第20話反省会
●反省会
持ち帰るべき部位を解体すると、私は二人――リヒトとゼタに声をかけました。
「二人とも焦りすぎです」
私は、フィーネのほうを見ます。
「今回で、私とフィーネは死にかけました」
二人には反省する様子が見られました。
反省は、最初の一歩です。
「安全に探索する方法をお教えします」
私は、そう言いました。
リヒトとゼタは、顔を見合わせました。
まるで、私が教えるとは思っていなかったかのような顔です。
「あんた、俺たちと同じような初心者じゃないのか。若いのに」
「……失礼なのか、光栄なのか分かりませんね」
私は、ため息をつきました。
「私は、若者って歳じゃないんですよ」
フィーネは、リヒトに耳打ちしました。
それにリヒトは驚いて、私のほうを見ました。
若く見られるって、こういう時に不便です。
私は、咳払いをしました。
「それでは、年長者から助言をおこないましょう」
安全地帯に帰るまでに、私はリヒトたちに安全にダンジョンを歩く指導をしました。指導といってもリヒトとゼタには、いきなり切りかからないようにとか、用心して歩けとかそういうことを言うぐらいでしたが、それでも言わないと二人には分からないでしょう。
フィーネは、その光景を笑みを浮かべながら見つめていました。
「シナさん」
フィーネは、私に声をかけます。
「ありがとうございます。色々なことをおしえてくださって」
「いいえ、礼にはおよびませんよ」
リヒトたちがダンジョンで大暴れして、ダンジョンの内部が変わってしまう方が私には大問題でした。ダンジョンの内部が変わって地図に変更が出れば、私のような一人で潜っているものには大きな打撃です。
そんな感じで、私たちは安全地帯まで戻ってきました。
ダンジョン内で大幅な地形変動があったために地図屋によって情報を売っておきます。これで他の人間がヘビと一緒に落ちた穴があったとしたとしても、驚かせずにすみます。
リヒトたちに別れを告げると、私は家に帰ります。
ですが、家にはマサネはいませんでした。買い物にでも行っているのかと思いましたが、そんな時間でもありません。不安になって、私はマサネを探しに行きました。
私がすぐにマサネを探しに家を飛び出したせいもあって、リヒトたちとまた再開してしまいました。リヒトたちは慌てる私に対して、驚くような表情を見せていました。
「シナが慌てるなんて、なにがあったんだ」
どうやら、私は冷静沈着なイメージを持たれていたようです。
ですが、実際の私はというとそこまで冷静ではありません。
大切な人がいなくなれば、それなりに慌ててしまいます。
私はリヒトたちに同居人がいなくなったことを話しました。リヒトは「じゃあ、俺たちも探すよ」と言ってくれました。私はリヒトたちにマサネの特徴を伝えて、別れました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます