! ワルキューレ!

「サタンか!! (ちっ、今思えば怪しいとこあったわ!』」

 近づこうとしたが!


「止まれ!! ケルベロスが死ぬぞ!!」


 ピタッと止まり、

「え?」


 左手に持ったライターのようなモノを見せて

「このパジェロには爆弾しかけてる、確実に中の2人は死ぬぜ。 よって一心同体のセントも死ぬぜ~~」


「むむむっ! クサレ外道が!! セントくんは絶対に死なせないから!」


「おいセント!! 後ろにロープがある!! それでワルキューレを縛れ!!」


「断る!☆」


 その時、ワルキューレは、

「いいのよ…セントくん…自分で縛るからロープを投げて…」


「ワルキューレ…☆」


 ワルキューレはセントから投げられたロープを自分自身に縛り。


「サタン見て、これで自分では完全に外せない…」


「ククク確かに…見事な股縄だな? どこで覚えた? …セント…パジェロの後ろのフックにロープの輪っかをかけろ」


 セントは苦しい顔でワルキューレを見つめながらフックにかける

「ワルキューレごめん☆」


 ワルキューレは笑顔で、

「いいの、セントくん、ワタシ…セントくんのためなら死ねるから」



 偽ユキノは、首を絞められビックンビックンしているモリガンに、

「さあモリガン…オレの屋敷へ行くぞ…想像もできない程の最低なショーの始まりだぜ… モリガンおまえを無様な見せ物にしてやる。動画もしっかり撮ってやるぞ」


『このワタシを無様な見せ物だと? しかも動画に撮られる? …きさま…くそ…ぁぁぁああ!!』


「お前はラクに殺さない……最低のショーが終われば脳みそイジって真人間の心に改造してやる…フフ」


『ワタシの精神アブノが…それだけはぁぁ‥‥やめ…んっんっ…っぁぁあ💘』


「言葉攻め+首締めで、何回もイキやがって… どこまで狂ってやがる…」

 


 その時!!


 

 岩山沿いの公道の緩やかなカーブからSMXが見えた!!


 凄いスピード!!


 止まる気配無し!!



偽ユキノ 「なに!」

モリガン 「え?」



 ポ―――――――――――――――ン




 高く舞い上がる。


 偽ユキノとモリガン…


 落ちている車の爆破スイッチ…



 

 キキ――――――ッ



 停車してドアは開け、黒光りのムチを持って出てる…

 後部座席を開けて、中年奴隷の首輪のリードを引っ張りながら、

「さてと…偽物発見…死刑開始…」


 喜ぶセントがこっち見て、

「ユキノ様!☆」

 ワルキューレも、

「クソワタシ!!」


 ワタシが160キロで跳ねた黒い鎧のショートヘアーの女は…

 手がピクピクっと…

「おええぇぇぇ……サタン…ワタシを…盾に…し…た…」


 四つん這いの中年奴隷を引っ張りながら

 死にかけのモリガンを見て、

「コレが修羅地獄四天王の1体モリガン…」


セント 「そうだよ☆」


 上空を見て…


「で、アレが…サタン…」


 その風貌は… 黒い羽根を持つ、まさに赤色の典型的な悪魔の姿。

 サタン、コッチを見下ろし、


「閻魔女王ユキノ… タヌキの時は優しかったのになあ?」


「おまえ? どうやってサーチマニアを変えた?」


 口に何重も重なったマスクを付けたセントから、

 股縄縛りのロープを解かれているワルキューレは、


「サーチマニア改ざんのスキルよ!」


「そんなことができんの?」


「アイツだけ持っている厄介なスキルらしい!」


 

 上空のサタンの伸ばした手の先から…

 青い電流が流れる…

 こっちを見下ろしながら…


「正直、別に変身しなくても閻魔女王くらいならラクに殺せたんだぜ。 でも俺は慎重でさあ」


 銀色の槍が、サタンに掴んだ右手に現れた…


 ロープから解かれたワルキューレはサタンを見上げ、

「あの槍はゲイボルグ!!」


「ゲイボルグ?」


「オーディン様のグングニルの次に強力な槍…アイツ…おそらく………」


「おそらく何よ!」


 魔法剣 F(ファック)を抜き構え、

「強い…」


「んなもん…言わなくても分かるわ…いちいちためるな…アホか…」



 すぐに!! 

『S』pace !

『M』uchi !

S難度 ★★★

 伸ばしたムチをサタンに放つ!!


 避けられたけど羽にかすった!


 全自動のサーチマニアが発動する…

ワタシの脳に情報が…

《《《《

『S』earch

『M』ania

堕天使ベリアル サタンから委任された大魔王 修羅地獄四天王 

LV 740

HP 3600

攻撃 4200

防御 3000

速さ 2000

魔力 7000

スキル

『サーチマニア改ざん』『生物変身(超)』『幻影分身』『飛行(高速)』

『武具転送』『ネクロマンサー』

『サタンの加護 残数1 (3分間ステータス30パーセント上昇)』

【サーチマニア(強奪可能)】【マスターウエポン (チート)(強奪可能)』


ドロップアイテム

【ゲイボルグ(槍)】

ベリアルの個人情報

かつての天使長ルシファー(サタン)と共に堕とされた元大天使、サタンの腹心配下。

堕とされて変わった風貌はまさに赤色の典型的な悪魔のような姿。

モリガンに化けてクーフーリンを殺害しゲイボルグを奪い去る。

》》》》


 サタンいえ… 堕天使ベリアルは… こっちを向いて…


「閻魔女王… 見たな?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る