13話 メロン気球隊


 後方の餓鬼どもは見え無くなった。

 前方の地雷原を80キロで走る無人ハーレーと、卑弥呼メロンレディの決死探知機のおかげで移動がラクチン♪


 1時間後…


 案内板が見えた。


『地雷ゾーン300キロここまで』


 すると、卑弥呼! 


 クイっと曲がり! 急ブレーキで! ベスパを止め! チャッカマンで巨大ロウソクに火をつける。


 ッカチャ、ボボウ~~~

 ワタシ達の軽トラは追い越してしまった! すぐさまワタシは!


『S』pace !

『M』uchi !

S難度★★★


 運転席の屋根から長距離まで伸ばしたムチでメロンレディを捕えようとしたけど、卑弥呼は巨大ロウソクを!


 ブーーーン  と振り回し!


『S』hield  !!

『E』ndless  !!

『X』Ⅼ    !!

(特大無尽蔵な盾)


S難度★★★★★ ★★


 ロウソクの火がメロン柄の大きな盾になり、ワタシのムチの攻撃を妨害!

 距離は遠くなっていく…


「ちっ… 捕まえて説教してやろうと思ったのに…」


「ではユキノ先輩ので後ほど (^_-)」



 あ?


 ムチを離したハーレーは岩に…

 ガチャン!!

 ぶち当たった。

 こちらから、メロンレディは見えなくなった…



     ~~~~~~~~~~~~^


 メロンレディはベスパから降りて、巨大ロウソクを突き出し…

『S』eitaikou…

『E』ntrance…

『Ⅹ』anadu…

(西太后コッチこい)

S難度★★★★★ ★


 🍈ぽぱ~~~ん🍈


 ロウソクの炎の下にうつ伏せで倒れる、ボロ雑巾なババアが現れた。

 凹んだマネキン顔でメロンレディを見上げ…

「ぐっ……んっ…ぶふぁあ!!」

 マネキンの口から血が吹き出た!


「生きていたんだぁ、良かった (´▽`)」


 ババアは蛇矛を使いながら、フラフラと立ち上がり、

「閻魔女王め…油断したわ…うぐぐっ」


 エプロンの腹ポケットからヒモを取り出して、左腕を、右手と左脇を使いヒモで強く締め、さらに、ポケットから小さなケースを取り出して、先からピュっと液体が出た注射針を取り出し、左手にキューっと射つ、


「くっー、これ超キマルわ~~」


 ババアは回復トランスしたようだ。


 ババアはサッとベスパの後ろに座り、背中の筒からショットガンを取り出し、


「メロン! 奴らを追うぞ!! ワタシは後ろに乗り、お前のメロンの匂いに近づいて来る餓鬼をショットガンで殺す! お前はとにかく飛ばせ!」


「ショットガンの弾は? (;'∀')」


 ババアは腰のポシェットをバンバン叩き、

「まだまだあるわい!! はよせい!!」


 メロンレディはベスパにまたがり、スマホを取り出しピポパ…

「発信機では、ユキノ先輩はすでに前方3キロね、追いつけるかな? (._.)」


「奴らは燃料を入れるから! いずれは追いつける! お前の主力のメロン気球隊はいつ来るんじゃ!?」


 メロンレディはスマホを見ながら、

「まだ時間がかかるみたい (-_-;)」


「ちっ」


 メロンレディは、


 ブーーーー


 ベスパを走らせた。




 13時間後…


 ウィーーーーーー


 高速で走る軽トラ。

 案内板が見えた。


『餓鬼地獄出口まで後100キロ』


 うんうん順調ね♪ 後1時間もあれば餓鬼地獄は越えられるわね♪

 ワタシは荷台でポリタンクを椅子にして、梅酒を紙コップに注ぎ、飲む。


「ぷは~」


 セントの運転もだいぶ上手くなったわね。

 その時、赤鬼セントが、

「ユキノ様!✰ エンプティ出ました!✰」


「はーい」

 ワタシは、

『S』pace !

『M』uchi !

 で、ムチを伸ばしてキュキュっと給油管を開けた後、イスにしていた最後のポリタンクを、ムチでグイっと巻き持ち、給油する。


 本当に『S』pace 『M』uchi は高い利便性ね、走りながら給油も可能。

 入れ切り、ポリタンクをポイっと捨てる。

 あ?

 餓鬼が近づいてきてる。

 ドン! ドン! 

 青鬼ショウと白鬼リュウトがショットガンで蹴散らしてくれる。


ショウ 「腕を上げたなリュウト?」

リュウト 「ショウもね♪」

 弾を装弾する2人は見つめ合い、やがてチュッとキスをした…

 ワタシはグイっと梅酒を飲み干し…


 まあ…性の形って、それぞれだもんね…


 ふと、

 ずっと片隅で静かな四つん這いの中年奴隷が気になった…アイツこの10時間以上、静かね… ワタシはゆっくりと中年奴隷のサルグツワに耳を近づけると、


「zzz…( ˘ω˘ )」


 眠ってる? 四つん這いのまま?

 これだけの変態…もうなにも驚かないわ…

 ワタシはキセルを吹かしたくなったから、荷台から助手席に移動する。

「ユキノ様✰ どうしました?✰」


「キセルを吹かしに来たのよ、荷台では風が当たって妙に吹かしにくいから」


 軽トラの密室のキャビンで、ふ~~っと死神のキセルを吹かす、


💀{ クク、やっと狭い密室で吹かしてくれたな!?


 死神の煙はいつもより形がはっきりしているし、消えない。


 密室だから? ワタシはもう一口、ふ~っと吹かすと、なお一層、ドクロの形が鮮明になり目の玉まで見える。


「あんたいったい何者なのよ?」


💀{ ククク、ほらほら~もっと吹かせ~そうしたら、オレの正体が分かるぞ!!


 ワタシはさらにふ~~~っと吹かすと、

「肌が出来た? おもしろ~」


💀{もっと!もっと! ブ女のちょっといいとこ見てみたい! イッキ! イッキ! イッキー! 


 調子に乗ってるのにムカついたので、キュルキュルとレバーを回して窓を開けた。


💀{ な? ぎゃあ…あ ぁ  


 消えた。


 窓を閉めてまたフーーっと吹かす。


💀{ なにしやぎゃる! マンカスが! アフリカゾウと乱交でもしてろ!! まだ餓鬼地獄は終わってねえ!! マンティコアは必ず来る! ククク! メロン気球隊もな!! }


「メロン気球隊??」


💀{ おっと、口を滑らせたぜ! 例え餓鬼地獄を生き延びてもお前はオレにっ…


 窓を開け煙を消した。


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