31話 地獄のラビリンス
ワタシ達は迷路の様なラビリンスをひたすら進んでいた。
また分かれ道?
左中右の別れ道…
ワタシは乗り物のフワフワと浮く四つん這いの中年奴隷の左肩を触り、
一番左の道を行く。
足音を出さないために、後ろをついてくる
この近くのどこかにはミノタウロスがいる…
なるべく無駄な戦闘をしたくないっと思ったから…
シ――――ン
迷宮は静寂…
おそらくミノタウロスも気配を消してワタシ達を探しているはず…
いえ… どっかで待ち構えているかもね…
次の右への曲がり角のほんの手前…
ワタシは中年奴隷を停止させフッと顔を出す…
うお!? あれですか!?
10メートルほど離れた所に!
頭に帽子? か何かをヒョコっと乗せてるけどツノあるし!
明らかにミノタウロスの後ろ姿! 毛深い! 牛だからか!
両手で持ってるのか? 背中のむこうの右上にハルバートの刃が見える!
キョロキョロと左右見てる……
なんか動きが、コッチ向きそうだったから!
スっと首を引き…
後ろの赤鬼セントに、、口パクで「居た」を繰り返す…
セントは「逃げろ」と口パクすると、
回れ右したケルベロス達は、下ろした両手の平を水平にしながら小走り…
ワタシも中年奴隷の
元の左中右の分かれ道に戻る。
ケルベロスそのまま真っすぐ右の道へ…
まだ両手の平、水平歩きのままだった…
先頭のショウが左の曲がり角で何かを発見したように。コッチを振り返り、人差し指を左にピストンしながら、ひきつった顔、口パクで「メドゥーサ」を繰り返す!
ワタシは口パクで「マジ?」「マジ?」と2回確認!
ショウは顔を上下に振りながら「マジマジ」と口パク!
ワタシは中年奴隷の頭を触り、バック…
という事は正解は真ん中の道ね?
しっかしメドゥーサもこんなに早く来るかね?
たぶん安全経路が出来て相当、飢えてるんだろうね…
中の道を進む。
今ならS級の魔物2体を巻けるから!
スピードアップ!
え?
行き止まり~!?
中年奴隷を停止させて、ケルベロスと身を寄せ合い超小声でミーテイング。
「ケルベロス… ミノタウロスとメドゥーサどっちか倒さないと先に行けないわ…」
赤鬼セント「両サイドの道で…☆ 今は待ち構えている状況だもんね…☆」
青鬼ショウ「どっちも強敵だよ…メドゥーサの顏を見たら即死だからミノタウロスの方が…」
白鬼リュウト「ショウ… ハルバード無双のミノタウロスのがヤバいって…」
青鬼ショウ「でもメドゥーサは弓使いだし、頭は蛇うじゃうじゃドレッドだし…」
ワタシは何か聞こえたから…
「シッ」
すぐさま中年奴隷から降りて、右の壁に耳を当てる…
女の声… メドゥーサ?
「ミノさん…居た…? 何人いんの…? え?入り口で声が聞こえたんでしょ…? まじ4くらいもいんの…? うん‥うん‥はいは~い…見つけたらトランシーバーで報告してね…」
魔物2体がトランシーバーで連絡取り合ってる!?
きっと過去に殺した誰かのをゲットしたのね!?
ワタシは考える…
先に殺すのはメドゥーサか…?
顔を見たら即死ならミノタウロスも援護に来にくいはず…
ミノタウロスとの戦闘中にメドゥーサ来る方が難易度高い。
ワタシは物知りセントに、
「メドゥーサの顏は、鏡に映ったのでも見たら死ぬの?」
「死なないよ…☆ あくまで顔面直視のみ…☆」
ワタシはリュウトの手に持ったビニール袋を指差し、
「リュウト、その中に『うみねこの鳴くこ●に』のDVDがあったわよね?」
「ういっす… アニメ全巻あるよ… 話の途中で終わるみたいだけど…」
リュウトはガサガサとDVDの入ったパッケージを一つ取り出し、悲しい顔で…
「プレーヤー無いと見えないし…」
見つめていた。
ワタシはパッと手に取り、開けてディスクを取り出し裏面を確認。
「これは鏡の代わりにはなるわ…」
ショウとリュウトを見て笑って、
「アンタらの宝物…少し借りるね…」
ショウ「うん… 絶対に壊さないでね…」
リュウト「ういっす…」
ワタシは中年奴隷の背中に座り、足を組んで、
「ケルベロスはココで待機、顔面見たら即死のメドゥーサじゃ、こっちは数が少ない方がいいでしょ…? 中年奴隷は永遠の目隠しで見えないから… 一緒に戦う…」
「了解…☆」
「気を付けて…」
「ういっす…」
「じゃあね…」
ワタシは中年奴隷に乗り、元の分かれ道へとフワフワと移動する。
メドゥーサを殺すために…
途中、『うみねこの鳴くこ●に』のDVDの表面を見つめて、
「コレ… そんなに面白いのか…?」
後ろを振り返り、ショウとリュウトを見た後
DVDをクルクルと回しながら、
「こんど一緒に見てやるか……あ?」
一瞬、見えた、蛇の塊が。
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