第14話回復
●回復
二人が目覚めるまで、フィーネと二人で待つことにしました。壁を背にして、二人で座り込みます。
「目覚めませんね」
フィーネは、二人の呼吸を確認します。
手慣れている様子でした。
私が見ていることに気がついて、フィーネは私に微笑みかけます。
「三人だと色々無茶をしてしまうようなので、いつもこうなんです」
フィーネはため息をつきました。
「こんなふうに、私がいつも治してしまうからいけないんでしょうか」
フィーネは考え込んでいました。
「いいえ、あなたが治してくれるから危機を脱することができているんです」
私は、フィーネの頭をなでます。
きっとフィーネがいなければ、リヒトたちは早くに死んでしまっていたことでしょう。けれども、フィーネがいるから今日まで生き延びられていたのでしょう。
「……ん」
リヒトが目を覚ましました。
「ここは……どうなっているんだ?」
ゼタも目を覚まします。
「いきなり壁が爆発したんですよ。たぶん、罠だったんだと思います」
私の説明と現状を見比べて、リヒトたちは納得します。
「フィーネがいなければ死んでしましたよ。いつもこうなんですか?」
「ああ、いつもこうだよ」
リヒトの言葉に、私はため息をつきました。
「さぁ、探索の続きをするぞ」
リヒトとゼタは立ち上がり、進もうとします。
「もう、大丈夫なんですか?」
私は、リヒトたちに尋ねます。
「ああ、大丈夫だ」
そう言いますが、私もフィーネも二人のことを心配していました。
ですが、二人とも先を急くように歩みを進めていきます。
フィーネの回復魔法の威力を信じながら、私たちは先に進むことにしました。ですが、リヒトたちはふらふらしているような気がします。
やはり戻って休んだ方がいいような気がしました。
「休みましょう、リヒト、ゼタ」
ですが、私の意見は聞き入れられずに二人は先に進みます。
「ごめんなさい、シナさん」
フィーネは、私に謝ります。
「二人とも、今月は苦しいから頑張っているんだと思います。……二人とも家族がいるし」
南側のダンジョンに獲物がいなくなったことで困ったのは、私だけではないようです。リヒトもゼタも、困っていたようです。
ですが、それでここで立ち止まってしまったら元の木阿弥です。
「お昼ご飯!」
私は叫びます。
「お昼ご飯、たべませんか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます