第13話仕事

●仕事


「止まれ」


 リヒトは、私たちを呼び止めました。


 先を見据えると、猿に似たモンスターがいました。可食部は少ないモンスターですが、彼らは他の調達屋を襲ってアイテムを強奪することが多いのです。私たちは、その強奪したアイテムを回収させてもらうことにしました。


「俺とゼタが、前にでる。フィーネは魔法で援護。シナはフィーネの護衛を」


 リヒトの命令で、それぞれが配置につきます。


 最初にリヒトのゼタが、言葉通りに前に出てモンスターに切りかかりました。その最初に一線を避けたモンスターは、フィーネに襲い掛かろうとします。


フィーネは魔法で燃え上がり火球を出現させ、モンスターに向かって投げました。一体はその火球の餌食になりましたが、別のモンスターがフィーネに襲い掛かろうとします。その前に私が前に出て、モンスターの首を刈り取ります。


「二匹、残滅」


 私は叫び、前に前にと飛び出していくリヒトたちを呼び戻しました。


「リヒト、ゼタ。前に出過ぎです!」


 このまま彼らと離れれば、ダンジョンのなかで別行動をとることになりかねません。それは、あまりに危険でした。


 ですが、彼らは先に進みます。


「二人とも戻って!」


 その時、爆発音が響きました。


 リヒトとゼタたちがいた個所の壁が、吹き飛んだのです。唖然とするフィーネを保護し、私は彼女と共に下がりました。ダンジョンにはトラップが仕掛けられている箇所もあります。もしかしたら、それが作動したのかもしれません。


「リヒト、ゼタ!」


 私は、二人の名を呼びます。


 ですが、二人の返事はありませんでした。私たちの眼前に広がっているのは、瓦礫の山でした。ダンジョンの壁が崩れて、向う側の通路が見えるようになっています。モンスターたちは爆発音に驚き去ってしまっていたようでしたが、戻ってこない可能性がないわけでもありません。


「フィーネ、見張りを!私はリヒトたちを探します」


 私は瓦礫をかき分けて、リヒトたちを探しました。体の大きなゼタはすぐに見つかり掘りおこせましたが、リヒトが見つかりません。


「リヒト、リヒト!」


 呼びかけると瓦礫の中から反応がありました。


 そこを掘り起こすと、リヒトがいました。


 二人を掘り起こし、怪我がないかを確認します。二人とも気を失っていましたが、大きな出血はありませんでした。ですが、頭を打っているかもしれないし、なにより私とフィーネでは彼らを担いで逃げ帰ることができません。


「取り合えず、応急処置を」


「私が魔法で出来ます」


 フィーネは、二人の前に両手を掲げます。小さな灯りが手の中に共に、その光が二人を包み込みました。


「これで外傷が治ったはずです。時間がたてば目覚めると思います」


 その言葉に、私はほっとしました。


 そして、地図を取り出して私は爆発した箇所を確認しました。新たに情報を搔き出し、繋がった隣の通路を見つめます。


「ここは……」


 どこに繋がっているのでしょうか。


 そんな疑問が私の中に浮かびあがりました。

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