27話 vs 切り裂きジャック


   -- 先頭車両 --


 剣道面ババアは! セントとショウに見せつけるように!

 白鬼リュウトの後ろに立ち、髪の毛を掴み、喉ぼとけに真剣の刃を当てる!


「セント! 閻魔女王はどこじゃ!? タダとは言わん! 吐けばワタシがヤラせてやろう! 好きな穴を使ってくれ!セント!」


 メロンレディは、四つん這いの中年奴隷の首輪のリードをグイと引っ張り、大粒の巨大ロウソクを全体に垂らし続ける。 中年奴隷の顔と体は、劇場版ナウ●カのキョシンヘイの様に、

「ぼっ…うっ…ぼぉぅぅごぽっ(≧▽≦)」


「EDBLケルベロス! M便器をロウで窒息させるぞ! はよスマホ返せ!( ゜Д゜)」


 セントは両手を前後に動かし、

「ちょっと待って☆ ユキノ様は最後尾のトイレに行ったっきり帰ってない☆」

 ショウの方を向き、

「なあ?☆ ショウ?☆」


 片手にビニール袋を持つショウは、

「うん! 帰ってきてないよババア!」


 ババアは、ショウの手に持つビニール袋に、頭部の剣道面を向け、

「なんだいその袋は? その形? 怪しいね…チャカか? 袋を逆さにして、さっさと出せ! リュウトを殺すぞ!?」


 ババアのリュウトの喉ぼとけへの、刃の押し付けが強くなる。


「わかったよ…」

 ショウは袋を逆さにした…

『うみねこの鳴くこ●に』の漫画がバサバサと散り落ちた。


「それ? まさか? 血の池地獄のラーメン屋「満衆」の漫画?」


「そうだよ」


「周さんの作るラーメンは、ワタシも民宿ひまわりの仕事が終わったら、よく一人で食べに行ってたよ…知ってるか? 周さんって、スブタを頼むと機嫌が悪くなるんだよね~………メロンレディ!漫画を燃やせ!」


「ページの根本まで燃やす! ('Д')」


「やめてくれ!」

 ショウが漫画に覆いかぶさり、ババアを見上げ、

「本当にユキノ様がどこに行ったか知らないんだ…」


 捕らえられているリュウトも、

「『うみねこの鳴くこ●に』を燃やさないで!!」


 中年奴隷にまたがっていたメロンレディは落ちた漫画を見て、

「ん? (゜-゜) …いいこと思いついた、ババア手を放せ (*'▽')」


「なんだい?」


 ババアはリュウトを開放…


 メロンレディは中年奴隷の首輪のリードを掴んだままイスに座り、巨大ロウソクの火を『うみねこの鳴くこ●に』の真上に、

三体鬼ケルベロス~ ユキノ先輩が、ワラワのスマホを返さないと~ 中年奴隷と漫画を焼却処分にするよ~ (*´▽`*)」


 ババアは。剣道面をメロンレディに向け、

「ケケケ! メロン! そりゃ名案じゃ!」


 ババアはメロンレディの横にドスンと偉そうに座り、タバコに火をつけ、頭部の面に持ってきて、す~~~、

「ぷは~~~ はやく閻魔女王を連れて来い!! チ●カス犬どもが!!」


セント 「くっ☆ 人質☆ 卑怯な☆」


「ぼっ (^ω^)」


ショウ 「アレ(中年奴隷)はどうでもいいけど」

リュウト 「アレ(漫画)は燃やされたくない」


 メロンレディは後方車両の方をビッ! と指差し!

「おらダッシュ! ( ゜Д゜)」


 ケルベロスは小走りでユキノ捜索に向かう!

