第45話マサネ

●マサネ


 マサネが連れ去られて、私は茫然としていました。


「マサネ……」


 やはり、彼は私の側にいるべきではなかったのです。


「なにやってるんだよ」


 リヒトが、私をどなります。


 私は、はっとしました。


「助けに行かないとだろ」


「そうですね」


 私は、マサネに手を伸ばします。


 マサネも、私に手を伸ばそうとしました。


 ですが、私たちの手は触れ合うことはありませんでした。マサネはユリアナに連れ去られ、私はその場で茫然としていました。


「どこにいったのでしょうか」


 フィーネは、そう尋ねます。


「一時的にでもマサネを監禁してもバレないような場所です。しらみつぶしに探すしかないです」


 そうなると、バラバラになって探す必要がでてきます。


 戦力が分散することになって、それは私たちにとっては歓迎すべきことではありません。ですが、そうしなければマサネは救えないかもしれません。


「バラバラになって探そう」


 リヒトはそう言いました。


 フィーネもゼタも頷きます。


「では……マサネを探しましょう」


 私は、頷きます。


 私たちは、バラバラになってマサネを探しました。私は、リヒトと共にマサネを探します。リヒトも懸命にマサネを探してくれました。


 そんななかでユリアナが私たちに襲い掛かってきます。


 きっと、フィーネとゼタたちにはイチナナとフゼンが向かっていることでしょう。


 ユリアナは、マサネを抱きかかえたままでリヒトの足元を拳で破壊します。リヒトはそれでバランスを崩しますが、すぐに体制を立て直して剣を構えます。


 ユリアナの拳は、リヒトの剣を叩きました。


 リヒトはそれに耐え、必死に反撃を企てます。ですが、リヒトの動きはユリアナよりもまだ遅い者でした。彼女にあたりません。


「シナ!」


 呼びかけられて、私ははっとしました。


 リヒトの動きは囮でした。


 私は、大きく鎌を振り上げてユリアナの首を刈り取ろうとしました。ですが、ユリアナには私の動きが分かっていました。私の懐に入り込んできて、拳をみぞおちに食らわせます。


「くはぁ……」


 痛みで、頭がくらくらとしました。


 そんなくらくらする頭に響くのは、マサネの声でした。


「やめろ!シナに手をだすな!!」


 ユリアナと比べれば、小さなマサネ。


 それでも彼は、懸命に反抗をしていました。


「俺の家族に手を出すな。俺の生まれ故郷に手を出すな!!ここはお前らが好きにしていいような場所じゃない!!」


「そのとおりです!」


 響いたのはフィーネの声でした。


 となりには、ゼタもいました。


「私たちがいる限り安全地帯をいいようにはさせません。ここは私たちの居場所です」


 彼らは、ナナイチとフゼンを倒してきたのでしょう。


 リヒトとフィーネ、ゼタは、三人そろいました。


 そして、ユリアナを睨みます。


 ユリアナは形勢不利と思って逃げようとしましたが、それを邪魔したのはマサネでした。彼はユリアナに噛みつき、彼女の足を止めます。


「いっけー!!」


 リヒトが、ユリアナの首を取りました。

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