第7話殺す以外の手立て

●殺す以外の手立て


「あるんだよ」


 私の目の前で警備隊のヨーシャは語りました。警備隊の緑色の制服を身にまとった彼とは腐れ縁であり、今回の事件では私の話を紳士に聞いてくれました。ですが、私の話の最後の方になりますとあきれ返ったように彼は言いました。


 殺す以外の手立てはあったのだ、と。


「人質を救出して、そのうえで犯人を無傷で取り押さえる方法ですか?」


 それは一体、どういう魔法なのかと私は問いかけます。


「それを目指すのが警備隊だ」


「残念ながら、私は警備隊ではありません。そんな技術は教えられていません」


「だから、俺たちの実践講義を受けて行けよ」


 そう誘われましたが、私は遠慮しました。


 本来、私が戦うべきは人ではなかったからです。


「私はモンスター専門の調達屋ですよ」


 人と争うことはありますが、それは稀なことです。


 一方で、警備隊は人を取り締まるのが仕事です。モンスターと戦うことは稀であります。本来、二つの仕事はかみ合わないはずなのです。


「こんな事件は、もうこれっきりにしてほしいものです」


 私は、そう呟きました。


「そういえば、今回の事件で孤児になっちまった子供がいるんだが」


 ヨーシャはそう言いました。


 マサネのことです。


「彼は、もう十五歳で働いていますよ」


「その件なんだが……親父さんが息子の出生年数を偽っていたんだよな」


 ヨーシャによると、マサネの父親は息子を年かさに思わせて店で働かせていたそうです。実際の彼の年齢は、まだ十三歳。誰かの庇護が必要な歳でした。


 誰かの加護がない場合は、彼は養護施設に引き取られることになります。彼自身は素晴らしい料理の才能を持っているのに、それを生かせないのは少し可哀そうでした。


「でもって、養護施設は慢性的な人手不足だ」


 ヨーシャは、そう言いました。


 私は、一つのことを決めました。

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