33話 助っ人 戦女神 ワルキューレ


 こうなったら魔神ミノタウロスをるしかない!


 いっちょやりますか!!


 とはいえ! 赤色を見れば『赤色猛牛戦士化トランス』するミノタウロス!


 ワタシはスッと振り返り、赤鬼セントに! 


 お?


 さすがセント、青鬼ショウと白鬼リュウトと違うね?


 すでに赤のタキシードを脱いで白のワイシャツ姿、たぶん後ろに、赤のタキシードを隠している。


 再びミノタウロスに目をやると、


「うぐう…もぅ…ぐええええ…オエ」


 ミノタウロスは片膝をガクッと地につける… もがき苦しんでいる…?


 え? どした急に? まさか!? RPG的な進化するとか!? 

 それともすでに… セントの赤タキシードを見た!?


 ミノタウロスは、被っていた近鉄バファローズの帽子をガチっと掴み、

 口と鼻の辺りに持ってきた。


 ん? 


 うっ…ぉぉおえ!! くさぇぇ!!


 左の角から…

 天使の翼…

 金髪ベリーショートの髪、黒の胸当ての小柄な女ワルキューレが出てきた。

 ワルキューレは、ミノタウロスにワキガ臭を運ぶように右手に持ったウチワを仰いでいる。


 仰向けに倒れたミノタウロスの体は〆られた魚の様にビクンビクンしてるし…


 おまえ‥‥ どんだけ臭いんだよ…


 ワルキューレはウチワを仰ぎながら近づき、左手に持ってた紙切れを出してきた。


「クソ女、これ、ラビンリンスの地図だからね」


 ワタシは鼻をつまみながら、

「うっ…おぇぷ…うん…あり…がとう」


 ラビリンス内でこの匂い…泣ける…


 ワタシの椅子の空飛ぶ四つん這いの中年奴隷は、

「ぼっ! ぼっ!・・・ぼ!? ('ω')」

 匂いに興味を持っていた。


 ワタシが地図を手に取ると、恥ずかしそうに顏をそっぽ向かせ、

「ふん、仕事なんだからね! ワタシは上位天界戦士よ! 一緒に人間となんか戦いたくないんだから!」



 なにこいつ… 変なおんな…



 ワルキューレはうつむき気味にチラチラっと、キラキラオーラのイケメンのセントを見る…


セント 「ん?☆」


 目が合った?


 ワキガ女ワルキューレは、


「ハッ」と口を開いた後、顏を向こうにして腕を組みながらウチワをパタパタ


「でっでも… 今回は特別なんだからね! ワタシもクソ女達に協力してあげる!」



 ツンデレかよ…




 だけど、せっかくのツンデレラブの相手セントがBLボーイスラブと知らないし、

 傷害レベルのワキガ持ちだし…

 なんか可哀そうな女…


 ワタシはオーディンの事が気になったから、

「オジサンは?」


 ワルキューレはグイっと少し背の高いワタシを見上げ、真顔で、


「お亡くなりになった」


「え? まじで?」


「ええ…まさかの事態だけど。 切り替えなければな… まだワタシがいるから」


 ワルキューレはウチワをパタパタしながら、

「終着駅の戦場、ワタシが決死の覚悟で唯一、持ち帰れたオーディン様の遺品がコレだ…」


 もぞもぞっとズボンのポケットから体育用ブルマを取り出した。


 ブルマには Ⅱ-Ⅲ 水本 と書かれていた。


 ワルキューレは手首にカラフルなミサンガのついた左手で、水本のブルマをギュっと握りしめ…


「ワタシが『イブ』を倒す…」


 と強がった後、セントを横目でそーっと見て…

 顔を赤らめた後、また顔を背けた。


 なんか今、


「えへ」


 て聞こえた? 


 こいつ無茶苦茶臭いんですけど「ワタシがイブを倒す」って? てことは、相当な実力を持ってそうね…

 気になったから、鼻をつまみながらムチを当ててサーチマニアしてみる…


「なによクソ女? ワタシのファンだった? これだから有名人は大変だわ」


 ワタシの脳にワルキューレの情報が…

《《《《

『S』earch

『M』ania

戦女神いくさめがみワルキューレ

LV 500

HP 1500

攻撃 1800

防御 500

速さ 1700

魔力 8000

スキル

『死臭 (無差別)(チート)』『魔法剣F(ファック) (チート)』『自然治癒(小)』

『飛行』『集団生活✖』『人気者』『ミサンガへの願い(死亡時発動)』


ドロップアイテム

【ちいさなクマのぬいぐるみ(話し相手)】【ピンクのローター】

【King & Prince高橋●斗のウチワ】【水本のブルマ(オーディンの遺品)】


ワルキューレの個人情報

天界最強オーディンと共に

イブ討伐のために天界から選よりすぐりの凄腕2体の1体

初代ヴァルキューレから神の名門である戦女神の血統だけあり実戦向けのスキルをいくつか持つが、特に『魔法剣F(ファック)』は、生まれつき『死臭チート』を持つ彼女が、永久的にバージンで終わる可能性が高い体質ゆえ、いろんなHを妄想しているうちに生まれた、魔力の天才ワルキューレが生み出した奇跡の神業かみわざである

子供の頃からくさい体質的に友達が無く、強がって孤独に生きてきたのでツンデレである

》》》》


 なんか… 見て申し訳ないわ…


「そんな事より早く行け!」


 ウチワパタパタのワルキューレは、未だにビクンビクンしているミノタウロスを見ながら、

「ミノタウロスはタフ! 先に行け! ワタシのオーラで食い止めておく!」


 オーラ?? 悪臭の事? こだわりがあるんでしょうね…


「分かったわ! ここはアンタに任せた!」


 行き止まりに居る、三体鬼ケルベロスを呼ぼうとした…


 その時…


 倒れたミノタウロス、口から泡を吹きながら、

「べええへへえ… 勝ったと思った?」


 ワルキューレは強がった顏で、

「フフ、たまにいるんだよね… あんたみたいな負けず嫌いがさ… キライじゃないけどね…フ」


「ワルキューレ~ お前は食えないなぁ…… 体がくっっっせええからな!!」


 ミノタウロスは両手に掴んでいた近鉄バファローズの帽子を目の前にして!


