第38話暗殺

●暗殺


 私は元教え子の名前を教えると、ヨーシャはそれをメモしました。


「全員が、私と同じと思わないことです。私は全盛期を過ぎていますが、彼らは全員が今が全盛期です」


 全員が、今の私よりも強いことをヨーシャに伝えました。


「おまえ、今俺を圧倒したよな」


 ヨーシャは、私に確認しました。


「はい、そうです。ヨーシャ、あなたレベルの人間が足止めにしかならないような相手がやってきますよ」


 ヨーシャは決して弱い人間ではありません。


 それでも、それ以上の精鋭がくるという話しなだけです。


「ふーん、先生。そこまで話しちゃうんだ」


 ふいに声が聞こえました。


 私は後ろを振り返り、鎌を構えます。


 そこにいたのは、緑色の派手な髪をしたナナイチでした。派手な髪をした彼が、私と負けず劣らずの長身で目立たないことが不思議なタイプです。ですが、ことに隠密に関してならば誰よりも長けている子でした。


「ヨーシャ、誰かを呼んで……」


 私がそういうまえに、ナナイチのクナイがヨーシャの首に命中します。


「ヨーシャ!」


 私は、血を流すヨーシャに駆け寄ろうとしました。


 ですが、すぐに頭を切り替えます。私の首をも狙うクナイを鎌ではじき返し、私は部屋の隅に移動しました。こうすることで、ナナイチの次の手を限定させます。そして、案の定真正面から向かってくるナナイチに向かって鎌を振り下ろしました。


 ですが、私の動きをよんでいたナナイチは私の鎌をクナイで封じます。


「先生、久しぶりすぎる」


「なぜ、このタイミングでヨーシャを殺したのですか!?」

 

 私は、ナナイチを振り払い距離を撮ります。


「俺の本当の任務は、先生の偵察だけ。でも、久々に先生をみたら殺したくなっちゃって。ヨーシャって人は邪魔だから殺したんだ」


 倒れたヨーシャに、私は視線を移しました。


 浅いですが、まだ呼吸がありました。


「ナナイチ、あなたは優秀な生徒ですが問題児でもありました。自分の実力におぼれて、命令違反をするようではあなたは変わっていないですね」


 私は、ナナイチを睨んでいました。


「先生、どうして暗殺者をやめたんですか?止めてどうして一般人のふりをしているんですか?」


 ナナイチは、爬虫類のような冷たい目で私を見ていました。


「もともと私は人を殺すのが不得意なんですよ」


「不得意なのに先生をやってたんだ」


「大人になると不得意なことでもやらなければならないのですよ」


 私がそういうとナナイチは不思議そうな顔をしました。


「不得意なことをやらせるなんて効率的じゃないのに」


「そうですよね。だから、私は暗殺者を止めたんです」


「うそつき」


 ナナイチは、真顔になりました。


「先生は殺人が不得意なんかじゃないよ。むしろ、得意なんだ。でも、殺人は嫌いだから暗殺者を止めたんだ」


 ナナイチは、私の人生を夢想します。


 そして、言い当てもしました。


 たしかに、そうです。


 私は、殺しの才能が有りました。


 けれども、殺し自体は嫌でした。


 だから、暗殺者を止めたのです。


「先生は、弱いよ。この道に一度は言ったら抜け出せないってことを知らなきゃならない」


 ナナイチは、そう言いました。


 クナイで私の首を必要に狙いながら。


「そうですよ、私は弱いです」


 私は、鎌でクナイをはねのけます。


「なら、どうして弱い私を殺しに来たのですか?」


 クナイを避け、ナナイチの視線から逃げて、私は尋ねました。


「先生は俺たちの手段をすべて知っている。だから、先生は邪魔なんだ」


 ナナイチは、私にそう言いました。


 私は、大きく鎌を振ります。


 ナナイチは、それを避けて逃げていきました。発見されてからは、長居をしない。暗殺者の基本は、まだ守れているようです。


 私は、安全を確認するとすぐにヨーシャに駆け寄りました。


 ヨーシャはこと切れていました。


「ヨーシャ!ヨーシャ!!」


 私は、彼の死体に呼びかけますが返事はありませんでした。

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