 走りながら、

ショウ 「セント? ユキノ様はこの車両に来ていないよね?」

セント 「うん☆」

リュウト 「ユキノ様はどこかに隠れたのかな?」


 ガチャ


 最初のドアを開ける。

 アンデッドの多い車両、入った途端にリュウト、

 「ユキノ様! 居ますか~!?」


 しかし、反応は無し。


 ショウが骸骨に聞き込みする。

「身長170センチくらいの黒のロングへアーの人間の女見なかった?」


「見てません」


「あっそう」


 セントが、列車の出入口の前に立つ、切り裂きジャックの前を通る時…

「ん?☆」


 顔を近づけ

「青白い顔?☆ どこかで見た顔☆ 有名人?☆」


 切り裂きジャックは目を逸らすように…

「いえ、ワタシただのサラリーマンですから」


「黒のロングへアーの人間の女を見なかった?☆ ユキノ様って言うの☆」


「知りません」


「ごめんね☆」


 ケルベロスは後方の車両へ…

 切り裂きジャックは大きいロングコートの裾を少し開け、卑猥な目でユキノを見つめボソッと独り言の様に…

「ユキノか…」


 ガタンガタガターーー

 列車が止まる。


< 悪魔が丘~ 悪魔が丘~ >


 プシューー


 切り裂きジャックの真後ろのドアが開き、後ろ歩きでゆっくりと列車を出た。


 ドアは閉まる。


 ガタガタガターーーー

 走り始める


 アンデッドの車両に戻ってきたケルベロス。

ショウ 「おかしいな…後ろの車両に行ったらカツ丼の匂いが弱まった…」

セント 「さっき悪魔が丘で停車したけど☆ 今、カツ丼の匂いは?☆」

ショウ 「くんくん… さっきよりずいぶん弱まった」


 セントは切り裂きジャックが居るか視察…

 居なくなっているのを確認。

「アイツか☆」

 近くの萌えキャラ紙袋を持っている骸骨に、

「この車両で何があったか知ってるよね?☆」


「切り裂きジャックが…黒髪の女の腹をボコってコートの中に忍ばせていたんだ」

 骸骨は紙袋の中から切れたムチ先を出した。


 セントはグイっと骸骨の鎖骨を持ち上げ、ムチを手に取り、

「なんでさっき言わないの?☆」


 骸骨は怯え笑いで、

「だって切り裂きジャックだよ…有名な猟奇犯じゃん…怖いし…」


 呆れた顔で、

「もういい☆ 骸骨☆ ペンか鉛筆ある」


「うんあるよ」


 セントは『ケルベロスのセント☆』の名刺の裏にカキカキしだす。


 名刺の裏には、


   ババアにメロン 

   ユキノ様は切り裂きジャックにさらわれて

   悪魔が丘で降りた

   かならず連れていく スマホもね  

   終着駅で待ってて

   セントより               


「これ列車の先頭にいる剣道面のババアに渡しといて☆」


 骸骨は名刺を手に取り、

「なんで俺が?」


 セントは赤のタキシードの内ポケットから1万札を取り出し、

「持って行ってくれたらもう5万出すよ」

 内ポケットの札束を見せた。


 骸骨は1万札を取り、紙袋に入れて、

「わかった…骸骨アイドルグループ『DKR《ドクロ》48』の握手会に行くために、CDいっぱい買わなきゃいけないから…行ってくるよ…」


 しぶしぶと前の車両に行った。

 紙袋の萌えキャラは笑っていた。


 セントは電車の窓を開け、

「ショウリュウト☆ 今がチャンス☆ 飛び降りる☆」


 ヒュン! 飛んだ!


 ショウとリュウトもお互いの顔を見て、覚悟を決めて、

 ヒュン! …ヒュン!

 飛びおりた。

 深い茂みを、

 ゴロンゴロンゴロン。


 目が回ったように立ち上がったリュウトが茂みを見渡し、

「みんな無事!?」


 ヒョコっとセントとショウの顔が茂みから出た。

「おっけ☆」

「大丈夫!」


 セントは遠くに見える道路を見て、

「とりあえず道路まで行って悪魔が丘の駅に行こう!☆ そこからはショウの鼻でカツ丼の匂いを辿って☆ ユキノ様を助け出す☆ 急ごう!☆」


ショウ.リュウト 「了解!」


 ケルベロスは、茂みを掻き分けながら道路へ向かう。


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