第41話特訓

●特訓


 フゼンが元教え子であること話すと、リヒトたちは驚いていました。


「元教え子だったら、弱点とかもわかってるだろ」


 リヒトは私にそう言います。


 たしかに弱点は分かっています。


 ですが、私自体はその弱点に合わせて戦えるほど器用ではありません。ですから、リヒトたちに戦ってもらえればと思ったのです。


「教え子の弱点は分かっています。リヒトたちには、彼らに合わせた戦法を教えるので戦ってもらえたらと思っていました」


 私の考えに、いち早く賛成したのはゼタでした。


「強くなれるのならば、賛成だ」


 その答えに、私は少なからずほっとしていました。


 リヒトは、すこしばかりむっとしていました。


「シナに利用されているようで納得いかないけど、たしかに強くなれるのならばいいのかもな」


「私は、シナさんに役に立てるのならば賛成です」


 フィーネは、そう言ってくれました。


 私は、三人に頭を下げます。


「ありがとうございます」


 頭を下げた、私にフィーネはわたわたしていました。


 リヒトは、なぜか偉そうに腕を組んでいました。


「それで、どのように修行をするんだ」


 ゼタはわくわくしていました。


「時間がありません。それぞれの仮想的に勝てるように、あなた方を鍛えます。まずは基礎」


 私は気配を殺して、姿を消します。


 それに三人はあたふたしていました。


「シナさん、どこに……」


「まずはこれを見破れるようにならなければ、話になりません」


 暗殺者になった子たちは、全員が気配遮断を会得しています。そのため、気配遮断をまずは何とかしなければまともに戦えないでしょう。


「気配を察して動いたところで、それは偽物です。肉眼と経験則で、暗殺者が継ぎ来るところを予測してください」


 いくら暗殺者でも、直進して向かってきたときには姿を見せることになります。そこで相手を視認して、あとは経験測で向かってくる方向を予測するしかありません。無論、予測に関しては経験を積ませるしかありません。だから、ひたすらに私はリヒトたちに攻撃をくわえました。

 

 リヒトたちは、私にいいようになぶられていました。


 昔を思い出します。


 昔も、教え子たちをこうやって鍛えていました。


「ゼタ、遅いです!」


 こうやって鍛えているうちに、リヒトたちの弱点も見えてきました。ゼタはスタミナがありますが、動きが遅いです。逆にフィーネとリヒトは圧倒的にスタミナがたりません。私は、彼らの弱点を徹底的に攻めました。


 そして三人が立ち上がれなくなると、私は彼らをマサネの元につれてきました。そして、マサネに食事を用意してもらい、休ませました。マサネには休息を手伝ってもらいました。ベッドを整え、食事を作ってもらいます。


 休ませたら、すぐにまた修行をつけました。


 そうやって、何日も修行をつけました。


 そうして突貫ではありますが、リヒトたちは何とか気配を遮断した相手を捕らえることができるようになってきていました。


「次は、個別での対策ができるようになってもらいます」


 私は、まずはゼタに訓練をつけることにしました。


 戦闘に関しては、彼が一番才能があります。おそらくは、彼は心の底から戦闘が好きなのでしょう。好きなものこそ上手になれ。好きな物は、上達が早いというのは本当です。


 ゼタは、大柄で力持ち。


 彼には、ナナイチを相手にしてもらうことにしました。


 ナナイチは、クナイを得意とする遠・中距離が得意な暗殺者です。彼の得意な接近戦に持ち込めるならば、勝機があります。そのため、ゼタには相手を自分の領域内に引き込むような戦い方を教えます。


 フィーネは、フゼンを相手にできるようになってもらわなければなりません。フゼンは厄介な優等生ですが、体格的に恵まれていないという不利があります。リヒトのほうが、彼よりも体が大きい。そして、フゼンはどちらかといえば遠距離攻撃が苦手でした。フィーネの魔法による遠距離攻撃は、大きなアドバンテージになります。


 ユリアナを相手にするのは、リヒトに任せました。ユリアナはまだ姿を現していませんが、大柄な女性です。彼女は素早い動きが苦手だしたので、リヒトがそうやって動けるように指南します。


 三人が三人で叩けるように私は指南します。


 三人が納得できるようなレベルになったか確かめるために、私はテストをしました。そのテストは、三人で私を倒せるようになったかどうかです。


 三人は、私に向かってきました。私は三人の軌道を読み、三人の攻撃をそれぞれ避けました。三人はそれでも私に攻撃を続け、ついに私の頬には傷がつきました。

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