43話 アンドロメダ→アリアドネ45便
17時間後…
ピ――ポ―パ――ポ―――
ワタシ達のラブホの前に救急車が停まり…
窓から救急搬送される男2人が見えた。
「なにが起きた? まあラブホなんて色々あるしね」
その時、赤鬼セントが帰って来て、
「イブたち☆ 次の街アリアドネに飛んで行った☆」
「そう、じゃあ次の便でワタシ達もアリアドネに行こう」
「次の便は2時間後☆」
「ラジャ」
ワタシはショウとリュウトに買わせていた大きなキャリーケースを開け、
目隠しサルグツワの四つん這いの中年奴隷に、
「入れ」
「ぼい! (^ω^)」
プレーと思ったのか自ら進んで入って
締めて、カチャカチャガチャとロックした。
もう1つのキャリーバッグを開けた後に、
マスクを5枚重ねて付け、
「次は毒ガス体臭のアイツ(ワルキューレ)ね…さて、どうやってアイツをこの中に収納するか…」
悩むワタシにマスクをつけてないセントが、
「説得するしかないよ…☆ 俺がやってみる☆」
「お願い」
1時間半後…
アンドロメダ空港…
飛行場の男の係が、
「荷物は2つですね? それと… そのムチもお預かりできますかね?」
ワタシは笑顔で、
「あ…はい」
中年奴隷の入ったキャリーバッグの横の大きなポケットにムチをねじ込んだ。
ローラーコンベアで運ばれていく中年奴隷とワルキューレ…
ワタシの武器のムチも運ばれていく…
おまえら(中年奴隷とワルキューレ)! 11時間がんばれ!
時間になり、搭乗する。
ワタシは 1-A 最前の席で隣とその隣は買ってたから無人、
その後ろに
ぞろぞろと乗客が来る…
チラチラと欲張り席なワタシを見る。
まあ最前席は目立つしね…
ん? 三つ編みの少女が1人で? まあ地獄だから… 色々あるのかな…
ビジュアル系バンドみたいなの4人組も通る…
仲の良さそうな老夫婦も通る…
ごっついサモア人の男も通る…
こう見るといろんな人間が地獄に堕ちてるんだねぇ
やがて、
離陸が始まる。
《 この度はアンドロメダ→アリアドネ45便をご利用いただきありがとうございます。 到着のアリアドネ空港まで死熱の空を通りますが、安全ですのでご安心ください。 なおアリアドネ空港までの到着時間は11時間の予定でございます。 なにか御用があればお近くのキャビンアテンダントにお申しつけください ♬♬ 》
11時間かぁぁ
はあ~ 長いよね~~
背の高いスチュワーデスが、
「何かお飲み物は?」
「眠るためにお酒ある?」
「はい、ビールにチューハイにハイボールにワインですかね」
「ハイボール頂戴」
すぐに作って出してくれた。
「ありがとう」
「ありがとうございます… お客様どちらから?」
「え? 東京ですけど」
スチュワーデスはスマイルで、
「東京はいい所ですよね… では失礼します…ごゆっくり」
スチュワーデスは次に隣のスペースの会社役員風の男に飲み物を伺う。
眠るために早速、グイっと飲む。
「ふう…うまい…ん?」
どこからかいい匂い… 香水?芳香剤?
スチュワーデスは次に、後ろのケルベロスに、
赤鬼セント以外はビールを頼む。
さすがセントだわ… バカ
もう1口飲むと…
眠気が襲う…
ああ? ここはどこ? ? ?
きっったないトイレだ…
障害者用の大きなトイレ…
ワタシはトイレに座っている…
壁中にカビ…いえ…血?
ユメだね…これ?
立ち上がり、ドアを開けようとするけど、堅い…
いかにもホラーって感じね、ワタシの武器のムチは無い…
まあ絶対にユメだし、まいっか
ユメの中でもタバコ吹かしたくなったから、
死神のキセルを取り出し、フ~っと吹かす。
💀{ ビッチ! よろこべ!! お前死んだぞ~♬ …
コイツ… ユメの中でもしゃべるのかよ…
うるさいけど、もう一度フ~~~~吹かす。
💀{ これはぁぁ大物ぉぉ夜魔のアイツだぁぁ…通称 ナイトメアァァ ククク 最高に最悪の刺客だぜ……ククク ‥
ナイトメア? 悪夢?
その時!
勝手に手洗いの蛇口からバー――!!っと血が流れる!!
ちょいびびった~!!
え! え! 目が!
急に!! 両目が見えない!!
重たすぎる瞼を両手を使い力尽くで開く…
前にあった鏡を見ると… 目から血の涙があふれ出る…
痛くないのが… 逆に怖い… 重たい瞼を仕方なく下ろす…
う?
目が開け、見えたけど…
場面が変わっている…
曇りの空の下、海辺のとげとげしい岩場の上…
なぜかリウマチを持つ母が… 前を歩いている…
あ…そうか…母の従弟の『びんぼっちゃま』の畑に、ジャガイモを貰いに行くんだったわ
たしかこの岩場を越えないと『びんぼっちゃま』の畑まで行けないもんね…
母 「ユキノ! ワタシ! 岩を渡るの得意なの~」
「かあさん! 無理しないで!! 危ないから!!」
母 「大丈夫! ワタシに何かあったら認知症の父が大変でしょ? あなたが全ての面倒みないとダメになるのよ」
直後…
母はスルンと… 自然な感じで落ちた…
胸がドキンっとした…
10メートルくらい落ちた
母の顔が下の尖った岩に無音であたった
ぜったいに大丈夫大丈夫大丈夫
いえ… もしかしたら大丈夫かも…
でも普通はありえないよね… 生きてないよね…
母もワタシも… しばらく無音で動かなかった
ワタシから出た言葉が…
「だいじょうぶ?
と聞くと。
グッと少し動いた母の後ろ姿が…
両手で、眼球を戻すような素振りをした…
パニックで…また「呼ぶ?」 っと聞いたけど…
心の中では
生きてくれたらいい
でも母は凄く傷つくだろうな
心から
ユメであってほしい・~^¨
ユメだ」!”;`
覚めろ!!!
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