「近鉄の赤~~~!!」


 叫ぶ!



 しまった近鉄の帽子は赤! …だったのか? 


 ミノタウロスの体は毛がパサパサパサ~~と抜け始める!


 ワルキューレは、ミノタウロスを強がった顏で見て、


「クソ女! まずい! 猛牛戦士化する! ミノタウロスに『死闘』が発動する!! ここは共闘するぞ! 足を引っ張るなよ!!」


「死闘って何? ケルベロスにもあった」


「発動すれば一切の痛み疲労を感じなくなる! 死ぬまで戦える! だからワタシのオーラも効かなくなる! 超タフネスのミノタウロスと死闘の相性は抜群!」


「しかしこんな狭い所で、戦うのは手が焼けるよ! ケルベロスなんかたぶん瞬殺!」


 ワルキューレはキラキラオーラのセントをチラ見した後、


「あの人☆が危ない…? なら!!!」


 ワルキューレは腰の魔法剣?を抜き!


 剣を!


 ブーーーン!

 ブーーーン!


 振り回し!


『F』antasy !!!

『U』nder  !!!

『C』ountry !!!

『K』iss   !!!

※ 幻想の世界で下にキスして ※

F難度 ΦΦΦΦΦ ΦΦΦΦΦ ΦΦΦΦ


 ワタシ達の周りが魔法陣なのか??

 地面がピカっと白いマ●コの柄に光り!


 座っている四つん這いの中年奴隷と共に!

 ヒュンっと身体が飛ばされる感覚!



 すぐに、またヒュンっと感覚が、足を組み座ったまま周りを見渡す!




「ここは??」




 人ばっかだし、見たことあるし…




 渋谷スクランブル交差点!? の中心!?


 ブーーーブーーー!!


 うるせえ車のクラクションが放たれる!



「映画? 撮影? 女優誰?」

「じゃまや! どけや!! 荷物急いでんだよ!!」

「あの目隠しの四つん這いヤバくね!」

「…ん? 臭え!!!」

「人が倒れた! 毒ガスか!?」


 え?


 …てか?なんで?ココ?


 なんか目の前で、うんこすわりで、両手で腹を抱えて苦しそうなワルキューレが、


「うぐぐううう…F(ファック)パワーを使いすぎた…身体が燃えるように熱い…」


 ワタシはくっさいから鼻をつまみながら、


「どういう事よ? 説明しろ? 現生の場所だよココ?」


「幻想の場所にくるはずが…Fパワーを使いすぎて現生の世界に転移したみたいね…どっちみち10分くらい経てば元のラビリンスに戻る…うぐぐ」


 ワルキューレは肩の後ろの翼をバッサバッサして飛んだ。


 悪臭をまき散らしながら…


 周りには匂いでパタパタと倒れる人も…


 え? おいおい… コイツまさか敵前逃亡?


「おい! どこに行くんだよ!! 共闘するんだろ!!!」


「あとは頼んだ…ミ ノタウロスはどこかに潜んでいるはず… ワタシはF(ファック)パワーを使いすぎて戦えない…」


 ワルキューレは渋谷駅前ビジョンの上に座った。

 両ひざに両手を置いて…


 すぐさまワタシの左の方向を指差し!


「クソ女!! 左から来るよ!!」


 左?


 ヒトが舞い上がってる?


 ポ~~ンポ~~ンポ~~ンっと、


 来るか…


 きた!! 突進して!!!


 ワタシは中年奴隷を玉蹴り!!


「上!」


 ガチン!!


「ぼ!!(≧▽≦)」



 ヒューーン! 浮く、避けた!


 ミノタウロス! 止まっていた大型トラックの正面に衝突!!


 ドゴッ!!


 ぐうううううううう!!!


 トラック20メートルくらい後ろへ持って行かれる!

 後ろに停車してた車! おもちゃみたいに左右後ろに運ばれる!


 近鉄の帽子を被ったミノタウロスはゆっくりとコッチを見上げる…

 右手にはハルバード、

 左手にはサラリーマン風の男の足を掴んでいる、もう死んでるかもね。


「ここは最高だぜ…」

 足を口に持ってきて、スイカを食べる様に足を食べた。

「食料だらけ…」


 近くで命知らずの若い集団がスマホ片手で、


「ユーチューブ!! ユーチューブ!!」

「もっかいおねしゃす」

「まじまじちょうやばいんですけど」


 ミノタウロスは不敵な笑みを浮かべ、


「若い方が美味いからな」


 ハルバードを野球の打者の様に構えた…

 若い集団はさすがに危機感を感じザザ=っと下がる…


 ハルバードを、


 ブウーーーーーーーーーーーーーーーン


 スイングすると、


 ダルマ落とし? 真空刃? 道路標識ごと横に切れる…


 今の一撃で何人死んだ? やりたい放題ね…



「外って気持ちいい…ん? 子供?」

 ヨダレと卑猥な笑みを浮かべ…

「子供… どんな味…」


 ザクザクっとハルバードを持ちながら、子供を乗せたバスへ歩む…




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